二十話 提案
後一話
「それではこの辺で失礼しますね」
「あ……失礼しました」
あの後、雑談に花を咲かせていた自分は話を切り上げる。
それに気が付いたかの様にハッと、する少女。
「うにゅう~~」
なお自分の右手にはグッタリとした化け猫が項垂れていた。
物凄く元気が無いのは自分の運命を悟ってるからだろう。
世をはかなんでいるみたいだ。
「あのう~~流石に野良猫に対して恨んでるのは分かります」
「はあ」
「ですが保健所送りは止めて欲しいんですが……」
「あ? あああ~~すみません誤解させましたね」
「ふえ?」
自分の言葉に訝し気な顔をする化け猫。
何が? という感じで此方を恐る恐る見上げる。
「流石に保健所は連れて行かないですよ」
「はあ~~」
「本当にっ!」
首をかしげる少女。
化け猫はというと喜色満面の笑顔だ。
「罰として蚤取りシャンプーで洗います」
「はあ~~それはそれは……」
「いやあああああっ! 御風呂はいやあああっ!」
自分の言葉に安心したような顔をする少女。
それに対して悲鳴を上げる化け猫。
此奴は一応猫の一種らしく御風呂が嫌いらしい。
というか洗わないと汚い。
「それじゃあ此れで」
「はい」
自分を見送ってくれる少女。
その横には御婆さんの姿は無い。
悪霊化した御婆さんを化け猫が浄化したからだ。
何かどっと疲れた……。
うん?
何か違和感が……。
……ああそうか。
御孫さん影が薄い様な気がする……。
——気のせいか……。
そう思っていた。
「その様子だと気が付いたみたいね」
「何がだ化け猫」
「あの子の影が薄くなった事」
「……」
「生気を御婆さんに吸われたからああなったの」
「そのまま吸われ続けられたらどうなる?」
「衰弱死」
その言葉にゾクリとする。
「まあ~~幸い処置が速かったから大丈夫よ」
「そうか……なあ」
「何? 人間」
「何で浄化ってのを最初からしなかったんだ?」
「浄化しないと御金にならないから」
うん?
「もう一度いいか?」
「浄化する程の悪霊で無いと退治した時御金にならないの」
「よ~~し黙ろうか」
アイアンクローをしようと手をワキワキさせる。
「じ……冗談よ。神様ジョークです」
「ほう」
自分の目が笑ってない事に気が付いたのか化け猫が引きつる。
「歩合制だから浄化しないと主神様から御金を貰えないの」
何故言い直す?
殴って欲しいのか?
「間違えた。死んで四十五日まで手出しができなかったのっ!」
自分の剣呑な様子に焦る化け猫。
「なんでだよ」
「それまでに成仏できれば良いんだけど浄化してしまうとその魂は輪廻の輪に入れないから」
「は?」
「浄化は悪霊と化した者を完全に無にする術だからおいそれと使えないのよ」
じゃあ~~何?
ギリギリまで悪霊に成らないように待たないといけないのか……厄介な。
正確に言えば悪霊化するまで監視していたという事か。
信用するかどうかは兎も角。
嘘は言ってないと思う。
自分の手を見て嫌な汗を流してるから。
はあ~~。
溜息を付き空を見上げる。
あ~~曇りだしな。
うん?
「……」
猫が御婆さんが消えた場所を見つめてる?
それだけではない。
他の猫も何匹かジッと其処を見つめてるな?
何か悲しいい顔をしているみたいだ。
……ああそうか。
猫達も悲しんでるのか。
御婆さんが今度こそ居なくなった事に。
「ねえ」
「何だ化け猫?」
「あ~~もう化け猫でもういいよ」
「それで何だ化け猫?」」
「炊事洗濯等の家事を私が受け持つから養ってくれない?」
「は?」
突然の訳の分からない提案に目を丸くする。
「私が作った朝の味噌汁美味しかったでしょう? 毎日食べたくない?」
「……まあ~~美味かったが……」
う~~ん。
アレは絶品だったな。
「何でまた急にそんな話を?」
「——もう野宿は嫌なの……寒いし」
「あ~~」
しかし此奴は自分の勘だと良くない物だと告げている。
祥子もだ。
それが何なのか兎も角。
あまり関わりたくない。
だが化け猫が提案した内容は魅力的だ。
「他にも色々作れるんだけど……どう?」
「祥子と自分を納得させる事が出来たなら考えてやろう」
「良しっ! 決まりねっ!」
最後に御婆さんと少女に頭を下げその場を後にした。
ナア~~ンと悲し気な猫の鳴き声を聞い気がする。
キツイ




