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麗奈と離れ離れは嫌だな。強くなろう。

嫌いな牛乳だって飲むし、体を鍛えちゃいけないなら技を磨こう、久しぶりに琥珀さんや雪兄と稽古するのもありかもしれない。


いや、琥珀さんはやめておこう。ボロ雑巾みたいにされるのが目に浮かぶ。


『悠太はお父さんが戻って来てって言ったら実家に戻るの?』


ふと思いついたであろう疑問を麗奈が投げかけてきた。

ここでの生活は気に入ってるし、戻るって選択肢は無いな。


「帰らないよ。お前との約束の方が俺には大事だ。」


まだ、こいつの笑った顔を見てないのに実家に帰れるわけがなかろう。


麗奈は顔を上げると、前かがみになり、人差し指で口角を押し上げ歪な笑顔を作って見せた。


物理的に作った笑顔も今は嬉しそうに見えた。



「ここに居たのね。邪魔してごめんなさい」

麗奈と静かな時間を過ごしていると唯がやってきて俺たちに声を掛けた。


「いや、もう大丈夫だ」

唯に返事を返し立ち上がる。多分呼んでこいって言われたとかそんな所だろう。


「処分も決まったからそろそろ呼んでくるように言われたのだけれど……麗奈さんはもう平気かしら?」


俺抜きで決めちまったのか、内藤の処分くらいは俺が決めたかったんだけど……まあでも沙織さんと親父のことだ。生温い事はしないだろう。

特に沙織さんは怖い。末恐ろしい。性犯罪を犯したやつなんて二度と世に出てこないよう徹底的にやるに違いない。



『心配かけてごめんねヾ(・ω・`;)ノもう大丈夫だよ(/ω\)』

「本当かしら。今日は悠太くんと私、両方に抱きしめられて眠るサービスとかおすすめだけれど」


麗奈を気遣った一言の裏には別の感情が見え隠れしている。恐らく恐怖。


「唯も……怖かったよな」

「そ、そんな事ないわよ」

俺がそう言うと、唯は一瞬表情を曇らせて、また笑顔を作り誤魔化した。

自分より怖い思いをした麗奈が目の前にいるからって遠慮する必要なんかないのに。


「そうか。麗奈を抱きしめて寝るかどうかは後で話し合うとして、向こう行くか」

「ええ」

敢えて見なかったふりをした。

俺達に背を向けた唯を先頭にして倉庫へと歩き出す。


けど唯をそのままにしておくつもりもない。唯のメンタルケアは麗奈に任せるとしよう。

考えはある。俺も得が出来て、唯も安心を得られ、きっと麗奈も喜ぶだろう。


隣を歩く麗奈の肩を叩き、耳を寄せるように手でジェスチャーを出した。

「麗奈……唯を抱きしめてやってくれ」


俺が耳打ちをすると麗奈はほんの軽く視線を上に向け考える素振りを見せた。

そして直ぐに俺の意図を察したようで、顔の前で小さくOKサインを作るとすぐに小走りで唯に歩み寄り、唯の体を後ろから抱きしめた。


麗奈に抱きしめられた唯は何事かと肩を強ばらせたが、麗奈さん……と熱の篭った声で呟くと後ろから回された手に、自分の手を添えて麗奈の抱擁を受け入れた。


これだ。やっぱ頑張った日には、これ(百合)が必要なんだ、俺には……この瞬間が1番救われる。


だがしかし。俺にはやる事がある。


「俺は先に行ってるから、落ち着いたら来てくれ」


自分から始まった事件の幕引きくらいさせてもらわないと気が済まない。


2人の横を通り過ぎる。もっと見ていたい。そんな気持ちを抑えつつ、後ろ髪を引かれる思いで、1回だけ振り返り、俺は倉庫へと歩いた。


倉庫の中へ入った俺の視界に入った光景は、今すぐ踵を返して、百合空間を鑑賞しに行きたくなるほど気が滅入る物だった。

と言うのも、仁王立ちする沙織さんの前で、下着姿のおっさん達が肩を並べて正座をさせられている。

2度目とはいえ、なかなかの地獄絵図だ。例に漏れず、紳士だったおっさんも、内藤も同じだ。

うえっ、デブおっさんのパンイチとか誰得だよ。

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