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はあ、なんでこんなにも憂鬱なのだろうか。気分だけで言えば3日前の俺の気分は非常に晴れ渡っていた気がするんだけど。

多分、この憂鬱はこれから電話をかける相手が嫌で嫌で仕方ないからだろう。


電話自体は3日前から掛けようと思ってたんだけどなー。いざ自分からかけるとなると尻込みしちゃうんだよね。

尻込みすること3日間、俺は日曜日を迎えていた。



「ええいままよ!!」

スマホに表示された親父の名前を親指で力いっぱいタップした。

そしてスマホを耳に持っていくとスマホからは通話中で繋がらない事を告げる音だけが虚しく響いていた。


いざ意気込んでかけてみたのに興ざめだ。

リビングのソファーにスマホを放り投げてその横に自分も座り、背もたれに全体重を預けた。


『何してるの?』

ソファーの対面側に座り、本を読んでいた先客の麗奈が可愛らしく小首を傾げ、その動作とは不釣り合いな無表情でスマホをこちらに見せた。


右手に持たれた本の方に目が行く『年下男の娘は年上クールなお姉さんに夢chu〜♡2』病院の待ち合い室で読んでたやつか、それ続いてたのね……。

俺と麗奈にしか見えないんだよな、タイトルも、表紙の絵も。


「親父に電話したけど通話中だった」

麗奈に事実だけを伝えてボーッと天井を見上げる。

指を1本動かして電話をかけるだけでこんなに労力を使うなんてな。まあ、あれだ気疲れだ。


対面側で麗奈の動く音が聞こえた。

親父は……今日中に連絡が着けばいいか。そもそも俺から伝えることなんてクレームでしかないし、親父がまともに取り合ってくれるとも限らない。


そんな事を考えているとソファーの背もたれが沈み込み、上から麗奈の顔が覗き込んできて麗奈の手が俺の頭を優しく撫でてきた。正面から。


つまり俺の顎の先には麗奈の胸元があり、大きく開いた俺の両足の間には麗奈の膝が差し込まれている。


「そんな逃げ場所塞ぐようにしなくても俺はどこにも行かないぞ」

元より今日は日曜日、どこにも出かけるつもりは無い。

ここ数日、ふとした時に何処かから何者かの視線を感じる事が増えてきた。

学校帰りなんかは特に視線を感じることが多い。人に見られ続けるのは本当にストレスがかかる。

しかも視線を感じて振り向いても誰もおらず、見かねた涼夏に「悠くん厨二病にでも目覚めたの?右目が疼く?」なんて茶化されたり始末だ。


『ここ数日気を張ってて疲れてるから。沢山甘やかして上げる(/ω\)』

それは是非とも有難い申し出なのだが……如何せんこの体勢は麗奈が近すぎてドキドキしてしまう、俺だって健全な男子高校生なのだ。


「撫でてくれるのは嬉しいけどさ。ちょっとこれはマズイと思うんだけど」


というか最近やたらと距離が近い気がする。俺に対する信頼感の現れだと思うけど心臓がいくつあってもたりゃあしない!!!

『これってなぁに?』


じーっと俺の瞳を見つめながらスマホを見せてきた。

「その、近いというか、いや、もちろん嫌なわけじゃないんだぞ?」


ただ、俺もあまり近すぎると邪な気持ちが湧いてこない訳が無い、むしろ湧き出てストッパーを外し、麗奈に襲いかかってしまうまである。


だけど、麗奈は俺の傍に居て姉面をしてくる同居人、恋人でも何でも無い。

麗奈は亡くなった妹の真姫ちゃんを俺に重ねて甘やかしてくるだけで、他に意味はない筈だ。

だから俺は優しくしてくれる麗奈に対して少しでも邪な気持ちを持ってしまったことに罪悪感を覚えてしまう。


『悠太はお姉さんにドキドキする?』

「そりゃーお前は美人だからドキドキもするだろ、だから離れてくれ」

『そっか(/ω\)』


素直に言ってよかったのかな……。そもそも質問の意図が分からないけど。

俺の答えに満足したのか、麗奈は立ち上がり、一旦離れると俺のスマホをテーブルの上に退けて、隣に座った。


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