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あの日の告白をもう一度  作者: 提灯鮟鱇
第1章 俺とオレ
11/17

男女の友情は成立するか?

 感想、ブクマ等々とても励みになります!是非お気軽にお願いします!

 ここの文書がちょっと不自然で気になるZE!とかでも結構ですが、誹謗中傷にならないようにお願いします。

 休憩時間が終わり、次の授業へと移る。

 同じく中教室で行われるようだが、班別討論会とあったが詳細はこれからである。

 生徒がすべてそろうと、新たな講師がやってくる。確か数学の担当でB組の佐藤先生だったか。


「みなさんこんにちは、初めましての生徒も多いかな?。私はB組の担任で数学を受け持っている佐藤と申します。オリエンテーションとしてはこれで最後なのでもう少しだけ我慢してください」


 ウチの学校は主要な各教科に2人ずつ教師がついていて、佐藤先生の授業は受けたことはないが分かりやすいと評判は良かったのは聞いたことがある。実は女子生徒から人気が高く、バレンタインにチョコを貰っていたのが目撃され、その強烈な内容から色々と噂になっていたのでよく覚えている。


「みなさんには、まず班を作ってもらいたい。しかし今の席は出席番号順だ、そのまま班を作らせたら学校でやるのとあまり変わらない。そこで先生がクジを作ってきました、これを引いて班を作ってもらいます。討論する内容は班をごとに変えているので後で伝えます、最後に討論した結果を誰かに発表してもらうのでそのつもりで」


 そう告げると生徒にクジが入っている箱を渡し、順番に回させていく。中に数字が書かれており班の番号になっている訳だ。時間はかかるが宿泊研修らしいやり方だった。

 クジを引き終わると春恋達に番号を聞く。


「なぁ、お前ら何番だったか?オレは4番だった」

「私は10番だよ!」

「私は8番だ」

「俺は5番だな」

「あ、私も4番......」

「同じ班なのはオレと真夏だけか」

「80人もいるわけだし、そんなものよ」

「私も誰かと同じ班がよかったなぁ~」

「心配ないさ、だから先に自己紹介ゲームなんてやったんだろう。一人くらい知り合いがいるかもしれないぞ」

「あ! なるほど! さっきのはそういう意味があったんだね!」

「それじゃあ、みんなまたあとでね」と加奈が締め、解散となった。


 1班7~8人の10班で構成されていた。見るからに真面目そうな生徒、軽く挨拶をする生徒もいれば黙って席に着く生徒、オレ達のように友達と同じ班だったのかおしゃべりに夢中なチャラそうな男子生徒、色んな奴がいた。

 それぞれの班に先生が手渡しで封筒を配る。どうやら中に議題が入っているらしい。

 真面目そうな生徒が先生から封筒を受け取り中を確認しみんなに見せる。


「どうやら、議題はこれのようです」

「なになに......。『男女の友情は成立するか』?」

「それと、これも袋の中にありました」


 そう言って見せてくるのはアルファベットの書かれた名札。

 どうやらこれを付けてお互いを呼び合うらしい。

 オレはDで真夏はEとなった。


「はい、封筒が行き渡った。中に議題と名札が入っている、勘のイイ奴は分かると思うが今からその名札で呼び合って討論をしてもらう。何か質問のあるもの」


 静まり返る室内、こういう時はほぼ質問する奴なんていない。


「よし、それでは討論開始だ」


 まず何から話すか考えていると、真面目君が切り出してくれた。


「どうも、僕のことはAとお呼びください。まずは皆さんこの議題に対して思うことがあるかもしれません。まずは各々肯定派と否定派のどちらの立場に立って討論するか決めましょう。ちなみに僕は否定派です」


 A君を皮切りに否定派と肯定派が出そろった、5:3で否定派が多い。

 ちなみにオレ達とCさんは肯定派だ。


 A「では、これから討論をはじめましょう。まず僕の意見ですが、男女とは異性であることから絶対にお互いに意識をしてしまいます。なぜなら古来より、繁殖するために惹かれあうように出来ておりその気持ちは細胞レベルで記憶されていて理性ではどうしようもない本能の部分だからです。これに抗うというのは相当無理がありますし、仮に成立するならば人類は滅んでしまっています」

 B「おれも反対だな、今の話を聞いて思ったんだ。おれにも仲の良い女友達はいるけどよ、それって結局頭のどこかではそいつと仲良くなっていつか付き合ってみたいって考えちまってるんじゃないかって」


 ぐぬぬ、中々舌の回る連中だな。真夏はあわあわしていて頼りにできそうにない。Cさんは口を開く様子がない。ここはオレがやるしかないのか......。


 D「確かにそうとも取れるかもしれねー。けど、それを言うなら昔から男共は女性や子供を守るようにも作られているはずなんだ。庇護欲とかって聞いたことねーか?あれだって対象の女性と男女の関係になくたって女性を守るだろう? その女性がお礼に物をプレゼントしたとする。そうしたら、そこから発展する友情だってあるんじゃないか? それに人間は数が多い種族だろ、ちょっと異性と友達になったからって絶滅は極論すぎやしないか。オレは何もこの議題の肯定意見は全人類が恋愛をしないという意味になるとは思っていないぞ」

 C「そーだそーだ」


 C子さんが便乗してくる、無いよりマシだが何か言ってくれ。

 真夏は恥ずかしそうに俯いている。そこに目を付けたのかA君は真夏に意見を求めてくる。


「ところでEさんは何か意見はないですか? なぜ肯定派に?」

「そ、それは......」

「もしやそちらの男性と仲がいいからですか? これは討論なので誰かがこうだからという理由で意見を決めるのは良くないことですよ」


 ここぞとばかりに捲し立てる真面目君、意外と性格が悪そうだ。しかし、ここは真夏に少し頑張ってもらってオレはフォロ―に回る準備をしよう。

 それにもしかすると、ここで上手く立ち回れなかったからいじめの標的になったのかもしれない。


「......あります」

「......なに?」

「自分の意見ならあります!」

「では聞かせてください。貴方の意見を」

「男女の友情は成立します! 仲が良くて異性として見れない例があります。例えば、幼馴染みとか」


 ......すまん真夏、力になれなさそうだ。


「幼馴染みは幼い頃から一緒に過ごすことでまるで家族のような存在に昇華します。そして家族同然と認識してしまえばそれはもう兄妹と言っても過言はありません! 兄妹で恋愛する人は基本的にいません」


 なんだか自分が非難されているようで悲しくなってきた、このまま進むのはオレが辛くなってくるのでフォローに入る。


「それにだ、人と人の輪を形成するのがコミュニティってもんだろ? そこに男女が居て成立している例は探したら多くあるはずだ。昔は男女の関係は夫婦しかなかったのかもしれない、でもオレ達は文明人だ。二人に一人は異性なんだから文化を発展させる過程で人間もそういう風に変わっていったんじゃないのか」


 我ながらそれらしいことを言ったと思う。Cさんが確かに~と言った後、否定派のFさんがやっぱり肯定派にすると言いこちらに加わった。

 すると否定派の人間が、おれも私もとこちら側に移ってきた。


「な、なんで......」

「勝負あったみたいだな」


 真面目君がわなわな震えていた。人間の意思とは脆いもので、一人が動き始めるとまた一人と次々に動き出しやがて大きなうねりとなる。ましてや今回は究極的にはどちらの意見でも良い学校の授業だ今後の学校生活を考えても多数に傾くのが自然だ。そうしてどんどん人が動いていった反対派、もはや残るは真面目君だけだ。

 これは決まっただろう。


「では、我々4班の結論は、『男女の友情は成立する』とする」

「「「「「異議なし」」」」」


 オレ達は2番目に早く終了し、他の班を待つことになった。ちなみに1番目に終了した班は8班だった。

 全ての班が終了した後、各班の議題とそれに対する結論を発表することになった。

 皆の視線が痛く、オレが代表として発表することになった。

 討論会が終了し、最後にインターネットの詐欺について警告する映像を見て1日目が終了した。


「それでね! 翔君がね!」

「分かったわ、また部屋で聞いてあげるから」


 夕食では、真夏が先程の出来事を春恋達に熱く語っていた。最初は面白がって聞いていた春恋達だったが、真夏が止まることはなく話を流すので精一杯になった。


「すまん、二人とも......。」

「いいのよ、それより貴方はそっちでいじけてる雅也君をお願い」


 どうやら(まさや)は言い負かされた側だったようで、未だにこっちの方がいいのにとブツブツ言っている。

 夕食のメニューについてだが、ちょうど春恋達の注目を浴びながら食べていた為、嬉しさと恥ずかしさで夕食の味を味わうどころではなかったので味は覚えていない。

 後は解散し風呂に入って寝るだけだ。

 そんなこんなでようやく宿泊研修の一日目が終了したのだった。

 実際の議論の場でも相手が玄人でなければ、ガバガバ理論でも割と勢いとそれらしいことを言えばどうにかなったりしますよね(体験談)。

 ところで今のところ雅也きゅんの良いところが全くないんですけど大丈夫なんですかね......?

 

 次回、『不安と焦燥』


 あっ(察し)

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― 新着の感想 ―
[一言] 遂に話が動いたなって感じました。 道が見えた気がします。 楽しみにしてます
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