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「口では人を遠ざけようとする癖に、人を助けちゃうところとか〜さっきの笑顔とか。色々似てるところがあると思いますよ〜」


「ハッハッハお嬢さん……俺を口説いてるのかい?……すまないが俺には愛する家内と娘と息子がが居てねぇ。お嬢さんの好意には答えられないんだ」


なんだこいつ……突然姿を現して本当は愛してるとか抜かしたと思ったらキャラ崩壊もいいところだ。違和感がありすぎて本当に親父なのか疑わしい。


声を上げ、ご機嫌そうに笑う親父に俺も沙織さんもドン引きだ。


「悠太くん……悠太くんに聞いてた父親像と違いすぎて怖いんですけど〜」

親父……この沙織さんを怖がらせたのは俺が知る中で初めてだぞ、全然光栄でも何でもねえけど。


「うちの親父がごめん……俺も目の前の人間が本当にうちの親父か疑ってたところだ」


本当に、できれば違う人であって欲しい。これなら厳格だった親父の方がマシだ。


「いやー。今日は気分がいい。さっさと帰って灯ちゃんに話すとしよう。それではお嬢さん、悠太。また来る」

親父は気絶した内藤を肩に担ぐと、姉ちゃん達にも軽快に挨拶をして去っていった。


その後ろ姿はスキップでもし始めそうなくらいご機嫌だった。

また来るって言ってたけど幻聴である事を願おう、出来れば暫くは会いたくない。

俺と親父の久しぶりの再会は最悪で、ちょっぴり幸せだった。


「帰ろうか」「ですね〜」

ここまでほぼ空気だった雪兄が言った。それに同意したのは沙織さん。

他のみんなも呆れ顔で頷いている。


厳格を絵に表したような親父が俺に愛を解き、ましてや満足して帰るご機嫌な後ろ姿を見せられ、呆気に取られた俺達は解散して帰る事にした。


内藤の部下たちを連れた沙織さん、伏見さんと別れた俺達は雪兄と姉ちゃんの車に別れて帰ることになったのだが……。


静かな怒りを俺に向ける姉ちゃんの視線に気づいた俺は、雪兄の車に乗り込みそっと車の鍵を閉めた。

俺をそそのかした麗奈と唯ももちろん一緒だ。


どうせお説教は確定してるんだ。

少しでも姉ちゃんと同じ空間にいる時間を減らしておかないと、何時間にも渡って叱られるのが目に見えている。

俺は俺に取れる最善策を取っただけだ。決して姉ちゃんが怖かった訳じゃない。


俺が先に着けば、自室に籠って出てこないと踏んだ姉ちゃんの車はいち早く港を出発していった。

それを見送ってから雪兄の車も発進した。もちろんおれは出来るだけゆっくり帰るように雪兄にお願いした。

「姉ちゃん。怒ってたな」「怒ってたわね」


俺が車に乗り込んだあとの姉ちゃんの様子を思い浮かべながら言うと唯が反応した。



「かえったら酷い目に遭うんだろうな。また夜中まで叱られるパターンか」


バンバン窓を叩きながら俺に何かを言う姉ちゃんの顔は思い出しただけでも身震いする。


「でもほら、今回は私と麗奈さんがけしかけたんだから……」


「それでも。乗ったのはおれだ。お前らのせいにするつもりはないよ」


ただし。一緒に怒られてもらうとしよう。仲間なんだから苦難を共にしてこそだ。


『怖いけど一緒に怒られようね(;´・ω・)』

「だな。まあ、命までは取られないだろ。折角生きて帰ってきたんだからこんなところで死んでたまるか」


命が惜しいと思うようになっただけ大した進歩だな。4ヶ月前の俺ならこうは思わなかった。

いやー変わった事に気付かせてくれた姉ちゃんには感謝しかないね。


唯と麗奈とこの後の話をしていると、運転席に座る雪兄が、はぁ、と俺達の未来を憂うようにため息をついた。


「お前ら菜月をなんだと思ってるんだ」

違った。呆れてただけだ。

「優しい美人な姉ちゃん。胸大きい」

なので、俺は速攻でシスコン目線で見た姉の人物像を言ってやった。


「まるで鬼みたいな言い方してたぞ。まあ、胸は大きいな」


「失礼な。うちの姉ちゃんは天使のような笑顔で温かくて1人じゃ眠れないところも可愛いんだぞ。胸も大きいし。なぁ麗奈」

麗奈がコクリと頷く。


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