神様のようなもの
ちょっとキツイ話ですが、ここだけですので悪しからず。
暗い世界。ここが死後の世界なのか。
『違うよ』
どこからか声がする。
お前は誰だ。ここはどこなんだ。俺は死んだのではないのか。
『君は死んだ。でもまだ魂は死んでいない、君にはやることがある』
やることとはなんだ。この世に未練はないぞ。
『この世にはないかもしれない、でも過去なら?』
過去?
『そう、過去。実は僕は神様のようなものでね。君の未練を断つことができるかもしれない』
『君には好きだった人がいたんじゃないのかい?』
『なんでそんなことが分かるかって?言っただろう。僕は神様のようなものなんだ。君の考えくらいは分かってあげられるつもりだよ』
『もっとやさしくしてあげればよかった』
『もっと素直にしてあげればよかった』
『もっと話を聞いてあげればよかった』
『あの時は、あの時間に、あの瞬間に、あの人に』
うるさい!!!
俺のことがわかるなら黙ってくれ!もうやめてくれ!
『本当は分かっているんだろう。受験に失敗したのも、就職をきちんと考えなかったことも』
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
『本当は無能な自分をごまかすためだ。ずっと片思いしていた彼女に振られた悲劇の自分に酔い甘えていたんだ』
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
『好きだった彼女のことを好きな自分が好きだったんだ。それが唯一の生きる理由だったんだ』
だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれ
『自分のことしか見えていない自己中野郎だったってことさ』
あの時は本当に好きだったんだ!心から好きだった!
でも、諦めるしかなかったんだ!しょうがないじゃないか!俺は、振られたんだ!
次第に甘えて生きるのが心地よくなってしまったんだ!
俺じゃいけなかったんだ!もし本当に過去に行けたとしても同じなんだよ!
『じゃあ、その俺ってやつじゃなければいいんだね?』
何を、言って
『これからは周りを見てせいぜい頑張りなよ、お土産もあげるから俺ってやつをサポートして、うまくやるんだ』
そこで意識が途切れた。
死後、自称神様に問い詰められる主人公。
神様からのお土産とは? 最後に言い残した言葉の意味とは?
次回、『知らないオレと知っている彼女』