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麗奈も腹を殴られたから診察を受けさせたが、無事だったようで安心した。

姉ちゃんの心配も徒労に終わり、俺は晴れて無駄骨を折り、留年が確定したと言うことだ。


――――――

桜亭を訪れると、まだシャッターが閉まっている。

当然だ。まだ10時を過ぎた頃。開店時間は11時半だ。

なので俺は裏手にある玄関へと周り、インターフォンを押した。


ピーンポーンと音が鳴り、しばらくして繋がった。

『悠太か。ちょっとごたついてるから待っててくれ』

カメラ付きのインターフォンって便利だな。インターフォン越しに俺を認識して、こっちが何か言う前に切られた。


うちのインターフォンは通話はできてもカメラは付いてないから、カメラ付きに変えるのも良いかもしれない。防犯対策として姉ちゃんに付けないか提案してみよう。


『雪人さん忙しそうだったね(o´艸`)』

「開店前だからな。準備でいそがしいんじゃないか?」

『雪人さんならいつも1時間前には終わらせてるって言ってた気がするけど』

確かに。昨日姉ちゃんの説教が長すぎて疲れて寝坊したとか、23時過ぎまで、実に3時間くらい怒られてたからな。有り得そうだ。

今更になって昨日生贄にした罪悪感が湧いてきた。


「寝坊したんだろ。たるんでる証拠だ」


俺は罪悪感を跳ね除け言い切った。雪兄が姉ちゃんの胸を見てたのは事実だから、俺は悪くない。

女性の胸を見ながら話すとか、全くけしからん。男の風上にも置けんな。


『案外誰か来てるのかもよ?彼女さんとか(//∇//)』


「雪兄に彼女?無い無い」

『あれだけカッコいいんだからいてもおかしくないと思うけど(;´・ω・)』

「居たとして雪兄が俺たちに隠すと思うか?隠しててもバレるぞ。嘘が付けないから」


嘘をつこうとするとすぐ顔に出るからな。葉月姉ちゃんにイタズラをしようとしてよく怒られてたし。

『悠太も分かりやすいけど雪人さんもわかりやすいね(o´艸`)』

「俺以上にわかりやすいだろ。だから雪兄に彼女はいない。きっと寝坊だな」

『お姉さんは彼女に100円(*´ω`*)』


俺たちが玄関前で、大変失礼な、憶測を立てていると、玄関の扉が開き、雪兄が何かを隠すように顔だけをのぞかせた。

「おはよう!来てくれたとこ悪いんだけど今少し立て込んでてな、どした?」


寝癖は立ってないから寝坊ではなさそうだし、話し方は少し早口で取り繕っている。怪しい。これは何か隠してるぞ。


「なんだ雪兄、彼女か?」

雪兄の顔が一瞬引きつった。

「そ、そんなわけないだろ。何しに来たんだ?」


やけに話の続きを急ぐな。これじゃまるで何か隠してるから詮索してくれと言っているような物だ。

なんか雪兄を困らせたくなってきた。

「雪兄、俺達小腹が減った」


「そ、そうか、悪いけど今日は駄目だ……1000円やるからコンビニでも行ってこい」

「……そんな……雪兄は俺達の栄養バランスなんてどうでもいいんだ……」

『』

俺は心底悲痛な面持ちで言った。麗奈も顔文字で俺に続く。


この、少年少女の幼気な姿は熱血系の雪兄には効果的面のようで、扉をバン!と音を立てて開き、腕を広げた。

「馬鹿野郎!俺がお前達をどうでもいいと思うわけないだろ!!さあ中に入れ!好きなもの何でも作ってやる!!!」


兄貴分として頼られた事をいい事に、見栄を切った雪兄は言い切った。

その後ろには信じられない物が立っていた。

髪は黒、身長は俺よりも小さく、大体140cm後半くらいだろうか。

肩で切りそろえられた髪は可愛らしく、目はパッチリとした、中学生くらいの……少女。


「麗奈……通報してくるから。雪兄には絶対近寄るなよ」


身内に犯罪者が出るのは悲しいけど仕方ない。

これも街の安全を守るためだ、許せ雪兄。


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