8話 突風
新宿 爆破現場
辺りの惨状は、目に余るものであった。
8階建てのビルが燃えている。
逃げ惑う人々、火傷を負った者、反応のない倒れた人々。
1ブロック離れた所に一台のバイクが到着する。
ヘルメットを外したバイクの主は、赤毛のショートヘアの可愛らしい、10代であろう女性であった。
女性は、「何これ?ヤバ」と溢すと、見た目からは、想像できない速さで走り出し、事故現場に向かった。
「〝W〟聴こえる?」女性のイヤホンに電話の音がなる。
「聴こえるよ、酷いよここ!地獄」と女性は言い放つと、徐々に到着し始めた、消防車や救急車をかわし、見晴らしのいい場所に陣取る。
「今のところ、それらしき人物は居ない、〝E〟はまだ来ない?独りじゃ不安なんですけど!帰っていい?」と不満を口にする。
「〝E〟はまだ中野です!なんとか、ヒントを見つけてください!」とイヤホンから聞こえる。
〝W〟と呼ばれる女性は、「こんな事なら、四谷になんか住むんじゃなかった!」と愚痴をこぼす。
〝ドーン!〟
近隣のビルにまた、爆発が起こる!
「あー!もう!」と女性は声を張り上げ、爆発のあった方へ走り出す!
新たな事故現場の炎に照らされ上空に2機のドローンを〝W〟は見つけた。
「敵機発見!ドローンよ!使っていい?」
暫く、イヤホンは沈黙する。
「〝W〟攻撃を認める!くれぐれも気をつけて!
森村 楓!」と返答がある。
「了解!行くよ!」と答えると、両腕を重ねるように天に向ける!
「ハイ!」と同時に竜巻が発生する!
突風が起こり、2機のドローンは、風に煽られコントロールを失い周りのビルに激突した。
森村楓は、衝突した現場に向かって走りだす!
ドローンのうちの一機が衝突した場所にたどり着いたが、サイレンが近づいてくる。
「ヤバ!どうする?ドローンはやっつけたけど、逃げていい?バイクが心配!」と話す。
「貴方が、捕まったらもともこもないわ!逃げなさい〝W〟!」とイヤホンの声はMである。
「わかった、じゃあ〝W〟逃げます!」と答えて、
空から、降ってきた、ドローンの残骸の一部を回収し、停めてあるバイクに向かう!
「あれ?これって」と呟く。
「何かあった〝W〟?」とMは聞く。
「ううん‥多分気のせい‥」そう答えると自分のバイクに辿り着き、〝突風〟の如くバイクを発車させた。