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3話 義手の男

 翌朝


 三条聖は、午前5時に目を覚ました。

ベッドに妻 彩夏はいなかった。

聖は、寝室を出てリビングへと入ると、そこにはキッチンで朝食を作る彩夏がいた。

彩夏は、長い黒髪を束ね、忙しくしている。

聖は、「おはよう、昨夜は何処へ行っていたんだ?」と尋ねると彩夏は、

「お父さんと食事よ、昨日、聖引っ掻いたでしょ?〝デキモノ〟血の付いたティッシュがあった!調べてもらったわよ、あのデキモノの石‥」と振り向かずに話す。

「どうして?あの石がデキモノとわかったんだ?」と問いかけると、彩夏は少し慌てて、「血が付いたティッシュにくるまっていたから、それから、朝首から血を流していたから?どう私の〝分析〟は?」と自慢気に振り向いた。

聖は、少し疑問に思ったが「何だって?〝お医者様〟のお義父さんは?」とキッチンのカウンターの椅子に腰掛けながら、聞いた。

「人には様々な物質があるからな!って言ってた、知ってる〝鉄〟だってあるのよ、だけど、あんな物は見たこと無いって!生物管理省の知り合いに見てもらうって」とフライパンを片手に答えた。

「生物管理省!止めてくれ!何か異常がみつかったらどうするんだ!そんなことVOXに知られたら、今の立場だってどうなるか分からないぞ!ただでさえ健康診断は月一回行われているのに!返してもらってくれ!」とムキになって大声で話した。

「大丈夫よ!たかが、〝デキモノ〟じゃない⁈気にしすぎ、それに珍しかったら〝ギネス〟に登録されるんじゃない?あっもう無いか!」と話しを終わらせようとしたが、暫くは、聖の抵抗にあった。


 VOX 東京支部


 聖は、珍しく、早めに出勤した。

エレベーターで18階まで上がると、永田とエレベーターホールで鉢合わせになる。

「あっ!聖!丁度よかった、部隊長がお呼びだぞ!一緒に来てくれ、〝ジョン・ガルシア様〟だよ!」と降りかけたエレベーターに永田は、聖を引き戻した。


 ジョン・ガルシアは、VOXの特殊部隊の長であり、実質VOX東京支部のナンバー2であった。

身長は2メートル近くあり、筋骨隆々で、またその強引な性格から、皆に恐れられていた。右手の肘から先が義手であった。3年前にPOSWとの争いで右手を失ったらしかった。


 聖と永田は、22階のガルシアの部屋の前まで、速足で行き、ノックする。

 「三条と永田です!」と聖が大声を出す。

2.3秒してから、「入れ!」と返答があった。

聖と永田は、「失礼します」とガルシアの部屋へ入り、デスクに背中を向けて座るガルシアの前までいく。

「何か解ったか?〝F〟の件は?」と椅子を回し、正面を向く。

 ガルシアの厳つい(いかつ)顔とシルバーの短髪が朝日に照らされる。

 聖は、「はい!動くのは、12月29日であろう事は分かりました。標的はまだわかりません!」と答える。

ガルシアは、「ふん!まあいい、標的も早く絞れ!敵の素性もな」と言い、席を立った。

 聖と永田は、その巨体に威圧感を覚える。

ガルシアは、巨体を揺らし、部屋に置いてあるコーヒーメーカーに向かう。

背中越しに「飲むか?」と二人に聞く。

 永田は、「結構でございます!お気になさらずに」と答えると、ガルシアは、振り向き、笑顔を見せて、「まあ、遠慮するな!ところで、健康診断は、ちゃんと受けているんだろうな?月一回」と二人に聞いた。

 聖は、「はい!規定通り受けております!」と答えた。

ガルシアは、「それならいい‥」と言い、三人分のコーヒーを入れた。


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