12話 潜入
2032年 4月
三条聖は、ブーツの紐を結ぶ。
そこに、1人の女性が近づく。
「どうしても、行くの?」
「行くさ!〝白水〟の指示だろ?今までだって‥
生き延びれたのも‥そうだろ、美里、いや〝M〟と呼ぶべきかな?」と言うと立ち上がる。
美里は、「貴方の力があれば、このままだって兵器を破壊する事は、可能よ!なんでわざわざアンダルカンに潜入しなきゃならないの!」
美里は感情を剥き出しにする。
聖は、「お前らしくないな?〝白水の答えは完璧よ〟が口癖のくせに、それに永田と二人で行くんだ、心配いらないよ」そう言って、肩を叩いた。
美里は、「もう会えないかもしれないなのよ」と感情とは反対の口調で、心は縋りついている。
聖は、背を向けたまま、手を振った。
階段を上がり地上に出る。
「遅かったな?〝D〟」と戦闘服に身を包んだ永田が聖に話しかける。
「さあ!パーティーだな!暴れるか?」と含んだ笑いを見せる。
永田は、「スーツ着て、アンダルカンに面接行った方がいいんじゃないか?」と聖を煽る。
「なあに、どっちにしても、一緒さ!」
二人は、第三次世界大戦の傷跡が残る、廃墟の中を歩き始めた。