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百点満点の弁当だ。この弁当なら、教室に置いてきた俺の手作り弁当を後回しにしても後悔はない。

今日は姉ちゃんも帰ってこないから、弁当は晩御飯にでもすればいいだろ。


さて、メインディッシュを味わう前に少し寄り道だ。金平ごぼうを少し摘む。コレもうまい、シャキシャキした食感が癖になりそう。


「……うめぇ」

雪兄負けちゃいねえけど……危ういぞ。この料理は俺を笑顔にする。


ランキングを作るなら、この弁当は3位だ。

1位が我らが蓮さん。2位は雪兄。3位が理事長のお手製弁当。ぶっちゃけ親しみ深さから順位をつけたが、どの料理も最高と言っても過言じゃない。


おっと、金平ごぼうの時点でランキングなんて考えちまったけど、まだメインディッシュの唐揚げが残ってた。こいつ次第じゃ1位も有り得る。


溢れでる涎をゴクリと飲む。唐揚げというのは勝利を約束されたオカズだと俺は思ってる。

何故なら冷凍食品、コンビニ、弁当屋、どの唐揚げも等しく美味いからだ。

だからこそ厳しめに評価をつけなきゃいけない。誰にも頼まれちゃいないけど。


「美味すぎる!!!!!」

叫んでしまった。何だこの唐揚げは……下味をちゃんとつけてるのは分かるが料理素人過ぎて使われている何を使ってるのか分からないのが悔しい。


「ふふふ、年の功ってやつね。人に料理を食べてもらって、喜んで貰えて嬉しいわ」

理事長は誰かを思い出すように遠くを見つめて言った。表情には少し陰りが見えている。

複雑な家庭の事情ってやつか、あまり踏み込みすぎるのも良くねえよな。


麗奈は俺たちの話を気にせず、美味い弁当にがっついている。お前はもう少し俺以外にも興味を持ってくれ。


「まあ、時々なら、付き合いますよ」


俺達が昼飯に付き合うことで理事長の気が紛れるならいいだろ、寂しさからボケられちゃたまらねえ。

せめて俺達が卒業するまではな。


「あら。じゃあ連絡先を教えて頂戴!次から事前に声掛けるから」

「いいっすよ。じゃあ俺の携帯番号を……」


ポケットからスマホを取り出そうとした時だった。麗奈の右手が眼前に現れて俺の動きを制した。

『君は駄目。私が代わりにする』

「……なんでだよ」

『君は歳上の女性が好きだから駄目』

うちの母ちゃんより歳上じゃねえか、歳上すぎるだろうが。


「……別に良いけど」

俺はこいつにどんな目で見られてるんだ。そもそも好みのタイプすら言ったこと無いぞ。……そりゃ俺の好みのタイプはズバリ歳上だけど歳上なら何歳上でもいいって訳じゃない。


「……ちぇっ折角男の娘の電話番号ゲットできると思ったのに」

理事長はあからさまに舌打ちをした。

狙われてる?俺狙われてる?だとしたら恐怖を感じるまであるんだけど……!


『悠太は私の。理恵にはあげない( ๑º言º)』

俺の所有権を主張する麗奈に意図せずキュンと来てしまった。

悠太は私の家族って言いたいんだ。麗奈は。だから勘違いをするな春日悠太。


「あら、随分と独占欲が強いのね」

『私の( ๑º言º)』

「別に盗って食べたりはしないわよー」

『私の( ๑º言º)』

「わ、わかったから麗奈ちゃんのLINEを教えてくれる?」

すごい。麗奈が勝った。言い聞かせるように同じ言葉を続ければ理事長にも勝てると、メモしておこう。


理事長と麗奈が連絡先の交換を済ませているのを見ながら弁当を食らう。何口食べてもうめえ。


「ありがとう麗奈ちゃん。これでいつでも呼べるわね」

いつでもって言葉には語弊がありまくりだぞ。呼ぶのは自由だけど、来るかどうかも自由だ。自由だよな?





弁当を食い終わった。余は非常に満足じゃ。

時計を見る。昼休みの終わりまで、残り20分位か。

理事長が食後のお茶を入れてくれている。至れり尽くせりとはこの事。

「熱いから、苦手だったら少し冷ましてから飲んでね」


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