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今日は平日の月曜日、しかも祭りの翌日と言うこともあって、校内で会った生徒はみんな若干の疲労感を抱えた表情をしていた。


俺もそのうちの一人ではある、原因はまあ、他とは違って小うるさい小姑みたいなクラスメイトによって、何故合流しなかったのかと問いただされていたからに他ならない。


あいつらマジで容赦がないんだ、堪らず逃げ出した昼休み以外はずっと詰め寄って来るんだもん。

道に迷ったって説明しても怒るし。どうしろと……。


海も全部分かってるぞ。とか言いながら俺を庇う素振りを見せつつ、その時ばかりはあいつの事を良い奴だと思ったが、次の瞬間だ。


麗奈先輩綺麗だもんな!!と要らんことを言って、静香に殴られてた。ざまあみろ。


学校の外を笑いながら歩いている生徒が揺れる視界に映る。

あぁ、俺も早く帰りてぇ。


「なぁ……なんで私を誘ってくれなかったんだよー!!!!」


俺は今激しく揺らされている。誰にも誘われなかった琥珀さんの手によって。


「麗奈に聞いてくださいよ」


全員の誘いを断って俺を連れ出した元凶に聞いて欲しいのにどいつもこいつも俺を責めやがって。


「聞いたさ!!そしたらあいつなんて言ったと思う!?」


もう実践済みだったのか、麗奈が琥珀さんに隠し事をするとも思えないから素直に答えたのだろうか。


「わかんないっすよ、て言うか揺らすのそろそろやめてください。吐きそう……」


体感にしてもう5分だ、ずっと揺らされ続けた俺の体は既にグロッキー状態を迎えている。

昼に食ったものが出そうだ。


「ああ、すまない。ついカッとなってな」


やっと手を離してくれた……うぅ、気持ち悪い。

「それでな!聞いてくれ!私の誘いを断ったのに何故少年と祭りに行ったか聞いたんだ」


「それで麗奈はなんて?」


「内緒って文章にハートマークがついてただけだぞ!あいつが私に隠し事をしたことなんて、あいつが一人暮らしの時に持っていったご飯の食器を洗わずにいた事を隠してたことだけだぞ!!!」


あいつらしい隠し事にふっと笑いが吹き出した。

でもなんで内緒なんだ?確かに俺を連れ出すのが理由なら琥珀さんの誘いを断る必要は無いし。


「きっと麗奈なりの事情があったんじゃないすか?」


俺からこの人に言えることはこれだけだ、寧ろ理由があったなら俺も知りたいくらいだ。

「保護者の立場も少年に奪われ……麗奈と一緒にいる時間も、更には祭りに一緒に行く権利まで……」


そもそも保護者役を押し付けたがっていたのは琥珀さんだった筈。


「どれだけ私から奪っていけば気がすむんだ君は!!!」

ドンと壁に手をつき、所謂壁ドンの形だけど、何もときめかない。

琥珀さんが本気で言っているなら申し訳なさが勝ってしまう。


「俺のせいっすよね……すみま」『何してるの?』


ズキズキと心の奥の痛みに耐えながら謝ろうと言葉を発した時、話の渦中の本人が現れて、俺と琥珀さんの間にスマホを割り込ませた。

教室に俺が居なかったからわざわざ探しに来たんだろうな。


「れ、麗奈……これはだな……!?」


『これは何?聞こえてたけど』

慌てた琥珀さんが俺から離れ、弁解を始めたが言葉が思いつかないようだ。

今回は俺のせいみたいだから仕方がない、助けよう。


「琥珀さんも寂しかったんだよ。麗奈も俺が麗奈から誘われた時にそのまま一人で行けって言ったらどう思う?」


『それとこれとは別』


あれ?思ってた反応と違う……。てっきり、悲しいって返ってくると思ってたんだが……。

麗奈があまりにもわかりやすく怒っている為、琥珀さんの顔がみるみるうちに真っ青になっていく。

「すまない。麗奈、本気じゃないんだ」


遊びだったんだ、に繋がりそうな浮気した人の言い訳みたいだな。

冗談だったならよかった、本気だったら行動を考えなきゃいけないって焦ったぞ。



『私は寂しかったら寂しいって言う。寂しかったのは本当なんでしょ?それを悠太を呼び出して影でコソコソするのはどうかと思う』


琥珀さんの弁解も虚しく麗奈の攻撃は続く。

「それは……」

凛々しく真っ直ぐな先輩は目に涙を浮かべて黙り込んでしまった。


『私は悠太も大事だけど、同じくらい琥珀も大事だよ。だから悠太に八つ当たりするのはダメ』


この文章を見せた後スマホを握ったまま琥珀さんを優しく抱きしめた。


「れ、麗奈」

抱き返す琥珀さんの手は震えている。

『』

「麗奈ぁぁあああ!!!!」

こちらからは麗奈が打った文章は見えないけど、琥珀さんは大粒の涙を真紅の綺麗な瞳から流して声を張り上げた。

多分、嬉しい事が書いてあったのだろう。


はぁ……友情の百合も良い。

でもこれは第三者が見ていいものではない、俺なら自分が泣いてるところを人に見られたくは無い。

俺は自戒の聞く男だからな。


「ジュース買ってくる」

それだけ告げ、俺は2人に背を向けて歩き出すのだった。


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