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あの日の告白をもう一度  作者: 提灯鮟鱇
第1章 俺とオレ
9/17

ミステリアス?な彼女

 まだ話数が少ないですが、改稿を重ねることで品質向上を目指しております。

 読者のみなさまにはお手数ですが、今後改稿する場合にはTwitterや活動報告にて報告させて頂きます。よろしくお願いいたします。

 また、Twitterにて告知しておりますが、投稿する時間を固定しようと思います。17:31もしくは22:31を目安に出来るだけ毎日投稿します。

 迎えた宿泊研修当日。

 朝9時から校庭に一年生全員が集合していた。

 事前に校庭に待機していたバスが動き出し生徒がざわつく、A組は最初に乗ることが出来るのだが、

オレ達の班は5人なので後ろの方の席ということもありすぐに乗り込めた。

 事前の席通り座り、行きはオレが窓際。進行方向右手からオレ、(まさや)、春恋、加奈、真夏という順に座る。

 全員が乗ると早速発車する。3時間ほど揺られて施設に到着、荷物を置き施設で昼食を取るらしい。

 今回向かう場所は、静岡の大きい山の近くにある宿泊施設だ。空気がキレイで、朝は霧がありとても涼しかったのを覚えている。


「わー! 見てください加奈さん!鹿がいましたよ!!」

「よく見つけられたわね、角は生えていた?」

「はい! とても大きいのが生えてました! ご立派でしたよ!」

「ん~、勢いで通路席取っちゃったけど、やっぱり窓際にすればよかったかな?」


 はしゃぐ真夏と加奈を尻目に後悔する春恋。このままでは雰囲気が悪くなり席を交代しかねないな......。

 仕方ない、せっかく隣に座らせてやれたのに無駄にするわけにはいかないし一肌脱ぐか。


「なぁ、みんなでゲームでもしないか」

「ゲーム? いいけどなにするのー?」

「そうだな、伝言ゲームなんてどうだろう。オレか真夏ちゃんからある言葉や文章を耳打ちで伝える。それが正しく伝わっているか確認する。たいていは、正しく伝わらないんだが簡単なようで難しいからやってみると面白いぞ」

「なんだそれ! 面白そうだな!」


 ふふ、完璧な作戦だ。これなら(まさや)と春恋は耳打ちをするためにくっつくだろう。そしてだんだんとお互いを意識し始めるはずだ、もし今回ダメでも何か少しのキッカケがあれば今回のことを思い出せばすぐに意識するようになるだろう。

 我ながら妙案を出したものだ。否定や代案が出る前に押し切らねば。


「より面白くするために伝えた後各自10秒数えて間隔を空けて伝えるようにな、はーい! じゃあオレから、雅也耳を貸せ」

「(おじいちゃんの海苔はあおい海苔)」

「10・9・8......」

「(おじいちゃんの海苔はおいしい海苔)」

「10・9・8......」

「(おじいちゃんの海苔弁はおいしい海苔)」

「10・9・8......」

「(おじいちゃんの海苔弁はおいしい海苔)」

「10・9・8......」

「はい、じゃあ今度は真夏から伝えらたと思った言葉を発表してくれ」

「はい!え、えーと......『おじいちゃんの海苔弁はおいしいな』?」

「『おじいちゃんの海苔弁はおいしい海苔』、よ」

「すごーい! 正解だよ!」

「バカ、ちげぇよ。『おじいちゃんの海苔はおいしい海苔』だろ」

「ははは、残念! 正解は『おじいちゃんの海苔はあおい海苔』でした! ほら、意外と難しいだろ」

「って、雅也君も間違えてるじゃん!」


ぷんぷん怒る春恋。みんな気に入ってくれたようですぐに真夏から再開する。


「じゃあ今度は私からだね......」


 その後も背中に文字を書いて伝言ゲームしたり応用を効かせて遊んでいると、俺が春恋の背中に触るのが恥ずかしくなって限界が来たのか強制終了された。代わりに絵を使った伝言ゲームが再開するが、加奈以外に上手い絵を描ける人がおらず成立しなかった。 

 そこで、絵が下手なのを逆手にとり絵しりとりが始まった。絵が下手同士でしりとりとしてはダメダメなのだが、そこは内輪ノリというやつなのか伝わっていない事をお互いに面白がっていた。

 楽しそうな皆を見ていると、オレも笑みがこぼれ俺と春恋の仲を進展させることを忘れてしまいそうになる。いつまでもこのままで、こうして笑いあっていたいような気になってしまう。


 バスを降りたところで、真夏に呼び止められる。


「翔君、あの、よかったら一緒にご飯とか、どうですか!」

「あぁ、もちろんいいぜ」


 断る理由はない、しかしオレには呑気に二人で飯など食っている暇はない。

 急いで春恋と加奈を追いかけ昼食に誘う、(まさや)とは同じ部屋なので問題ない。

 すまない真夏。今のオレはどんな小さいチャンスでも逃すわけにはいかないのだ、と心の中で謝る。


「ど、どうして......」

「あれ、みんなで食べるって話じゃなかったのか?」


 悪いがここはとぼけさせてもらう。


「ア、ウン。ソウデスヨー、アリガトネー」


 真夏がカタコトになっていた。

 バイキング形式の食事だったが、いつも学校で食べるノリで食べ終えた。

 今後も一緒に食べようという話になり解散。(まさや)は大盛の肉を食べるのに必死になってあまり会話が進まなかった。

 食後は学年の生徒が入るほどの大きい教室で開会式があり、副校長のありがたいお話が始まった。長いので要約すると、研修中生徒の安全と楽しく過ごして貰えたらうれしいとのこと。こういった話はどうしていつも回りくどく小噺を交えながら長ったらしく説明をするのだろう、教育委員会からそういう指導でも受けているのだろうか。

 開会式終了後は、小休憩を挟みそのまま宿泊研修のスケジュールを改めて説明された。毎年少しずつ内容を変えているということで今回の1日目は2クラスずつに分かれてオリエンテーション、班別討論会のあと座学(といっても安全についてビデオを見るだけだ)。

 2日目は近くの山でウォークラリーに行くクイズ形式で知力と体力が問われる、自然豊かな大地と触れ合い大らかな心を養うとかなんとか言っていた。夜は天体観察をして勉強に少しでも興味を持ってもらうキッカケになればと話していた。

 3日目は朝からクラス対抗で大繩飛びをしたり、全員でリレーといった体育祭の予行演習のようなものをする。その後昼食を取り閉会式を経て終了だ。

 一通り話が終わり、休憩の時間を迎えた。水分を補給しに教室の外に出る。


「はぁ、疲れた...」思わずため息が出てしまった。

「仕方ないとはいえ、こればっかりはいつまで経っても慣れないよね~」

「俺は余裕だったぜ」

「だって貴方、ぐーすか寝てたじゃない」

「げっ、バレてたのかよ」

「口元に涎がついてるもの」


 加奈がそう言ったかと思うとハンカチを取り出し拭き始める。......おい、まじかよ。


「あはは、雅也君赤ちゃんみたーい」

「加奈ちゃん、大胆です......」

「そう? これくらい普通よ」


 澄まし顔で答える加奈、尊敬の眼差しで目を輝かせる真夏。当時は起きたばかりで頭が冴えていなかったからか全く記憶にない。

 昔からだったが、本当に何を考えているのかわからんやつだ。

 次回、『オレにしかできないこと』


 自分だけの武器があると凄く安心できますよね、それこそ依存してしまうほどに。


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