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マグカップを持ってソファーから立ち上がると麗奈もカップを渡してきた。

「ココアでいいか?」

「……ぁぃ」

麗奈の返事を聞いてキッチンへと移動する。冷蔵庫から牛乳を取りだし、麗奈のマグカップにぶち込むと電子レンジに入れ、加熱ボタンを押した。


ブーンと電子音がなり始め加熱が始まった。この音を聞いてると消えかけていた眠気が……。

水道から水を出し、片手を水につけ少し眠気を飛ばすと、電気ケトルを手に取る。

水をぶち込んで電気ケトルのスイッチを押す。


インスタントコーヒーとココアの粉を棚から取り出す。湯が沸くまで暇だな。

ソファーに目を移すと、麗奈が落ち着きなく足をパタパタしていた。

テーブルに本を置いて立ち上がると、こちらに来てダイニングカウンターに手を着いて体重を預け、俺と対面した。


『君が近くに居ないと落ち着かないみたい(;´・ω・)』


文字通り何処へでも着いてくるからそうなるんだろ。

唯一俺が家に居て1人になる時間は風呂に入る時だけ、油断すればその時間ですら邪魔されそうになる。


風呂を出ようと扉を開けたその先で、バスタオルを巻いた姿の麗奈と鉢合わせした時もある。

もちろん俺は風呂を出る時にバスタオルを巻いている筈も無く、麗奈に裸体を晒した。


なんつうか、その、元気になった悠太の悠太くんも……。


「まあ、俺もお前が居ないと落ち着かないかもな」


実際嘘ではない。麗奈から離れてキッチンにいるだけでも、つい麗奈の事を目で追ってしまう。

『悠太も!?(o´艸`)』


「……多分な」


『素直じゃないなー(/ω\)』

嬉しそうにする麗奈に、素直に認めるのは恥ずかしくなって、誤魔化してしまった。

これが親父に似ていると言われる部分なら、癪だ、非常に癪に障る。


短いメロディが背後で鳴った。牛乳の温めが終わったようだ。

手にミトンをはめて電子レンジから熱くなったマグカップをキッチンカウンターの上に置いた。

ミトンを一旦外し、引き出しから計量スプーンを取りだす。ココアの粉を適量マグカップに入れて、カチャカチャと混ぜる。


「ほら出来た。熱いから俺が運んでやるよ」

『いい。ここでココア飲みながら君のコーヒーが出来るの一緒に待ってる』

試しに素手でマグカップの取っ手を触ってみる。これなら大丈夫か。

「持ち手は熱くないけど、気をつけて飲めよ?」

カウンター越しに、麗奈にマグカップを渡すと、熱々のココアに1口、口をつけた。


「……ぁちゅぃ」

ほら言わんこっちゃない。

無表情で、ペロッとピンク色の舌を出して主張してきた。

『ふーふーして』

甘えたいのだろうか。麗奈のマグカップを手に取った。


「……ちぁぅ」

麗奈は、平然と、指を指した。自分の舌を。


静寂をかき消すようにカチリとケトルのスイッチが切れた音が鳴る。

俺は無言でマグカップを麗奈の前に起き、ケトルを取りに後ろを向く。


「さて、湯が沸いたからコーヒーを入れるとしよう。すまんな」


マグカップにインスタントコーヒーの粉を入れ、お湯を注ぐ。

舌を出したまま、佇む麗奈を無視してリビングへと戻りソファーに腰かけると麗奈も諦めて戻ってきて隣に座った。


「クーラーの聞いた部屋で飲むホットコーヒーは格別だな」

麗奈はココアだけど、コクコクと頷いて答えた。

外は寒いのに部屋を暖かくして、冷たい物を飲む、その逆もまた然り。この飲み方が1番美味い。異論は認めない。


『これでアイスなんて食べたら幸せになっちゃうね(o´艸`)』

熱いものを食べながら冷たい物か。それも乙だな。


「ありだな。でもアイスは風呂上がりに食ったのが最後だったな」

『買いには行けないから大人しくしてよっか(;´・ω・)』

「そうだなー。今出掛けて姉ちゃんが先に帰ったら朝まで説教待った無しだな。オセロでもするか?」


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