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登校中に眠たい目を擦り、欠伸をひとつ、まったく……昨日は酷い目にあった。


帰った瞬間俺達を待ち受けていたのは薄暗くしたリビングでテーブルに置いたスマホを眺めてボーッとしている姉ちゃんが座っていて、俺が声を掛けても反応せず、正面に回ってみると俯いていて、顔を覗き込むと虚ろな目で「私の悠太が……」とボソボソ呟いている姿はさながらホラー映画のワンシーンを直視した時みたいに鳥肌が立った。


姉ちゃんの肩を揺すると我に返ったみたいで、それから4時間くらいか、麗奈と2人で説教をくらうことになった。


「ねむてぇ……」

「悠くんたちがなっちゃんを怒らせるからだよ……」


姉ちゃんを心配させたのは本当に悪いとは思ってるけど仕方ないじゃん、ピーチクパーチク琥珀さんが騒ぐんだから。


「でもほら、ちゃんと成敗してきたからノーカン」

「ほんと?ちゃんと極楽浄土に送ってあげた?」


中田が選択を間違えれば、琥珀さんの一撃で極楽浄土に送る事は出来たかな。


「五体満足で帰らせてやったから残念ながら生きてる、なんなら今日も登校してくるよ」


「へー、あんな事したのに見逃したんだ……」

涼夏が明らかに不機嫌な表情に変わった。昨日の今日じゃ許せねえよな。中田、頼むから今日は俺に接触してくるなよ。


「か、春日くんおはよう」


朝から見たくもねえ顔を見た気がする。涼夏の耳を塞ぎ無視して通り過ぎた。



「悠くんいきなりどうしたのー?」


「ま、待ってくれ」

うるさい間が悪いんだよ。中田が言い終わるのを待ってから、涼夏の耳から片手を離し、中田に離れるように手でしっしと合図を送った。


「悠くん何も聞こえないよー!」「春日くんの幼なじみさんに謝りたいんだ!!」


バッドタイミング……。涼夏が気づいてしまった。ほら、涼夏が昨日のような形相で睨んでる。

「悠くん、なんでこの人が話しかけてくるの?」


冷たい言葉と共に涼夏は闘争心を剥き出しに手をグーにして構えた。


「まあ、謝りに来たんだってよ」

「謝りに……?」

一瞬キョトンとした顔を浮かべた後、またすぐに鬼の形相に戻った。

「許すわけないでしょ、葉月ちゃんの事書いて……あれを読んだら悠くんが傷ついてたんだよ?それに麗奈さんと悠くんがどれだけお互いの事を大切にしてるか分かって言ってるの?」


「ご、ごめん……」

「これは謝って済む問題じゃないんだよ?だから例え悠くんがあなたを許したとしても私はあなたのことを許しません」


残酷で完全な拒絶の言葉をピシッと言い切って涼夏は中田に背を向けた。

「わかってる……。ただ、一言謝りたかっただけだ」


「ふーん。言葉だけ受け取っておきますね。じゃ、悠くん麗奈さん、行こっ」


涼夏にここまではっきり拒絶されたなら、学校でこれ以上俺達に絡んで来ることもないだろう。


「じゃあ、俺達は行くから」

冷たく突き放すようで悪いけどこれもこいつの為だ。

麗奈どころか涼夏も現状許してくれないんじゃこいつに入り込む隙はない。

そもそも俺も許した覚えはないけど……まあこれからの頑張り次第だな。


「あ……春日くん……」

「なんだよ」

「SNS消しといたから……後春日くんのクラスにも行って説明する」


それは願ったり叶ったりだが、そんな事をすればこいつは学校に来れなくなる程虐められるんじゃねえかな。

自業自得とは言え、まだ役に立ってもらわないと困る。

「いや、クラスの方は大丈夫だ。後は俺が何とかする。別に仲のいい奴らは分かってくれてるし、気にするまでもない」


これは姉ちゃんの教えでもなく、俺の持論だ。

中田と話をしていると制服の袖を引かれた。

『行こ(*゜▽゜)ノ』

嫌いなのは分かるけど、少しくらい話をしてやってもいいだろ、まったく。


「それじゃ、変わった事があったら言ってこい。情報提供は大歓迎だ」

そう言って中田と別れ、教室へと足を伸ばした。


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