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さよならを言うのは -義妹と過ごす5年間の軌跡-  作者: 枕元


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橙子の提案

 金曜日の夕方、夕食を橙子と一緒に食べている時のこと。橙子がこんな提案をしてきた。


 「勉強会?」

 「うん。明日の朝から、まひると一緒にうちで。で、そのままお泊まりしたいんだけど、だめ?」


 勉強会はともかく、お泊まりか。これはどうしたものか。


 まひるさんと言えば、俺にとっては少し苦い思い出がある人物。別に嫌っているわけではないが、会うのは少し気まずいのだが。


 というのもだ。


 「まひるもいい加減、()()がしたいって」

 「お礼、ね」


 あの一件以来のことだ。まひるさんは折を見て、俺に対してコンタクトを取ろうとしている。要件はもちろん謝罪だ。俺が頑なに謝罪としては受け取らないと悟ってからは、お礼と言葉を言い換えてきているのだが。


 (お礼されてもなぁ)


 ぶっちゃけ、本当に気にしないで欲しいのだ。というか、年下のしかも中学生に、しかも父親と面識がある状態で謝らせるなんて、一体どんな罰ゲームだ。


 そう思って先延ばし先延ばしにした結果、とうとう逃げられなさそうなイベントが発生したわけだ。


 「遠山家ではだめなのか?」

 「それがね?お父さんの遠縁のおばあちゃんが死んじゃって、お母さんもお父さんもいないんだって。まひるは面識ないし、すごく遠いからお留守番だって」


 なるほど。筋は通っているな。実際事実なんだろうけど。むしろいい機会と提案してきたと見るべきだろう。


 だけど、中学生なんだよな。


 「お父さんは、オッケーって?」

 「むしろ助かるって。信也なら安心って言ってたらしいよ」


 おかしいな。つい最近まで虐待を疑われるぐらいだったはずなんだが?その辺は、橙子がフォローしてくれていそうではあるけれど。


 「まぁ、そういうことなら」

 「ほんと!?やったー!」


 橙子の勉強だって、一人よりも進むだろう。女子二人集まれば騒がしくなりそうではあるが、土日は俺も休みだし、そのぐらいはいいだろう。


 最近は特にいい子にしてるしな。


 「まひるも分からないところあるって言ってたから、一緒に教えてね」

 「あ、家庭教師も必要なのね」


 「当たり前!何のためにうちでやると思ってるの!」


 そのためだったのかい。ま、別にいいけどね?暇だし。


 「てか、今日のご飯もおいしい。納豆パスタってこんなおいしいんだ」

 「だろ。意外と好きなんだよね、これ」


 安くて簡単だからね。パスタ系は大体網羅している。


 「じゃあ、明日の晩御飯は出前でも取るか?」


 まひるさんも来るなら、たまにはお寿司でもとったら楽しいかもしれない。俺も普段出前のお寿司なんて食べないから、せっかくの機会ってやつだ。


 「だめ!作って欲しい!てか、まひるにそう言っちゃってる!」

 「あえ、そうなのか?でもどうして」


 「いや、その、前お弁当作ってくれたでしょ?その時に、ご飯の話になって、その流れでって言うか……」

 

 なるほどな。お望みなら別に構わないが、こりゃ下手なものは出せないな。


 これもせっかくの機会か。明日の料理はより凝ったものを作るのもいいな。


 「ごちそうさま!」


 綺麗に完食した橙子に対して、少し楽しみに思っている自分のことは棚にあげて、やれやれなんて思いながらも、明日のことを考えながら、橙子の家庭教師を再開した。

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