表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詐欺師レイ、異世界を騙し尽くす  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/14

第13章 詐欺師、概念を欺く

無国界地帯――それは秩序なき灰色の地。

 王も民もいない。法も宗教も、国家の枠すら存在しない。

 ただ、戦争と取引と裏切りだけが繰り返される、“ルールなき世界”だった。


 「ここでは、お前のような詐欺師に騙される者などいないさ」

 銃を構えた傭兵が、レイを見下ろす。


 「誰も何も信じていない。つまり、詐欺は成立しないんだよ」


 レイは肩をすくめる。


 「それは誤解だ。詐欺ってのはね、“信じさせること”じゃない。“信じたいと思わせること”なんだよ」


 彼が差し出したのは、一枚の地図。存在しないはずの“未来国家”の図面だった。


 「ここに国を作る。誰もが平等で、誰もが自由で、誰もが“他人を信じなくていい”国家。

 その代わり、全員が“情報”に投資するんだ。嘘も真実も区別しない。ただ、“信じた情報”に賭ける」


 傭兵たちは笑い出す。


 「そんなもんが国になるか」


 「なるさ。お前たちは今、俺の“設計図”に夢を見てる。

 “国になるかもしれない”って思った瞬間、もうそれは通貨にも、武器にもなる」


 地図は闇市場で出回り始め、幻の“未来国家”〈レイ・リパブリカ〉は実体なきまま噂を呼んだ。

 情報商、傭兵、難民、地下王族……それぞれが、“存在しない国家”の“未来の権利”を取り合い始めた。


 「おい、どこが首都になる?」「国王は誰だ?」「俺は財務大臣を名乗っていいか?」


 ──レイは、笑った。


 「概念は人の信念が作る。ならば俺は、“国家という概念”そのものを騙す」



 数日後。無国界地帯には一つの仮想政府が立ち上がっていた。

 通貨は情報、政治は噂、信仰は“存在しない建国神話”。


 レイはその中心に座し、言い放つ。


 「ようこそ、“嘘の王国”へ。ここでは、信じた者が王になる」


 かくして、七つの国を欺いた詐欺師は、

 最後に“世界そのもの”を騙しきってみせた。



 その夜、レイは独り、星空を見上げてつぶやく。


 「……全部が嘘だった。けど、みんなが笑っていた。

 それでいい。真実なんて、後からついてくるものだ」


 そして、微笑む。


 「さて、次は“神話”でも創るか」


 レイ・クラウズの物語は、終わらない。

 なぜなら、彼の紡ぐ“嘘”が、新たな世界の真実になるからだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ