4日目 復讐の誓い
当然の話だが、男はあっさり死んだ。
共に戦ったニワトリも、羊も、猫も。
尻尾が燃えている火狐も皆一撃で死んだ。
クルリス・リコイルは通用しなかった。
というか、相手が余りにもタフだったのだ。
そしてクルリス・リコイルは制限時間付きだ、ずっとサブマシンガンを撃ち続ける事はできない。
クルリスも奮闘したが、やがて制限時間を迎え男とのジョイントが解除された時一撃を貰い、あっさりと地の染みになった。
可愛らしかったクルリス。
愛くるしかったクルリス。
指を差し出すと小さい両手でぎゅっと握り締め、笑顔を向けてくれたクルリス。
男は激昂し、より強く、そして激しく矢を乱射したが無駄な抵抗だった。
レベル36グランモスは強すぎたのだ。
男もあっさりと死に、拠点でリスポーン。
裸のままいそいそと死んだ場所まで出向き、パルたちと装備を回収。
パルたちはみんな生き返ってスフィアの中で元気にしていた。
男はグランモスの巨躯を睨みつけ、再戦と復讐を誓う。
◆
ちなみにパルワールドでは何もかもが捕獲出来るとのこと。
それこそ行商人も密猟者も、ボスだって捕獲できる。
──人間を捕まえて採掘仕事をさせて、それを楽しく見物できたらさぞ楽しいだろうな
男はそんな素敵な未来に思いを馳せた。
敗死してもペナルティはほぼない。
まあ装備品が壊れたりするが、それだってすぐ治せる。
男は5分もしないうちに全身をピカピカにし、次すべき事に考えを巡らせた。
──そろそろボスを意識していこうか
そう、男はまだチュートリアル中だったのだ。
レイン密猟団というけったいなならず者集団がおり、まずはそいつらをイワしてこいというものだ。
だが男はふと疑問に思った。
「パルって勝手に捕まえちゃだめだったの?」と。
男の素性は明らかではない。
何か事故だかなんだかに遭って、気付いた時はこの島へ流れ着いていた放浪者である。
何か他に設定があるのかもしれないが、覚えてない。覚えてない事は知らない事と一緒だ。
ともかく、男はレイン密猟団と何ら変わりのないチンピラなのである。
パルを捕まえるにしたって半殺しにしてからボールに封じ込める非人道的な方法だ。
この島に正規のパル捕獲法があったとしても、恐らくは半殺しにしてからボールを投げつけるというものではあるまい。
非殺傷性の罠なりなんなりをしかけるとか、他にやりようはある。
男はしばし考え、まあいいかとうっちゃった。
──まずはレイン密猟団の拠点を探す
男はそんな事を思い、遠征の準備を始めた。