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終業式。今日は一学期最後の投稿日だ。

小学生の頃出席した記憶しかないが、少し長めの校長の話はとても眠たいもので、目を開けているのがやっとだったと思う。

だが、久しぶりに出席している終業式は違う。

禿げかかった校長代理の教頭が、いきり立って自らの教育論を展開してやがる。

それはそれは気持ちよさそうに、残りわずかな髪を振り乱し、唾をまき散らしながら熱弁している。


まあ、校長がクビで自動的に教頭が校長になるだろうから気合いが入るのも分かるけどさ。眠くなるどころか熱いんだわ、もうね、暑いじゃなくて熱い。

気を使って開けられた扉から入ってくる風も、全校生徒が集められたこの場じゃ焼け石に水。涼しくとも何ともない。


小学生の頃ってもう少し涼しかった気がするんだけど、これが地球温暖化の影響か。

先生達も我慢して聞いてるけど全員額から流れる汗をハンカチで拭いながら黙って聞いている。

誰かあれ止めろよ。あの話し方だといつまで続くかわかんねーだろ。それともあれか?みんな次期教頭の座を狙って居るから媚びを売って何も言わねえのか?


昼休みあれだけ騒いでいたクラスの連中もげんなりしてるし、そろそろ終わってくれないと誰かしら倒れてしまいそうだ。


「教頭!生徒達が熱中症になりそうです!!!」

誰もが願った救済の声が上がった。誰だ?教頭に逆らってまで俺達を救った救世主は。

先生達が並ぶ列で1人だけ前に出て手をピシッと上げている男がいた。

その男は朝から引き摺っている二日酔いで青い顔をキリッと引き締め、生徒を守る俺は立派な先生!と、誰かにアピールしたげな立花先生。


あのね、君たち、この場に君たちがアピールすべき理事長いねえから。

教頭の言動からは誰も心を打たれた様子もなければ、状況を見ても傍迷惑でしかない。立花先生は普段が傍迷惑な男。

よって、誰かが理事長に彼らの気合い、善意を報告する訳が無い。無駄だ無駄。早く終わらせてくれ。


「そうだな!よく言ってくれた立花先生!私は生徒を思いやる校長になるからな!この辺で終わりにしよう。はっはっは!」


なんつうか、私利私欲に塗れたやつだ。

こんな奴が校長になるんだとしたら、この学校のこれからが危ぶまれる。

出来ればこいつも不祥事を起こして辞職してくれないものか。

おっと私怨が混じったな。だけど俺は、こいつも俺の事を不良生徒だって言い切ったことは忘れねえぞ。それが校長に対してのゴマすりだとしても絶対に。


「とまあそんなわけで健全に夏休みを過ごして欲しい。私からは以上です」

そう言って教頭は下がって言った。


「続いて、緊急ではありますが、理事長先生から皆さんにお話がありますので、着席してお待ちください」

進行役の先生が言い。別の先生が理事長を呼びに席を立った。


きっと涼しい顔して現れるんだろうなー、理事長室涼しかったもん。


「ん。長かったわねえ。もううんざり」

席に座るや否や、額の汗をハンカチで拭いながら美鈴が話しかけてきた。

出席番号で並んでいるから春日の次は佐々木、その間はない。

唯と美鈴の間には笹下さんが居るので唯はそのまた向こうで委員長らしく、姿勢を正して前を向いて静かに座っている。

お前も前向いて座ってろよ。

「私が校長の座を狙うなら生徒達の評価を得るために校長の話は無しにするわね」

自信満々に美鈴は言った。

「それじゃやる気無しと見なされて理事長からの信頼をえられねえだろ」


「じゃあ有り難そうなことを一言二言言って終わりにするわ。どう?」

美鈴は得意げに、ふふんと鼻を鳴らした。

「どうって言われても内容によるだろ。例えば?」

答えは分かってる。あれだろ?

「涼夏の素晴らしさとか、愛らしさ。これに尽きるわね」


「お前はそれだけで2時間は語るだろ……教頭よりなげえよ」


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