6話 lose
Mは白水と呼ばれるカプセルに近づき、側にあった注射器を手に取り、カプセルに注入しようとした。
側にいた、男性スタッフが「M!白水は、前回おきてから、まだ1週間しか経っていません!危険です!おやめ下さい!」と制止するのを振り切り、「今、必要なのよ‥」と薬品を注入した。
側にある、PCのモニターに、バイタルが表示されている。
もう一つのモニターにMが打ち込んだテキストが表示される。
Mは、〔オキテ、シロミズ〕と入力する。
しばらくして、テキストに〔オハヨウ、ミサト〕と返信がある。
カーソルが点滅する。
〔ケッカガシリタイ、ニマイ、イル、〝GBD〟ハ、カノウ?〕と入力する。
カーソルはまた、点滅する。
1分ほどして、〔ムリ、ニマイ、ウシナウ〕と返信がある。
Mは、キーボードの置いてあるデスクを叩いた。
〔ホントウニ、ムリ?〕と入力する。
次は、即座に〔ムリ、〝lose〟〕と返信があった。
〔ネムタイ‥〕と続けてテキストは浮かぶ。
Mは、「スティーブに伝えて!〝撤退〟よ」と命令した。
スティーブと陳は、データセンターの攻撃を続けながら、返答を待って、敵を凌いでいる。
「スティーブ!Mからです!撤退です!」と返事がある。
「〝撤退?〟嘘だろ?こんなチャンス二度と無いかもしれないぞ!」と返すが、「撤退です」と返事があるだけであった。
スティーブは「撤退だ!陳!あの雑木林に潜りこむぞ!」とその場を後にした。
POSW 地下本部
「良かったんですか?〝get back D〟は?こんなチャンスもう無いかも知れませんよ!」とMにスタッフが話かける。
Mは、「いいの‥白水が言うんだから、間違いないから‥」と言い、その場を離れた。
独りで、自分の部屋へMは、入り壁にもたれかかった。
「聖‥」と呟き、涙を一雫溢した。