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俺の成果に度肝を抜かれたおっちゃんとガキ共の、顔はそれはそれは愉快なほど面白かったなあ。

余った水風船は全部ガキにくれてやった。

ガキ共は水風船をくれてやると口々に「マジかよ!姉ちゃん神!」だの「うおお!一生大事にすんよ!」だの「師匠って呼ばせてくれよ」だの「ウヘヘ、姉ちゃんが触った水風船」だのと最後の1人以外は俺を崇拝する言葉で非常に気分が良い。


て言うか、最後のガキは今のうちに性癖を矯正しておかないとそのうちとんでもない事をしでかしそうだから親御さんはしっかりしろ?


3人で人混みの中を抜けていく、時刻は18時過ぎ、すっかり辺りは暗くなり、提灯と街灯の明かりだけが祭りを照らしている。


麗奈が水風船を手で突いて遊んでいる。パシャパシャと風船が音を立てて麗奈の手から離れてはまた吸い寄せられを続けている。


三人で歩く町祭りは何処か懐かしい空気を感じて、ついつい鼻の奥がツンとして心がギュッと締め付けられる。


「悠太くん!あそこに射的あるよ!射的!」


射的なんて何処にでもあるだろ。なんならさっきも通り過ぎた。

だが神田さんが言う射的の店先に立ってる人物がやけに物騒だ。

筋肉隆々な体を黒服で包み、強面を隠すグラサンがキラリと光る。


傍には落ち着いた緑色の和服に身を包み、眼鏡をかけた綺麗な女性が立っていて、気のせいじゃなけらればこちらをガン見している。


伏見さんと沙織さんか、寄れば時間を使いそうだから出来ればこのまま通り過ぎたい気持ちの方が強いんだが……。


「神田さん、しーっこのまま通り過ぎるぞ」

きっと正面を向いてるから俺たちを見てるように感じただけだ、今目があった気がするのも気のせいだ。


「でも手招きしてるよ?」

『美代子、見ちゃだめ。目があったら襲われるよ』

「麗奈の言う通りだ。腹もいい感じになってきたし、姉ちゃんも帰ってくるからそろそろ帰らねえと」


一生懸命働いて帰ってきたら誰も居ないなんて姉ちゃんが可哀想だからな。


『今沙織に捕まったらもう帰れなくなるよ』

「あぁ、射的の景品にされるかれしれねえ……」


「へぇ、お二人は私の事をそんなふうに思ってたんですね〜」


ゾクリと鳥肌が立ち、全身の毛穴が汗が噴き出した。

いつの間に背後まで迫っていたと言うんだ……。


「や、やだな〜沙織さん。会いたかったっすよ」

右手で自分の後ろ髪を撫でながら下手な作り笑いをしつつ、神田さんを盾に2歩下がる。


「わざとらしいんですよね〜。私ちょっぴりイラついてきたかも」

メガネの奥の瞳がぎらりと光る。


『沙織会いたかったよ(о´∀`о)』

なんて文章を見せながら麗奈も神田さんの後ろに隠れる俺の後ろへ隠れた。


「射的やってけ」


いつもより数段低い声で発された沙織さんの促す声は俺の肝を心底冷えさせた。

麗奈も同様のようで目を見開いてこくこくと頷いている。


俺達の夏祭りはもう少し続きそうだ。



「若頭!!!来てくださったんですねえ!!!!」

手ぐすねを引いて待っていたと言わんばかりに嬉しそうな顔で伏見さんが待ち受けていた。


心なしか、バタバタと忙しなく揺れてる尻尾が見える、この人のキャラクターは間違いなく忠犬だ。


「俺はヤクザにはならないから若頭は間違ってますよ」

「へへっ、伏見の中では悠太さんは若頭ですよ」

「勘弁してくださいよ。せめて兄弟くらいにしといて」

「じゃあ悠太の兄貴と呼ばせていただきやす」

なんかこの筋肉隆々のグラサンをかけたおっさんが癒しに見えてきた気がするぞ……。


「悠太くん。これ使ってくださいね〜」

忠犬伏見と和気あいあい話していると横槍を刺すように沙織さんが目の前に……最近見慣れつつある、黒光りする鉄の塊、KENJUが差し出された。



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