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挿絵(By みてみん)



前回うちのクソ親父と電話で連絡を取ってから2週間が経った。

当初1週間くらいで調べが着くと言われた、内藤ホールディングスの調査も難航しているらしい。

どうしても決定打になるような情報が拾えない状況だということを親父から聞いた。


どうやら春日家の人間が、探りを入れている事を相手方に悟られたようで、情報の根回し等々警戒を強められているらしい。


これに関しては親父の部下能力が低いわけでは無い。

相手の危機察知能力が高過ぎた事が原因で、どこの企業によって詮索がなされているかまではバレていないものの、バレるのも時間の問題かもしれない……親父は危惧していた。


まあ、腐っても数々の事件を揉み消してきただけはある。

そんなわけで俺達は何も動かぬまま、七月を迎えたわけだ。

神田さんと神田さんのお母さんは蓮さんの方で身柄を保護している為、なんら生活の心配する事なく日々を過ごしている。


そして今日は7月7日、七夕と呼ばれる日で、隣町で県内最大規模と言っても過言ではない規模の夏祭りが開催されている日だ。


俺も勿論幼馴染の涼夏達に誘われたが、人混みが苦手な事を理由に断った。

最初は無理矢理にでも俺を連れ出そうと、今日も自宅まで押し掛けてきたけど、鍵をかけ、ドアチェーンまでして追い払った。

涼夏がウチの合鍵を持ってるからな、油断も隙もない。


理由を人混みが苦手とは言ったもので、実際のところ、涼夏や麗奈と離れた時、男性恐怖症の俺は詰みだから……まあそんな感じ。


俺が行かないなら麗奈だけでもと涼夏たちが誘ってくれたが『悠太が行かないなら行かない( ・∇・)』と一刀両断した。


そんなわけで俺は今昼下がりの自宅でリビングにあるソファーにもたれかかって盛大にくつろいでいる。


「ふあ〜、ねみぃ」

テレビを見ながら独り言なんかも言ってみたりして。

そういやさっきから姿を見せないけど麗奈何してんだろ。


いつもなら隣にいる無表情の麗奈が、『着替えてくる(о´∀`о)』と言って部屋を出ていったっきり30分ほど戻ってこない。


服装はラフな半袖のシャツにジャージのハーフパンツといつも通りの部屋着スタイルだったから別に着替える必要は無い。

もしかしたら夕方の買い物にでも行くつもりなのだろうか。


今日は家にある食材でカレーを作るって朝言った筈なんだが……。

なんにせよ、学年違いの学校以外では俺の隣をずっとついて回る静かな同居人が居ないと言うのは少し寂しいものがある。

だからさっきの独り言は麗奈の所為だ。


「マジで、今寝たら朝まで寝そうだな……」


うとうとと首をもたげて、重たくなった瞼を閉じて混濁していく意識に身を任せようと考える事をやめる。


どうせ今は2時ごろ……なんなら少しくらい寝ても……。


ガチャ、バン!!!盛大な音を立ててリビングの扉が開け放たれた。

何事かと、若干意識を手放しつつあった俺の意識は一瞬で目覚め、飛び起きて扉の方へと顔を向ける。


「なんだ、れい……」

無表情な同居人の登場だ。

纏っている衣装とヘアメイクに度肝を抜かれて言葉を失った。


紺色の生地に白い花柄を添えたそれはそれは綺麗な浴衣を着こなし、手にはピンク色の巾着袋を持っていて、長い綺麗な髪をハーフアップに纏め、よく見ると無表情な顔には、ほんのりとメイクが施されている。


「綺麗だな……」

素直に口から出た感想はとても短くも的確なものだった。

麗奈の髪型から姉ちゃんの面影をフラッシュバックしかけるが、今目の前に立っている麗奈が綺麗過ぎてもはやトラウマよりもインパクトがでかい。


なんて言うかシンプルに表すならこのまま雑誌の表紙を飾れそうだ。


化粧の施された麗奈の頬がほんのりと朱に染まる、

「そんなに照れられると俺も恥ずかしいだろうが……」


そう恨み言のように言った俺に麗奈が無表情かつ無言で近づいてきた。

そして手に持った巾着袋からスマホを取り出して画面を操作し始めた。



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