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「確かに私は平均より少し大きい方ですけど、私より大きい子は他にもいますよ。後私の名前は千秋です!お前じゃありません!」


平均より少し?俺より少し目線が高いのに!?ん?目線が高い?


「わるかった、なぁ千秋……女子小学生の平均っていくつだ?」

俺にとってトラウマになるかも知れない質問を恐る恐る投げかけた。


「えっと、146cmですよ。私はそれより3cm高い149cmですっ」


遠近法と言うのはこんなにも恐ろしい物だったのか。

いや、この子を自分より身長が高いと思いたくなかった俺の無意識の決めつけだったのかもしれない。

「悠太さんは何センチですか?」


あっけらかんと、虫も殺さぬような笑顔で千秋は俺に聞いてきた。

「……149.1」

「私より1ミリも大きいんですねっ。良かったです!私より小さかったら気まずいなーって思ってたんです!」

千秋はほっと胸をなでおろし、俺の身長を聞いて喜んだ。雪兄は生温かい視線を俺に向けた。麗奈は148cmでしょ?と言いたげにこちらを見ている。


「お、おう。俺は高校生だからな……」

結局、口でも身長でも、俺の負けだよ。ちくしょう……ちくしょう。

「悠太……飯、食ってくか?今日は俺の奢りだ」


雪兄が俺の肩に手を乗せて言った。

俺はアンタを生贄にして生きのびたのに慰めてくれるというのか……。


「……ありがとう雪兄」

昨日は悪かった。心の中で付け足しておく。

『雪人さんごちそうさまです(o´艸`)』

「いいぞ。お前達にはいつでも飯を食わしてやる」


「次は涼夏も連れてきていいか?」

「たまっっっにならいいけど普段からは勘弁してくれ……店が潰れる」


あいつに無料で食べ放題って言ったら学校帰りに毎日来るだろうな。

そして毎日食材を食べ尽くして帰るに違いない。


「了解……そんじゃ。飯食わしてくれー」


「おう!まかせておけ!」


「んじゃ、邪魔するぞ」『お邪魔します(◡‿◡ฺ✿)』

気を取り直して玄関から中に入る。

雪兄の後に続き、店の方へと回った。


シャッターを閉めたままの店に来るのは初めてだけど、少し薄暗い。それといなくて当然だが、客が人っ子一人いないので寂しく見える。


これがお昼頃になると、混むんだもんな。

俺が越してきた時には閑古鳥が鳴いていたこの店も、今や人気店へと様変わり。


この店の幸運の招き猫は静香だ。

美人な女子高生が居る。それだけで客足が増えた。

あいつを雇ってからと言うもののあいつを目当てに来た客がこの店の味にハマり、静香がいない時間帯でも客が来るようになった。


嬉しいことだが、好きな時にいつでも来て食えた飯が並ばないと食えなくなって俺的には少し不便と言ったところだ。


厨房に面したカウンター席に座ろうと椅子に手を伸ばすと麗奈がそれを右手で遮った。

ここに来てもワガママが通用すると思うな。家と違って椅子なら沢山ある。

1個右の椅子に手をかける。麗奈が押さえる。

「麗奈……その手をどけろ」


いたちごっこになるのが目に見えていた。

『駄目です』

スマホの文章を見たあと、確固たる意志を持ったように見える麗奈と目が合う。無表情だけど、俺の邪魔をしようとオレンジがかった黄色い瞳が輝いて見える。


「あのー、お2人とも何してるんですか?」

俺と麗奈のプライドをかけた戦いに水を差す千秋。純粋な小学生には分かるまい。この聖戦とも取れる戦いが。

これに負けたら俺は家族だけではなく、外でも年上お姉さんの膝の上で食事をする変態野郎、のレッテルが貼られるんだ。

もちろん、どっからどう見ても姉妹が仲良くご飯を食ってる微笑ましい食事と言った感じに周囲の目には映るだろう。

「俺が負ければ俺の男としてのプライドを踏みにじられるんだ……だから千秋。今はこいつとの戦いに集中させてくれ」


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