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詐欺師レイ、異世界を騙し尽くす  作者: やしゅまる


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エピローグ 嘘つきの神話

その国は、地図に載っていない。

 誰も存在を証明できないし、そこに行ったという者もいない。

 けれど、確かにその名を知る者はいる。


 “レイ・リパブリカ”――世界で最も奇妙な国家。

 通貨は「物語」、法は「噂」、そして統治者は「嘘つき」。


 詐欺師・レイ・クラウズの作った国家は、形を持たないまま広がっていった。

 ある者は地下経済の中でその名を信じ、ある者はネットの海でその理論に酔い、

 ある者は夢の中でその国に生まれたとさえ語った。


 そして、こう言われるようになった。


 「嘘を信じた者だけが、そこに辿り着ける」



 ある日、戦場で。

 命を落としかけた少年兵が、祈るように呟いた。


 「俺、レイ・リパブリカに行きたい……“本当の自分”を見てくれる国に……」


 奇跡のように銃弾は外れ、彼は生き残った。

 後にその少年は、情報分析官となり、「存在しない国家」の研究を始めることになる。


 また別の国。

 革命を夢見た若者が、処刑を前に笑って言った。


 「俺が死んでも、俺の“思想”はあの国に届く。あそこは嘘でも人を救えるんだ」


 彼の最後の言葉は、亡命者の間で密かに語り継がれた。



 時が流れ、世界は再び大戦の気配を孕み始める。

 真実を信じない時代。フェイクが日常を覆い尽くす時代。


 その中で、一冊の本が静かに売れ始める。


 タイトルは――

 『世界を騙して、世界を救った男』


 著者名の欄には、こうあった。


 “レイ・クラウズ(遺稿集)”


 信じる者は笑い、

 疑う者は首をかしげ、

 知っている者は、ただこう呟いた。


 「結局、最後まで……あの人は誰も裏切らなかったんだよ。

  だって“嘘つき”って、最初に名乗ってたんだから」


 レイ・クラウズの物語は、終わらない。


 なぜなら――

 「信じたい」という人間の本質がある限り、嘘はいつか神話になるからだ。

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