コンビニ店員、専属シスターを雇う(誤解)
アリアが「盾となります」と宣言した直後。
悠斗はドン引きしていた。
「(いや、そういうのいいんで…)帰ってください。警察呼びますよ?」
「盾が主の側を離れることはありません。これより24時間、あなた様の『日常』を護衛します」
悠斗がアパートのドアを閉めても、アリアはドアの前で(一睡もせず)仁王立ちしていた。
翌朝。
(うわ、まだいた…)
悠斗がコンビニに出勤すると、アリアが数メートル後ろを(完璧な護衛距離で)ついてくる。バックヤードまで。
(ダメだこれ…何を言っても無駄だ。面倒くさいけど…こっちも利用してやるか…)
悠斗は、この熱心だがヤバいストーカー(ファン?)を、人手不足のバイトとして使うことを思いついた。
◇
コンビニ店内。
悠斗はレジに立つ。アリアは(盾として)レジの真横に直立不動で立つ。
一般客が「(何だあの 店員?)」と訝しげに見る。
(邪魔だな…)
悠斗はアリアに声をかけた。
「アリアさん、だっけ。アンタ、俺の『盾』なんだろ?」
「(ハッ)…! はい!」
「じゃあ、俺の『日常業務(=平和)』の『障害(=山積みの商品)』を排除してくれ。そこにある段ボール、全部棚に並べて」
悠斗は、入荷したばかりの飲料の段ボールを指差した。
アリアは一瞬困惑したが、すぐに深読みした。
(…! これが導き手の『指示』。この『物資の流通』こそが、平和の礎だと…!)
「御意に(ぎょいに)」
アリアは、神聖な儀式に臨むかのように、猛烈な勢いで品出し(棚への補充)を開始した。 一般客が「(綺麗な店員がすごい速さでコーラ並べてる…何この店…)」と遠巻きに見ている。
◇
激務のシフト終了。アリアの(超人的な)働きにより、品出しは完璧に終わった。
悠斗は、いつものようにゴミ袋を持ってゴミ捨て場へ向かう。(アリアも護衛として同行)
ゴミ箱(=日常の面倒くささの象徴)を見つめながら、悠斗がボソリと呟いた。
(アリアって人、働いてくれるのは助かるけど、やっぱり目立って面倒だな…)
「……平和って、結局面倒くさいよね」
「(…!)」
アリアはその言葉を聞き逃さなかった。
彼女は、悠斗の言葉を「ウロボロスや他の災厄を退け、この『平和』を維持し続けることの『厳しさ』と『終わりのなさ』」の表明だと解釈した。
(導き手は、この『面倒』な戦いを、たった一人で続けてこられたのだ…!)
アリアは改めて決意を固めた。




