十二話 遭遇
五話目此れで今日は終わりです
それから数日が経った。
その日も仕事は夜遅くまであった。
当日欠勤で担当の者が休みだったからだ。
だから代わりが来るまで自分が居残る羽目に成った。
代わりの人間が休日を返上して急いで来てくれたがそれでも帰るのが遅れた。
「寒い」
年も明け少しづつ温かくなり始めたがまだまだ寒い。
寒さに震えながら今朝の事を思い出す。
あの猫が良くない物ね~~。
自分の勘の事は棚に上げるとして。
祥子の勘。
座敷童の勘。
正確に言えば祥子自身の座敷童としての能力らしい。
恐らくかなりの確率で当たるだろう。
座敷童は憑いた家を繁栄させ家族を守る能力を持つ。
とはいえ座敷童の能力は個人差が激しく得手不得手が有るらしい。
しかも能力自体もバラバラらしい。
その中で祥子が得意としてるのが憑いた家の人間を守る能力。
今回は自分の身に降りかかる災いが分かったらしい。
といっても具体的な物ではないらしい。
通り魔に刺されたとか火事で焼け死んだとかそんな物は分からないのだとか。
ただあの化け猫に関わった所為で自分が酷い目に合うのだとか。
それで恐らく祟り神ではないか?
そう当たりを付けてみたみたいだ。
いや。
祥子の事は信じてるよ。
でもあの化け猫が、そんなに大層な存在とは思えないんだよね。
まあ~~勘で化け猫の事を良くない物と言った自分も大概だが……。
というか此れが本当なら自分の勘は祥子の座敷童の能力に匹敵する物になる。
……等という事は無い。
唯の当てずっぽうだし。
公園の前を通りがかりそんな事を考えていた時だ。
首筋がチリチリとした。
痒いからではない。
痛みでもない。
皮膚を通して神経を刺激したという感覚ではない。
何かが首筋に当たる所を刺激している感じだ。
妙な感覚だ。
此れは何だ?
ミーミー。
ニャア~~。
ニャアア~~。
フウッ!
ミ~~。
それと同時に複数の猫が公園の中央に集まりだす。
ミ~~。
ミ~~。
ニャアア~~。
ニャアア~~。
ミイイイイイ。
何だ?
ニヤアア。
ニャアア~~。
ニャアア~~。
ミイイイイイ。
その光景に少し圧倒される。
以前の通り掛かったが、こんな光景は初めてだ。
カリカリ。
カリカリ。
ミイ~~。
カリカリ。
そんな見慣れない異様な風景に戸惑ってると大量の猫達が集まっていた。
何だ?
あれは大量の餌?
猫の餌……だよな?
中央の芝生の上に何時の間にか
中央の芝生の上で猫達が一斉に集まり餌を食べていた。
『あらあら~~沢山食べなさい、ふふ御腹が減ってたのね』
それを九十代の御婆さんがお屈んで眺めていた。
何匹かの猫は御婆さんをジッと見つめている。
ニコニコと笑いながら御婆さんは猫を撫でている。
見たことのない顔だ。
しかし違和感がする。
何だろう?
何なんだ?
ミー。
ミイイイイイ。
ニャアア~~。
其処へ大きな猫が御婆さんに擦り寄る。
すり寄った猫は御婆さんの足をすり抜けた。
え?
『あらあら~~甘えんぼさんね』
ニコニコと笑いながら人ほど大きな黒猫の頭を撫でる。
但しよく見るとすり抜けて触れてない事が分かる。
此れは……。
此れはまさか……。
「……」
その見慣れた大きな黒猫を見た瞬間顔が引きつるのが分かる。
大きな黒猫。
但し人型の黒猫をだ。
「美味しいよ~~」
キャットフードを齧るそいつの頭を叩いたのは言うまでも無い。
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