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 外では女装しないって言って何回目だ?もう数えるのすら面倒くさい。つうか、レギンススパッツって当然初めて履いたけどケツの部分が締まるのな、なんか変な感じだ。


 麗奈も唯も普段しない格好だが良く似合ってる。

体のラインがよく出るスパッツにモデル体型の麗奈はぶっちゃけ目に毒だ。

こう言ったら怒られそうだけど足のラインが非常にエロい。


唯も、普段が地味目の格好をしてるから、活発的な女性の格好だから新鮮味が強い。

テニスとかやらせたら似合いそうだな、うん。


俺は……周囲から見たら美人な姉2人に連れられて買い物をしてるちんちくりんな妹という風に見えているのだろうか。

はっはっは!まさかこの俺が唯と同級生で、しかも男だとは思うまい!俺も最近自信がなくなってきたよ。ちくしょう。


こうなったら歩き方だけでも男らしくしてやる。今でこそ年上のお姉さんや同級生の女の子から着せ替え人形見たいな受けてるけど、俺だって数ヶ月前まではヤンキーみたいな事をしてたんだ。


パーカーのポケットに片手を突っ込み、もう片方の手でカバンと制服の入った袋を肩にかけ、肩を怒らせ風を切り足を開き気味にして2人の前を歩く。きっと今の俺は最高に男らしい、はず。


「悠太くん、残念だけどそんな事しても可愛いヤンキー少女が無理して悪ぶってるようにしか見えないわよ」

後ろから投げかけられた唯の身も蓋も心もない言葉はグサッと俺の心に刺さり、先頭を歩いていた俺の足は止まった。


急に立ち止まった俺の真後ろを歩いていた2人も、ぶつかりそうになり足を止めた。


俺の顔はきっと地雷を踏み抜かれた事でぐしゃぐしゃに歪んでいるだろう。2人の方を振り返る事無く言った。


「俺は……お前を助けた時も、同じ歩き方をしてたんだぞ……?」


 声が震えてしまった。

あの頃の方が思春期真っ只中で今より数段ぶっきらぼうだったまである。

「あの時もナンパから私を助けるなり、安全なところまで連れてってやるとか言って先に歩いていく悠太くんの後ろついてったけど……可愛かったわよ」


街中のヤンキーを研究したりして立ち振る舞いにだけは自信があったのに、俺のひたむきな努力ですら、この見た目の前では可愛く見えてしまうと……?



「ガックリしても事実なのだから仕方ないじゃない。見た目は可愛いけど、行動はかっこいいわよ」

「……下手な慰めはやめてくれ。どうせ俺は女々しい男だよ」

「女々しいと言うか見た目は男の子じゃなくて完全に女の子なのだけれど」

カッとなって言い返そうとして唯の方にガっと振り向いた。

「俺はっ」「ちょっと転ぶわよ」「うべっ」


……痛い。言われてすぐ転けるなんて、今日はもう踏んだり蹴ったりだ。

顔だけを上げ、唯の方を見る。

目を見開く、俺達と道路を挟んで何やら黒服の男達3人が明らかにこちらを指さして話し合っている。

俺と目が合うと、男達はこちらへ早歩きで歩き始めた。


今日は監視の目を感じないと思ってたら向こうに取っての決行日だったのかよ!


「唯!麗奈を連れて逃げろ!!!!」


唯に檄を飛ばして立ち上がり、二人の間を通り前に出た。

「ど、どういうこと?」

「麗奈を攫いに来たんだよ。俺の事はまだバレてない」


男たちに聞こえないように声を抑え気味にして動揺する唯に言った。


「だとしたら逃げないと」

3人で逃げようにも運動が苦手な2人を連れて成人男性3人からはどう考えても逃げきれないだろう。

「麗奈と一緒に逃げてくれ。ここは俺が抑える。大丈夫だ、俺もいい所で逃げるから」

『だめだよ。悠太も一緒に逃げるの』

麗奈が俺の服を引っ張っている。

「それこそダメだ。逃げきれなくなる。大丈夫。俺達には約束があるだろ」

俺の服の裾を掴む手を優しく外し、麗奈に言い聞かせる。

唯と麗奈の背中を軽く押して、男達の方に向き直り、息を大きく吸う。左足を前に出し、右足を少し外側に開き、浅く腰を落とす。距離的には後6メートル。


「よし」

チラリと後ろを振り返ると、唯が抵抗しようとする麗奈を引っ張って逃げてくれている。


極力顔が見えないようスポーツキャップを目深に被る。


信号無視をして渡ってくる男達は俺など視野に入れてないようで、前方にいる俺を避けて通り過ぎようとしている。

俺は助走気味に右足で地面を蹴り出し先頭の男にカウンター気味の蹴りを放つ。


「うぎゅっっ!!!」

鳩尾に吸い込まれるように靴の裏が突き刺さり、男の1人が後ろに吹っ飛び、後ろにいた2人を巻き込んで倒れた。


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