15話 精神病院
2036年 虎ノ門
永田匠は目を覚ました。
わずかばかりの窓から差し込む朝日の光が匠の顔にあたる。
〝ここは、何処だ〟
永田はやがて、手足の自由が効かない事に気づく。
永田は拘束衣に包まれている。
わずかばかり動く、指先で探ると〝赤いボタン〟の様な物が指先にあたる。
永田は、そのボタンを外そうとするが、全く外す事ができない。
永田は、〝記憶〟を探る。
俺は、VOXで働いていた
その前は‥
聖‥と何処で会ったんだ‥
永田の脳裏にPCの画面が浮かぶ‥
手配書 〝D〟〝L〟
殴られた自分の顔
〝何故殴られたんだ〟
〝そうだ‥赤い靴の少女〟
錆びた鉄格子の外に一人の女性の看護師がいる。
永田はその女性に訴える。
「拘束をといてくれ‥俺にはやる事がある‥」
看護師は鍵を開けて中に入る。
「たくみくん?目を覚ました?オムツは大丈夫?」と側により、永田の排泄物の始末をしようとした。
「俺には、やらなければいけない事があるんだ!
これを解いてここから、出してくれ!〝D〟に、聖に伝えなければ!」
看護師は、険しい表情になり、「〝D〟って何?分かった!また自分が革命軍の戦士って話しでしょ!だからそれは〝妄想〟!お薬が足らないのかな?
たくみくん?」と注射器を取り出した!
永田は咄嗟に左手を廊下にあるコンセントに向けた!
コンセントから電流が放電して、小さい火花を散らす!
永田は、視界一杯に不気味な看護師の顔が映る。
「まだ、〝おやすみ〟しましょうね?たくみくん」
永田は、瞳が徐々に閉じられ、暗闇の中へ入った。
看護師は、永田の排泄物の始末を終え、拘束衣を着せ、拘束衣をロックした。
永田を見下ろし、「まだまだ、薬が足らないようね〝L〟」と言った。