神殿の老賢女
少しばかり寂しさが見え始めているマイエルの、汗に光る茶色の頭頂部を呆気に取られながら見送って、エイナーは改めてマーリットを窺う。
彼女の姿をこの目にするのは、何年振りだろうか。
人前に出ることを怖がっていたエイナーは、これまで聖都へ行ったことは二度ほどしかない。マーリットも、不自由な体と高齢であることを理由に滅多に聖都を出ることがなく、エイナーが聖都の大神殿で彼女と会ったのは一度きり。そして、今日のこの対面はそれ以来となる。
「本当に……困った子だこと」
言うことを聞かない子供に手を焼く母を思わせる言葉と共に、ほぅと漏らされたため息に、ベールがわずかにそよいだ。ベールの向こう側はよく見えないものの、その口元が穏やかに微笑んでいる気配にエイナーは一瞬、気圧される。
言葉ほどには困っていないどころか、マイエルの反応を父同様面白がっていると分かるマーリットの態度に空恐ろしいものを感じて、エイナーは知らず息を詰めていた。けれど、エイナーの緊迫する内心とは裏腹に、父とマーリットの間で交わされる会話は、表面上は実ににこやかだ。
「マーリットも苦労しているね」
「イェルド陛下ほどではございませんわ。わたくしは、神殿に勤める一神官に過ぎませんもの」
父がマイエルの去った方向へと視線を投げて肩を竦めれば、マーリットもベールの奥でくすりと笑い、緩く首を振る。そんな二人のやり取りに、固唾を呑んで成り行きを見守っていた周囲も事態の収束を悟って、囁き交わす声が戻ってくる。
そうして、少しばかり自分達の声が周囲の物音に聞き取られにくくなったところで、マーリットはエイナーへと顔を向けた。
「それにしても……残念ですわ」
「……残念?」
心持ち沈んで聞こえた声は、けれど彼女の本心を窺わせるほどの真剣味はなく、エイナーは用心しながらも、子供らしさを装って首を傾げる。
果たして彼女の言う残念とは、エイナーが会議に出席できるほどに成長したことを指すのか、今の父に対するエイナーの受け答えを指すのか、はたまた、大してマイエルがこの場を乱せなかったことを指すのか。
呼吸一つ、指先の動き一つにすら注意を払ってマーリットからの言葉を待てば、彼女は杖を頼りにわずかばかりエイナーへと顔を寄せ、一つ頷いてみせた。
「ええ。わたくしも、キリアン殿下にはお会いしたいと思っておりましたから。……けれど、少し見ない間にエイナー殿下がこれほどご立派になられたのであれば、キリアン殿下に会議よりも大切なことができるのも無理もありませんわね」
一度言葉を切り、マーリットはふふ、と心底から楽しそうに笑う。そして、独り言にしてはやや大きな声で一言、呟いた。
「これから、忙しくなりそうですこと」
瞬間。父の笑みがほんのわずかに深みを増し、周囲はマーリットの言葉に騒めいた。
兄が今回の会議を欠席する理由を、父は皆に正確には伝えていない。にも拘らず、会議に出席していたわけでもないマーリットが知っている様子であることに、たちまち疎らだった視線がこちらへと集まった。
エイナーが微かに目を瞠る間にも、すかさずこの場の変化に騎士団長が一歩前へと歩み出て、さり気ない態度でマーリットへと場を移すことを勧める。
「マーリット神官殿、立ち話はあなた様のお体に障りましょう。よろしければ、近くの部屋に――」
「それには及びませんわ。せっかくここまでやって来たのですもの。わたくしも、多くの方と言葉を交わしたく思いますのよ。ねえ、エイナー殿下」
やんわりと、けれどはっきり騎士団長の申し出を断り、ベールの下の見えない微笑が早速「多くの方」の最初の一人として、エイナーを捉えた。そして、世間話でもするような気軽さで、ところでと言葉を継ぐ。
ただし、続いた言葉はエイナーにとって、決して気軽に聞き流せるものではなかったのだけれど。
「眠り姫のお加減はいかがかしら?」
眠り姫――その呼称は、ミリアムがまだ怪我の療養をしていた頃、エイナーが毎日のように彼女の元へと見舞いに訪れていたことが噂になった時に、ミリアムを指して使われた言葉だ。城内や兵団、それらに近しい王都の民へと一時期広まったものの、芽吹きの祈願祭でミリアムがその姿を人々の前に表したことで、すっかり消えてなくなってしまったものである。
ミリアム本人ですら、彼女がそう呼ばれていたことを知らないかもしれない小さな噂話を、王都からは馬車で優に七日はかかるほど遠い聖都に引きこもっているような状態にあるマーリットが、何故知っているのか。
マーリットに対する警戒心を跳ね上げつつ、エイナーは可愛らしく首を傾げた。さも意外そうに、何のことだか分からないと言いたげに。
「眠り姫、ですか?」
先ほどのマーリットの一言でこちらに耳目が集まっている中、馬鹿正直にミリアムのことを口にするほど、エイナーは愚かではない。仮にこれで、王子であるにも拘らず、一時期とは言え城に広まった噂話も知らない、やはり第二王子はまだ取るに足らない子供だと侮られたとしても、それならそれでマーリットの程度が知れると言うもの。
さて、彼女はエイナーの反応をどう取るだろうかと瞬けば、マーリットはどこか面白がるように「ああ」と声を上げた。
「失礼いたしました。その呼び名は、もう古いのでしたわね。今は何とお呼びしたらいいかしら。やはり……泉の乙女、と。そうお呼びするべきかしらね、エイナー殿下」
どこまでも変わらず柔らかな声が、再び何でもないことのように、大きな意味を持つ一言を紡ぎ出す。それほど大きくもない声量だった為、周囲でその声を拾ったのはわずかだっただろう。それでも、音が反響しやすい廊下である。確かにその言葉を耳にした周囲が、一斉にはっと息をのんだのが分かった。
エイナーも、表情は変えないまでもマーリットに対する警戒をより強くして、見えない顔と正面から対峙する。そして、神殿の動きに警戒するようにと、会議が始まる前にフェルディーン家から帰って来たラーシュに言われたことを思い出しながら、エイナーはマーリットがこの場でその言葉を発した意味を考えた。
どれだけ王家がそのことに触れず、王都の民が王家の意を汲んで素知らぬ振りをしても、噂はどうしたって広まるものだ。特に、各地域で行われる中でも最も大きな規模を誇る王都の祈願祭には、毎年少なくない人が国中から見に来る。会議の為に王都へやって来た役人の中にも、その噂を耳にした者がいてもおかしくはない。そして、真偽を確かめたいと考える者が出るだろうことも想定済みだ。
それでも、王家は動かない。それが、当初のこちらの動きの筈だった。
あくまで噂の範囲に留めておけたなら、噂など半年も経てば忘れ去られる。その間だけはミリアムに不自由を強いることもあるかもしれないけれど、その稼いだ半年の間で、彼女がこの国で誰に憚ることなく、縛られることもなく動けるようにする為に、手を回すつもりだったのに。
それを、よりにもよってこの場でぶち壊されるなんて。
今のマーリットの発言は、噂を肯定する確実な一言になった。何より、神殿の序列第二位であり、リーテ派を率い、カルネアーデ家と繋がりが深いマーリットがその言葉を口にしたことの意味は、ただの神官が口にするより非常に大きい。
再び周囲がこちらの会話に耳をそばだて始めたその中で、エイナーはまず、一つだけはっきりと自覚する。自分は今、マーリットに試されているのだと。そして父もまた、エイナーがマーリットにどう対処するかを見ている。この場を静観しているのがいい証拠だ。
まさか父がこの場をエイナーに任せるだなんて、少し前には考えられなかったことだ。その信頼は嬉しくもあり、同時に重圧も感じる。ただし、それは心地のいいものでもあった。
エイナーの前には、次はどう答えるかしらと、マーリットがベールの向こうから期待に目を細める気配がはっきりとある。
ようやくまともに人前に出て来られるようになっただけだとエイナーを侮る者もいる中で、誰より情報に疎いと考えていたマーリットが、実は誰より正しく今のエイナーを理解していることに、エイナーは尚更気を引き締めた。
先ほどの眠り姫発言には驚かされたけれど、ミリアムのことは既に正確な情報が神殿には伝えられているのだから、マーリットの口からその言葉が出て来ることに動揺はない。父にとっても、この事態は恐らく想定の範囲内。
そうであるなら、これ以上エイナーがミリアムについて知らぬ存ぜぬを貫く必要はないのだろう。むしろ、ミリアムの背後に誰がいるかを知らしめて、神殿を牽制するべきだ。
ラーシュが気遣わしげに、父が観察するように、そしてマーリットが値踏みするように見つめる中、エイナーは自分にとって武器になると最近自覚し始めた、とびきり柔らかな笑みを浮かべた。
「マーリットが言っているのは、僕の友人のことでしたか」
「ええ……そう。エイナー殿下のご友人。わたくし、彼女にも会いたいと思っておりますの。泉の精が舞うようなダンスをなさる、とても可愛らしい方なのでしょう? それにエイナー殿下の命の恩人なのですから、わたくしからもぜひお礼をと思って」
暖かな日の光を思わせる柔らかな声に含まれる毒に、下心満載で一体何を言っているのだろうと、エイナーは浮かべた笑顔の下で感情を尖らせる。
一方、マーリットの発言に動揺するどころか、泉の乙女を自分の友人だとエイナーが明言したことに、彼女の方は実に楽しそうだった。
どうやらエイナーの発した言葉は、マーリットをひとまず満足させるものではあったらしい。けれど、その程度のことに安堵はできない。それどころか、祝宴の中で何気なく交わしたエイナー達の会話すら知る術があるのだとさり気なく告げる彼女は、全く侮れない相手なのだと余計に思い知らされるだけだった。
それでも、今までの自分とは、もう違う。エイナーは怯むことなく、己の立場をはっきりとマーリットに示すべく口を開いた。
「そうだったのですね。でも……残念ですが、僕にはその希望を叶えて差し上げることはできそうにありません」
誰よりミリアムのことを欲しがっているであろう人物に、彼女をそう易々と会わせるわけにはいかない。神殿に渡すことも、絶対にしない。エイナーは表情だけは申し訳なさそうに、マーリットへと首を振った。
そうすれば、マーリットからはあらあらと感心交じりの声が零れ出る。そこに込められた感情は、生憎と本心かそうでないかはエイナーには読み取りきれない。
「ご立派になったとは思っておりましたけれど、随分逞しくもなられましたのね、エイナー殿下は。まるで、乙女を守る騎士のよう……なんて素敵なのかしら」
「逞しいだなんて大袈裟ですよ。僕が剣の鍛錬を本格的に始めたのは最近のことなので、その言葉は相応しくないと思います」
見てくださいこの力こぶ、と細い己の腕を差し、次に脇に立つラーシュ、そして父のそばに控える騎士団長へと順に視線を移す。どちらが逞しいかは一目瞭然だと子供らしく受け応えれば、マーリットはとんでもないとばかりに緩く首を振った。
「いいえ。その努力が既に逞しいのですわ、エイナー殿下。これからも鍛錬を続けられたら、エイナー殿下はきっと素晴らしい騎士にだってなってしまえるでしょう。何と言っても、エイナー殿下はキリアン殿下とは違って、まだ……とてもお若いのですもの。ねえ?」
瞬間、ぞわりとエイナーの全身が怖気立った。マーリットは何を言った? と耳が捉えた言葉を一瞬疑って、とてつもない嫌悪感に眩暈さえ覚える。
目の前ののっぺりとしたベールの奥は、そんなエイナーに向かって変わらず笑みを湛えていた。エイナーにとっては欠片も笑えない冗談を、さも名案のように口にして。いっそ無邪気に、少女が夢を語るように。
日々を神への奉仕に捧げている癖に、その心の内は何と欲に塗れていることだろう。
「その手に剣を携え乙女を守る騎士……そんな姿にエイナー殿下が憧れを抱かれたら、とても素敵だと思いますのよ、わたくし」
腹の底が、熱くて熱くて堪らない。決して視えないと分かっていても、ベールの奥に隠れたその見えない瞳の奥を覗き込んで、醜い本性を暴いてやりたい衝動に駆られる。
けれど、今にも暴れ出しそうな感情を綺麗な笑顔の奥の奥に押し込め蓋をして、エイナーは一呼吸で気持ちを鎮めると、くすりと笑った。
「もしかして、マーリットもテルツァの愛読者ですか? 夢を見るのは構いませんが、僕に騎士は務まりませんよ。何より、僕には騎士を目指す気もありません」
「まあ、それは惜しいこと」
「残念ですが、僕はこの先、この国の為に兄上をお支えして生きると決めているのです。――僕は、この国の王子ですから」
この国の王子として生まれたからには、王子としてこの人生を生きていくのがエイナーの矜持だ。マーリットに言った通り、エイナーに騎士になる気は毛頭ない。まして、王子と言う立場を捨て、神殿騎士としてミリアムを守る立場になど、たとえミリアムに頼まれたってエイナーは首を縦に振りはしない。
もっとも、そんなことはミリアムだってきっと望まない筈だけれど。
マーリットがエイナーのことをまだ子供で、ミリアムと友人関係にあるなら御せると考えて一連の発言をしたのだとしたら、エイナーもミリアムも随分と甘く見られたものだと思う。
マーリットを見つめる瞳に力を込めれば、ベールが揺れて、マーリットがふっと息を吐くのが分かった。
「あらあら。わたくし、振られてしまいましたわね」
「ご期待に沿えず申し訳ありません、マーリット」
声の調子は相変わらず軽く、マーリットが今どんなことを考えているのかは、エイナーには推し量れない。エイナーの意志が固いと理解して、この場から引くことを選択してくれただろうかと考えるけれど、恐らくそれは薄い望みだろう。何せ、大勢の役人のいる前で大それたことを口にしたのだ。彼女がこの程度で引く筈もない。
警戒するエイナーの前で、果たしてマーリットは危惧した通りに、再び軽い調子で挑発的な言動を見せた。
「とんでもありませんわ。エイナー殿下に振られてしまったお陰で、ご友人へ考えた贈り物が無駄にならずに済みそうなのですから」
「贈り物……?」
「ええ。か弱い乙女には、その身を守ってくれるものが必要でしょう? ちょうどわたくしのところに、若い女性が好みそうな優秀な番犬がおりますの。聞けば彼女、犬がお好きだそうではありませんか。犬の血統も申し分ありませんし、忠義に厚く賢い、とてもいい子ですから、きっと番犬としてしっかり務めを果たしてくれると思いますの。……エイナー殿下、あなたのご友人はこの贈り物を気に入ってくださるかしら?」
にたりと。マーリットの唇が、確かにベールの奥で弧を描いたのが分かった。
その瞬間。エイナーは衝動のままに、ベールの向こうにあるだろう瞳へ向かって己の「眼」を飛ばしていた。瞳の正確な位置を捉えもせず、視線を合わせることもなく、ただ無我夢中で全力で、己の内から力を放出し、マーリットへとぶつける。
たちまち視界が白と黒、赤の斑に染まって、目の前に見えている現実が消え失せた。全ての色がぼやけた世界が目まぐるしくエイナーの視界を埋め尽くし、明確ではない音の洪水が聴覚を支配する。次いで浮遊する感覚が全身を襲って――とん、と。誰かの手がエイナーの肩に触れた瞬間、張り詰めた糸がぷつんと切れるように視界が元に戻った。
両足に重く体重が伸し掛かり、思わず体がふらつきそうになる。その体を、肩に触れる大きな手がしっかりと支えていた。
「やれやれ。神殿も随分と熱心だね、マーリット。けれど、その話は既にキリアンに断られているのではないかな?」
はっと意識を戻したエイナーの頭上から、物腰だけは柔らかな父の声が届く。
「ええ。ですから、エイナー殿下から今一度、キリアン殿下にお願いをしていただこうかと思いましたの。犬の方もとても興味を示して、早く会いたいと尻尾を頻りに振るものですから、なんだか申し訳なくて」
「神殿が認めたクルードの愛し子が否と言っているものを、たかが犬一匹の為に?」
肩に乗った手の先では、父がにこやかな笑みを湛えながらも、鋭い視線で油断なくマーリットを見下ろしていた。
父が自然な流れを装いつつマーリットとの会話を引き継いだことに気付いて、エイナーはそっと唇を噛む。父がせっかくこの場を任せてくれたと言うのに、上手くできるどころか、怒りに任せて力を使おうとしてしまうとは。しかも、恐らく父はそのことに気付いて、エイナーを止めた。何と言う失態だろう。
エイナーの視線が徐々に下へと下がっていこうとする中、まるでそんなエイナーを嘲笑うように、マーリットの悪びれない発言が耳を掠めた。
「キリアン殿下はお優しい方ですから」
それはエイナーの中の怒りを再度刺激し、思わず顔が跳ね上がる。けれど、エイナーが口を開くより先にマーリットの口から一つため息が零れ出て、ふるりとベールが左右に揺れた。
「ですが、今回は諦めた方がよさそうですわね」
「今回と言わず、すっぱり諦めた方があなたの為だと思うがね」
エイナーの肩から離れた手が、その手に一通の手紙を持ってマーリットへと差し出す。ちらりと見えた封蝋には、手紙の差出人が兄であることを示す印璽が刻印してあった。
「あまり勝手をすると、流石の愛し子も愛想を尽かすかもしれないよ? 何より、犬の躾は飼い主の責任だ。体の不自由なあなたにも、それくらいはできるだろう?」
「あら。イェルド陛下も、犬の躾はあまりお上手ではないのではありませんか?」
「まさか。猛獣と犬を一緒にされても困るな」
「あらあら」
ほほほと笑いながら、マーリットは介助者に兄からの手紙を受け取らせ、ゆっくりと踵を返し始める。ただし、最後にこちらも嫌味を返すことは忘れない。そうそう、と進み出た一歩を止めて、ベールがわずかに父を向く。
「庭弄りがご趣味ですからご存知かとは思いますけれど、肥料を与え、水を与え、たっぷりの日差しを与えるだけでは、植物は強くは育ちませんのよ、イェルド陛下。綺麗な花を愛でるのであればそれでよいかもしれませんけれど、時には根を切り、葉を踏み、枝を手折ってやらなければ……嵐に襲われた時に、枯れてしまいましてよ」
それは、最後の最後までエイナーの感情を逆撫でする言葉だった。それでは失礼いたしますわ、と今度こそ背を向けたマーリットの後ろ姿に、エイナーはきつく拳を握り締める。
己の不甲斐なさへの反省と、望む自分となってマーリットを必ず見返してやるのだと言う、この先への決意を込めて。
そんなエイナーの頭を労うように父が撫で、どこか楽しそうにしながら苦笑を零す。
「……神殿にも、本当に困ったものだね」
その呟きを最後に、エイナー達もまたその場をあとにした。