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『なら、なんで隠すのかな。菜月らしくない』

菜月らしくない、か。

引っ込み思案でおっとりしててこんな俺にも尽優しくしてくれる菜月姉ちゃんらしからぬ……あれ?


「なぁ麗奈。ここ最近の姉ちゃんは麗奈から見て姉ちゃんらしかったか?」

『ううん。最近はやけにピリピリしてる気がするよ』

「麗奈はどうしてだと思う?」

『最初は単純に生理だと思ってたけど、何かが上手くいっていない。とかそんな雰囲気だね(;´・ω・)』


人の気持ちに機敏な麗奈が言うなら多分そうだろう。

「仕事は蓮さんが一緒だから問題は無いとして、私生活か?」

『それも君とお姉さんを抱きしめて癒されてるから充実してると思うよ(*´ω`*)』


麗奈に聞いたのは正解だ。俺一人だと相談してくるまで見逃すところだった。

「沙織さんとも仲良くやってるし、最近は神田さんとも仲がいいから人間関係も良好。それ以外で俺と親父を引き合わせては行けない理由……」

それは……

『殺人事件絡み』

殺人事件絡み。麗奈の文章と俺の考えはほぼ同時だった。

「なんてな。姉ちゃんが今さら真実を追いかけてるわけねえよな!」

『うんうん。菜月はああ見えてしっかりしてるから過去より今を見てる(๑´ㅂ`๑)』


麗奈と2人で有り得ないことだと笑いあう。

追いかけても犯人は雲隠れしてるし、誰も顔を覚えてない。

犯人を追いかけたとしても犯人に制裁を加えるには姉ちゃんは優しすぎる。証拠が残っていれば警察に突き出すことが出来るくらいだ。


『でも気になるね。お姉さんが聞いてみようか?』

「姉ちゃんが隠してることを聞くのもなぁ」


こういうのは踏み込むタイミングも大事だ。これみよがしに踏み込むと、訝しんだ姉ちゃんが頑なになって本音を聞き出すことが出来なくなる。


でも、俺よりは麗奈の方が聞き出せる可能性のは事実。俺は隠し事が下手くそだから勝負所の駆け引き以外は苦手だ。それに比べ麗奈には幸か不幸かポーカーフェイスがある。声が出ないから動揺しててもバレずらい。


いやいや、何麗奈を利用しようとしてんだよ。これは治してやるって誓ったじゃねえか。

『君の役に立てるならお姉さんの失声症も無表情も利用していいんだよ(o´艸`)いつかは君が治してくれるんだから(/ω\)』


「もちろんだ!けど心を読むなよ」

『顔に書いてあったんだもん( ⚭⃙⃚⃘᷄ᴈ⚭⃙⃚⃘᷅ )お姉さん大好きとも書いてあるよ(◡‿◡ฺ✿)』


「きゃいてあああるわけねえだろ!」

噛んだ。吃った。裏返った。

このタイミングでの不意打ちは卑怯すぎるだろ!

『悠太顔赤いよ?熱が出た?』

麗奈が熱を測るように俺の額に額を当てた。

顔が近い。吐息が当たる。いい匂いがする。まつ毛長いんだな……じゃない!

「熱なんかでてねえよ。ほら、買い物行くぞ!」


慌てて麗奈から離れた。顔があちい。

好きって自覚してからなんだこの体たらくは!しばらくは慣れそうにねえな。マジで。


『病院じゃないから女装していこ?』「しねえよ。俺が女装趣味みたいに言うな」

『悠太可愛いのに勿体ない(o´艸`)』

「勿体なくて結構だわ!俺は男なの!俺が本気で女に目覚めたらお前は嬉しいのか?」

「……ゃ」

麗奈はふるふると首を横に振った。

そうだろう?男じゃないとお前と添い遂げられ……じゃない!バレてねえよな今のは!

嫌って思うってことはなんだかんだ麗奈も俺の事を男として認めてくれて……。

『お姉さんは恥ずかしがる君を見たいからメス堕ちして羞恥が減るのは解釈違いです( ๑º言º)』

「解釈違いとか言うな!最近読んでる本とかに影響受けすぎなんじゃねえのか?」

『お姉さんが読んでる主人公の名前も悠太。大丈夫。何も問題ないよ(o´艸`)』


「今すぐその本持ってこいよ。破り捨ててやる!………………ちなみにヒロインの名前は?」


『麗奈(//∇//)』


書いたやつも連れてこいよ。謝らせてやる。

全くもってこいつは本当にもう俺の気も知らないで。



――――俺の心の天気を乱してきやがる。

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