1日目 鎧袖一触
──なるほど、ポケモンのパクリと言われるだけはある
男は頭から花が生えた竜を見てそう思った。
レベルは16。
男のレベルは3である。
武器は石槍。
男は「これは勝てないだろう」と思ったが、拠点が近い事もあって取りあえず突っかけ、そして死んだ。
鎧袖一触とばかりに一撃で死んだ。
だが操作感が良く、回避に自信がある者ならばやってやれないことはないのではないかとも思う。
男の拠点は風立ちの丘の某所にあり、これはHELPの初心者向けの言を信じた形となる。
初心者向けの地域に恐るべき竜が跋扈しているというのは、如何にもオープンワールドらしい。
ちなみにパルワールドは死んだらその場に全てのアイテムとパルを落とし、拠点などで復活ができる仕様だ。
マルチなら兎も角、ソロならその場のアイテムを強奪されることはないらしく男は安心してアイテムを取りに行った。
ありがたいのは、基本的に野良パルはパッシブであり、敵対しなければ襲い掛かってこない点だ。例えばエルデンリングなどは何もしていなくても襲い掛かってきたりする。
「パルワールドのパルとは友人の意……最初から敵対してこない理由もその辺が関係しているのでは?」と男は考える。
とはいえ、これは先へ進むとどうなるかわからないが。凶悪なパルが見敵必殺とばかりにいきなり襲い掛かってくるのかもしれない。
ともあれアイテムを無事回収した後、男は拠点に戻り、労働させている猫を撫でてから次は何をすべきかを考えた。
──決まっている、資源を集めるのだ
木を伐り、岩を砕き、拠点を拡大する。
パルボックスが投げてくるミッションを遂行すればボックスをアップグレードでき、拠点内で働かせられるパルの数も増えたりする。
現在の拠点パルは猫一匹だ。
男は数多くのパルを働かせたかった。
ドでかい拠点にパルを何十匹も放ち、ただただ見守るだけのゲームがしたかった。
パルたちが拠点維持のためにひたすら働いている中、自身は執筆をしたいと思っていた。
そのための第一歩が、この働き者の猫である。
桃色の猫だ──……ポケモンでいうニャースに似ている。
この猫は様々な労働適正があり、色々な作業ができる。
一番しょうもないのはニワトリだろうか。
卵を産むが、男は「メシなどベリーで十分」などと思っているし、実際にその通りだった。食事によってバフがつくというシステムは数多くのゲームで採用されているが、現時点ではパルワールドにはそれがない。
少なくとも、男の進度に於いて食事バフは確認されていない。
だからその辺で生えているベリーを食って飢えを満たしたり、野良ニワトリを殺害して卵を食べたりする。
ちなみにゲームが進むと手持ちのパルを殺害し、解体して素材へと変える事ができるらしいが、男はそれはちょっとやりたくないなと思っている。