十四話 説教
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空を見上げると満天の星空が輝いていた。
そして満月。
先程まで雲に隠れていたがその姿を現す。
良い月だ。
今夜は月見日和だな。
帰ったら月見酒と洒落こむか。
祥子を誘って。
それよりも……。
正面に視線を戻す。
『深夜というのに大声で……近所迷惑というものを考えてくださいよ良い年なんですから……話聞いてました?』
「ええ~~とすみません」
「ふああ~~い」
『聞いてないんですね』
「「いいえっ!」」
ギラリと睨む御婆さんに震える自分と化け猫。
月見酒は幽霊の御婆さんの説教が終わってからだな。
——……幽霊の説教って斬新だな……。
初めて聞いたよ~~。
傍目で見たら自分はどう見えるんだろう。
それはそうと。
「おい化け猫」
「何? 人間」
自分の呼び方に不貞腐れた感じで返事をする化け猫。
流石に辟易しているみたいだ。
「何で神なのに幽霊に説教されてんだよ」
「仕方ないよ~~悪い事をしたんだから~~」
いや……大声出すのがそんなに悪い事なのか問いたい。
しかし化け猫の顔を見ると至って真剣みたいだ。
キリッと真剣な目をしてるし。
真摯な目だ。
此奴の事を誤解していたかも。
他愛のない事でも反省する気持ちが有るみたいだ。
つまり此奴はちゃらんぽらんな性格をしてると思ったけどそうでも無いみたいだ。
意外に真面目だな。
少し見直したかも。
そう思ったら目が白目を向いた。
目が死んでいる。
寝てるみたいだ。
……。
「眠い~~」
「こいつ……」
怒りで震える。
殴りたい。
化け猫を激しく殴りたい。
『話聞いてます?』
その声で我に返る。
御婆さんの方見るとニッコリと笑っていた。
目は笑ってないが……。
「済みません」
「ふああ~~御免なさい~~」
其れから三十分ほど正座で老婆の説教を受けていた。
化け猫と。
因みに正座してる理由は眼前の老婆に言われたからだ。
いい年した大人が大声を上げて近所迷惑を掛けるなんて情けないと。
しかし化け猫はというと満腹になったのか、だらけて生返事をしていた。
いや……。
良いんだが何で自分は大声を上げた程度で説教されてるんだろう?
「ふああ~~もうそろそろ寝ようかな~~」
「おい」
「ふえ?」
化け猫の頭が揺れ舟をこいでいる。
「何を寝ようとしてるんだ」
「え~~」
耳を伏せてコックリ~~ピクンッとふねを漕ぐ化け猫。
「お・き・ろ」
「嫌あああっ! 痛い痛いいいいいっ!」
ムカついたのでアイアンクローをする。
「何するのよっ!」
「御前が真面目にしないからだっ!」
「猫だからマイペースで良いのっ!」
「化け猫の癖に生意気だっ!」
「化け猫じゃないもんっ! 猫神だもんっ!」
「御前なんか化け猫で十分だっ!」
「ふざけるなっ!」
しゃああっ!
ウヌウウウッ!
等と化け猫と睨み合う自分。
だがそれは唐突に終わりを告げる。
『……いい年した大人が動物を虐待して何が楽しいのかしら?』
御婆さんの底冷えするような声を聴いたからだ。
「すみませんでした」
「にやはっはっは~~ざまあみろっ!」
忘れてた。
目の前の御婆さんの説教中だった。
化け猫のムカつく態度に今の状況を忘れていた。
そういえば御婆さんは化け猫の事が猫にしか見えないんだっけ。
どおいう仕組み何だろう此れは。
その前に。
「ふんっ!」
「いやあああああああっ!」
気が付いたらムカついたので化け猫にはアイアンクローをしていた。
嘘だけど。
『はあ~~』
其れを見て御婆さんは溜息を付くのだった。
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