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取り敢えずどうする

二話目です

 思わず硬直している自分。

 自分を何事かと見上げる少女。

 新聞紙で作られた服は防寒対策には不向きらしく寒さで震えている。

 それよりも幼いとはい新聞紙で覆われてない異性の体を見ていたら自分が犯罪者になった気がした。

 というか一部だが肌が見えるので犯罪者と罵られても仕方ない。

 酷く自分が汚れている気がする。

 そんな時だった目が合ったのは。

 

『御飯をくれるの?』


 そんな期待にも見える目で見られた自分は酷い罪悪感に駆られた。



「そういえばキャットフードはコンビニでも売ってたな」


 先程やろうとしていた行動を思い出した自分は近くのコンビニに走って駆け込んだ。


 十分後。


「有難うございましたっ!」


 コンビニのバイト店員の声を聴きながら鮭の御握りを二つと牛乳に紙の皿を買う。

 牛乳は温めて貰った。


「江戸さん今お帰りですか……って何を買ったんです?」


 自分に声をかけるコンビニの店員の姉ちゃん。

 以前勤めていた会社の元後輩だ。 

 たが職場の空気が合わず直ぐに辞めて此処でバイトしてる奴だ。

 因みに元カノです。

 色々あって別れましたが何故かそれでも自分に構ってくる人懐っこい奴だ。


「キャットフードと牛乳だけど」

「牛乳は分かりますけどキャットフードって江戸さん猫を飼ってましたっけ?」

「いや~~あそこの捨て猫にやるやつを買ったんだよ」

「あ~~あいつですか~~あいつ昼間も結構食ったのにな~~」


 自分が指さした方を見て眉を動かす元後輩。


「御前があいつに餌をやってるのか?」

「今日だけですよ~~もう三回やってるのにまだ食い足りないみたいですね」

「だろうな」

「はあ?」

「いや……何でもない、なあ」

「何です?」

「あれは子猫(・・)だよな?」

「はあ? 黒い猫ですけど……それが何か?」

「いや何でもない」


 変な顔をされた。

 段ボールに置かれていたキャットフードをやったのは此の元後輩らしい。

 やはり捨て猫か……。

 人では無いよな?

 どうも仕事の疲れで幻覚が見えてるらしい。

 猫が人に見えるなんておかしいよな。

 そう思いながら再び段ボールを見る。


 ミーミー。


 鳴き声は猫。

 しかしやはり目の前には少女がいた。

 幻覚だよな……。

 期待に満ちた目に耐えられない。

 コンビニの御握りの包み紙を破り紙の皿に置く。

 御握りを置いたら別の皿に牛乳を注ぐ。


「美味しいいいいいいっ!」


 ガツガツと自分が渡した御握りをガツガツと食べる。

 喋った。

 遂に幻聴が聞こえ始めた。

 人の言葉を喋っている。

 精神が病んでしまったのかな?

 明日病院に行こうか?

 脳外科で良いかな?

 それとと精神科に行った方が良いかな?


「御免ね~~自分の所では飼えないんだ」


 頭を撫でる。

 やはり此の感触は人の頭だ。

 猫耳の付け根を触り本物だと確信する。


 とうとう触感まで幻覚が及んでるみたいだ。

 現実逃避をしたくなった。


「有難うございます」

「御粗末様」


 だからウッカリしていた。


 少女の御礼の言葉に思わず返事をしていた。

 それが幻覚だと思っていても御礼を言われたら思わず条件反射で返事をしていた。

 習慣だ。

 目の前で人の姿をしてるのだ。

 御礼を言われたら返事をするのは当然だ。

 そして此れが運の尽きだった。


「ヴェ!?」

 

 目の前の少女が驚愕の言葉を上げたのは当然の事だった。


 やべっ。


 嫌な汗が出る。

 


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