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告白

「好きです。付き合って下さい!」


 僕は長年夢だった甘城咲に告白した。


「いいわ。但し、一つだけ条件があるわ」

「な、何でしょう?」

「一日に最低一回は私の家に来ること」


 僕の名は天野純、高校二年生。一応、公立の難関高校に在籍である。そして先日、学年一の美少女、甘城咲に告白し成功した。

 彼女は目がぱっちりとしていて、鼻はすっと伸びている。髪はショートで黒色だ。

 そんな彼女をゲットした僕は喜びを噛みしめた。

(しかし、一日一回は家に行くとはどういう意味だろう?)

 色々考えているとモヤモヤとムラムラが止まらない。

 次の日学校に向かうと、いつものように学校の前にリムジンが止まる。

 降りたのは甘城さんだった。

 彼女は資産家の娘で、おまけに成績優秀で、趣味はテニス、ピアノと金持ちがしてそうなことは一通りやってる感じだ。

 一方、僕は苦学してこの高校に入れたものの、なかなか授業についていけず現在は落ちこぼれ気味だ。


「天野君! おはよう」


 彼女は僕に声をかけた。

 僕はビクッとしたが頑張って挨拶した。


「お、おはようっ」


 周りは少しどよどよしたが、彼女は気にしなかった。

 一方、僕はただでさえ落ちこぼれなのに並の容姿、並の運動神経の人間だ。あまり学校では目立ちたくなかった。

 そして校門から玄関まで一緒に歩き、階段を登り彼女は理系の特進クラスに、僕は理系の普通クラスに向かった。

 クラスに着くと、友達の葛西に案の定聞かれた。


「おい、あの甘城さんと付き合っているのか!?」


 何人かは耳を傾けていたが、僕は正直に答えた。


「うん、まぁ。告白したらokくれた」

「すげー。天野それは凄いよ。よく告白したな。いや甘城さんも何で承諾したかわからないが、まぁ、おめでとう!!見直したぞ!」

「あ、ありがとう」

「勉強もそれぐらい頑張ればなぁ」

「うるさいなっ!」


 あははと、僕達は笑った。

(なんで甘城さんは僕なんかokしたんだろ)

 僕はその疑念が本当に解消するまでに少し時間がかかった。

 そして放課後。校門に向かうと、執事らしきお爺さんが現れて、


「天野様。私甘城家の執事の田中でございます。お迎えに上がりました。どうぞこの車に乗って下さい」


 この車って赤で塗られたフェラーリだった。


「えと、スポーツカーに乗るんですか?」

「お気に召しませんでしたか?」

「いえいえ。そんなことはっ。ただイメージと違うから」

「そうでございますか。イメージと現実が違うのはよくある話ですから」

「わ、分かりました。乗させて頂きます」


 こうして僕は助手席に乗ると、執事の田中さんは運転席に乗った。


「えっ? 田中さんが運転するんですか?」

「そうでございますが、何かご不満でも?」

「いえ……。大丈夫ですが」

「ほっほ。心配なさらずとも、紅葉マークは付けておりますよ。」


(余計心配だ……)


「それでは宜しいか。行きますよ」


 そして凄まじいエンジン音を鳴らせながら、田中さんはフェラーリを走らせた。

 そして彼女の家に着くと、それはそれは立派なものだった。

 門があり、玄関まで広く長い道があり、囲いの内側には緑の木が生い茂る洋風建築だった。

 噂では聞いたことあったが、いざ見ると流石は甘城家。凄いな。


「旦那様は貿易商を営んでおり、奥様は宝石商を営んでおります」

「そうなんですか」

「お嬢様は一人っ子でございまして、大切に育てられております」

「なるほど」

「ですからくれぐれも粗相のないようにお願い致します」


 田中さんは顔を僕に猛烈に近づけながら強く言った。


「わ……分かりました」


 僕はいたく恐縮した。そして、部屋に通され、彼女が部活から戻ってくるまで待った。

 (可愛い部屋だな)

 数々のぬいぐるみ、宝石、そしてお嬢様らしい白いベッド。

 僕は彼女が帰ってくるまで携帯をいじっていた。

 しばらくして下から車の音がして、そして彼女のドアからコンコンと叩く音がした。


「入っていい?」


 彼女の声だった。


「ど、どうぞ」


 僕は返事をした。そしてドアを開けると、彼女はメイド姿だった。

 それもミニスカメイド。

 僕は驚愕した。


「えっ!? えっ!?」


(何がどうなっている?? 彼女がメイド!?)


「私、子供の頃から周りにお世話係がいてね。それが当たり前だったの。けど、ある日秋葉原のメイド喫茶を見て衝撃を受けたわ!『何この可愛い服は!?』それからコスプレに目覚めたの!!」


 僕は口がアングリ空いて話せなかった。


「せっかくメイドさんになったから、天野君、いやご主人様をご奉仕するにゃん」


(何か色々交じっている気がする。けど……けど……可愛い~~)

 僕はあまりの可愛さに感激した。


「さっ、こっちに来て下さい」

「はっ、はいっ」

「はい。膝の上に頭を乗せて下さい」

「はっ、はい」

「耳掻きしますね~~」

「あ、ありがとうございます」


 しかし彼女は誰かに施すのに慣れていないせいか、耳掻きは意外と痛かった。

(少し涙出た……)


「じゃあ次はマッサージしてあげますねっ」

「あっ、はい」


 彼女は僕をマッサージしてくれる。かなりドキドキする。まずは足つぼマッサージからだ。

(これはかなりエロ……)

 しかし実際はかなり痛かった!


「痛たたたっっっ!!」

「あっ、ごめんなさい。大丈夫ですか? ご主人様?」

「う……うん。少しだけ痛いかな」

「もう少しだけ優しくしますね」


 それでも少しだけ痛かったが、それよりも足つぼマッサージをしている時の彼女のメイド姿から見える谷間が眼福だった。

 彼女が僕の足つぼをマッサージしてたら、つい気になったことを聞いた。


「どうして? 僕と付き合う気になったの?」

「それは……貴方が私の好きなタイプだったからよ」


 それは素直に嬉しかった。


「貴方が学校で懸命に頑張ってる姿を見てキュンと来ちゃって」

「あ、ありがとう」


(僕のこと見てくれてたんだ)

 しかし、


「天野君の汗掻いた後の匂いが堪らないのよね~」

「ん?」

「男臭いって言うの? そこが堪らない」

「えっ?」

「もう足の裏の臭いなんてもうさいこーっ」

「えっ!?? 変態???」

「違う!! 褒めてるの!! 褒めちぎっているの!!」

「けど、褒めてるように感じない……」

「褒めてるのよ! 私、好きな人を甘やかすのが好きなのーっ!!」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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