表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

バーバにおまかせ 

作者: chitto=Chatto

見切り発信ですみません。

転生もの、書いてみたかったんですよ

続きを書けるよう頑張ります

ありがとう、よい人生でございました。


そう呟いて目を閉じたのがついさっきのこと。

同時に、あれほど苦しかった胸が楽になって、節々の痛みも取れました。

すうっと体が浮き上がるような感じがあり、ぼやけていた視界が少しずつ晴れていきます。


「おばあちゃーん!!」

「お母さん!!」

「お義母さん!!」


足元から家族の声が聞こえました。

あらあら、みんな、そんなに泣いて。

嬉しいような、くすぐったい気持ちと、寂しくて悲しい気持ちが同時に押し寄せてきます。

でもね、仕方ないのよ。

だって、おばあちゃん、もう94歳だったんですもの。

病気で体が動かなくなってからみんなにはたくさん迷惑かけちゃったわね。

入院も半月もしてしまったわ。入院代だってバカにならなかったのに、ありがとうね。

色々大変なこともあったけれど、たくさんの人に恵まれて幸せだったわ。

葬式代くらいは残してやれたはずだから、後のことはよろしく。


さて、これからおじいさんに会いに行きますか。

34年も私から離れて寂しかったと言わせてやらないとね。


ああ、光が見えるわ。

お花畑じゃないのねえ。

じゃ、ちょっと行ってくるから。



そんなことを思いながら、私は光に吸い込まれたのでした。




真っ白になって、全部終わった。


と思ったのですが。




「あらあら、困ったわ」

どうやら終点ではなかったみたい。


私の前にはとてもかわいらしい娘さんがいて、きらきらとした目をこちらに向けています。

うちの孫たちと同じくらいの年頃かしらねえ。

外人さんみたいで、金色のふわふわした髪の毛に青い目をしています。フランス人形みたいですよ。


「こんにちは」


挨拶をすると、娘さんはとてもきれいな笑顔でお辞儀をしました。

そしてにこりと笑いながら、私の手を優しく握ります。


「おめでとうございます!あなたは1010101人目の転生者です」


てんせいしゃ?

はて、なんのことでしょう?

私は先ほど病院で死んだはずなのだけど。


「ええ、あなたは先ほどあの世界から旅立ちました」


私の心を読んだような言葉です。

たぶんおかしな顔だったのでしょうね。娘さんは微笑みながら説明をしてくれました。


多くの魂は死んだのち同じ世界で再生するのだそうです。

再生するまでには次の生を有意義なものにするための修業があるとのことですよ。よくわからないけれど、地獄とか天国とかそんな感じなのかしらね。

ただ、ごくまれに、別の世界で生まれる魂になることがあるそうで、そういう人を「転生者」と言うそうです。

「転生者は世界にバランスをとるために必要なのです」

と、娘さんはまじめな顔で話しましたが、私には何のことやらさっぱりですよ。

でもまあ、そういうことなのと言われてしまったら、そういうことなのねえと思います。

ええ、昔から深く考えないと子供たちに叱られてましたねえ。


ちなみに、転生者の多くが特別のギフトをもって生まれるとか、前世の記憶を持っていくとか、なにやら特別感があふれるお話もしてました。

ということは、私はおばあちゃんの心のまま赤ちゃんになるのかしらね。それはそれで、複雑だわ。


「転生については理解していただけました?」

娘さんの問いに、はいと頷きます。

転生以外の道はないみたいです。

おじいさん、また待たせちゃうけどごめんなさいね。浮気くらいならいいですよ。後で叩きますから。

「よかったです。というわけで、あなたにはこれから別の理を持った世界に生まれるのですが、私が担当なので、少しは希望がかなえられると思います。残念ながら行く場所は選べませんが、何かありますか?」


あら、親切。

私は少し考えました。


「水回りは、整ってるほうがいいわねえ」

「え?」

「だって、ほら、ご飯とかお風呂とかおトイレとか、水回りがしっかりしていないと困るでしょう?」

「は、はあ……」

「そりゃあね、私は昭和の初め生まれだから、水洗トイレなんてない時代も知ってますけどね。人間、いい環境に慣れてしまうと元に戻るの難しいんですもの。そのあたりが整っている世界だったらいいわあ」

「し、調べてみますね」


「あとは、健康が一番ね。病気で死んで、健康のありがたみがわかったわ。一応85までジムで鍛えていたんだけどねえ。歩けなくなったら後は転がるようだったもの」

「元気な体、ということは体力が多いほうがいいと」


「ありがとう。とりあえず思いつくのはそれくらいかしら」

いろいろ考えてから頷くと、娘さんはとても驚いたようでした。

「えっ?もういいんですか?」

「転生したことがないから思いつかないわー」

「……、そ、そうですよねえ」

なんだか困らせてしまったみたい。

ごめんなさいね、と言うと、娘さんは慌てた様子で手を振りました。


「違うんです!前に私が担当した人とはずいぶん違って……」

聞けば、実はこの娘さんは女神さまで、今までに何人もの人間を転生者として異世界に送り出しているとのことでした。

若いのにベテランさんなのね、と感心しましたよ。

「いろんな人がいましたから……」

ため息とともにいろいろと思い出している様子です。

若いのに苦労しているのね。

「そうなんです。って、見た目ほど若くないですよ」

あら、また心を読まれちゃったかしら?


そんなことをしているうちに、私の体が輝き始めました。

転生とやらの準備が始まったようです。

女神さまが慌てて私の手を取りました。

「少ししかお話しできませんでしたが、私、あなたのことがとても気に入りました。だからいつもより多く加護をあげちゃいます。育つまではしばらく神殿に来られないと思いますが、来たら声かけてくださいね。女同士、いろいろおしゃべりしましょ。待ってます」

嬉しいことを言ってくれるわ~。

「ええ、その時にぜひ」


私の体からあふれる光は世界を輝きで満たし。

私は新しい世界に生まれました。


おぎゃあ

おぎゃあ


「おめでとうございます!とってもりりしい男の子ですよ!」


あ、あれ?


こうして私は新しい世界で第四皇子として生を受けました。

最初に考えたときは主人公25歳の社畜OLだったのですが、気づいたらすごい年食ってました。。。

誤差です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ