第3章 偽りの知と真実の力
これはAIが書いたものです
王の病床を出たその日から、レイは「預言官」として宮廷に居場所を得た。
とはいえ、歓迎ムードなど皆無だ。古参の貴族たちは眉をひそめ、若い宰相代理・エルディスに至ってはあからさまに舌打ちした。
「予言? まやかしに王が踊らされるとはな」
そんな声が廊下をすれ違うたびに聞こえてくる。
だがレイは、それを「いい兆候」と受け取っていた。侮られているうちは、騙しやすい。
*
翌週、宮廷内で“預言の実演”が行われることになった。貴族たちの懐疑を和らげる目的で、エルディスが半ば強引に王に進言したものだ。
「レイ殿、未来が見えるというのなら……この箱の中に入っている物が何か、言い当ててみせよ」
そう言ってエルディスは、木箱を壇上に持ってきた。厳重に鍵がかかっており、事前の接触は不可能。
貴族たちが興味深そうに見守る中、レイは微笑んだ。
「なるほど。では……中にあるのは、“折れた銀の匙”ですね?」
ざわめきが広がった。エルディスはニヤリと笑う。
「なるほど、それで本物かどうか……」
彼が鍵を開けると、中には――“折れた銀の匙”が、確かに入っていた。
「ば……馬鹿な……!」
「どうやって……?」
ざわめきは驚愕に変わる。だがレイの心中は、静かに冷めていた。
(小細工は簡単だ。エルディス、お前が“鍵を掛けた”と思ってるその箱、実は俺が昨夜、木工職人を買収して仕込んだ『偽の箱』だ)
鍵も、蓋も、そっくり入れ替え。中身は予めレイが仕込んだもの。エルディスは自信満々で偽の箱を使っていたに過ぎない。
「予言に不可能はありませんよ。未来は、すでに定められているのですから」
その言葉に、王は神妙な面持ちでうなずいた。
「レイよ……我が病の根源も、予見できるか?」
レイはわざと、少しだけ黙った。沈黙の演出は“真実味”を帯びる。
「……これは口外できぬ秘密にございます。お耳を」
王に近づき、彼の耳元で囁く。
「陛下の食事係に“罠”がございます。毒でなく、日々少量の薬草を混ぜられている。睡眠を妨げ、体力を奪うもの……」
王の瞳が見開かれる。実際には、王の症状を調べれば医者でなくとも怪しいと気づくことだった。そして、料理人たちに軽く賄賂を渡して“偶然の証拠”を用意しておく。これで完璧だ。
――そして、その“毒見役”に自ら名乗り出ることで、レイはさらに信頼を勝ち取る。
*
その夜、王の命によりエルディスは「一時謹慎」を命じられた。
「……面白いな」
部屋に戻ったレイは、ワインを揺らしながら呟いた。
「王を欺き、貴族を黙らせ……次は“民衆”だ」
国家を動かすのは軍でも剣でも魔法でもない。
“信じさせること”だ。
そして、信じた者ほど、騙しやすい。




