十話。 放置
三話目
祥子の視線から目を逸らしなが今後の化け猫への対処を考える。
……というか何で化け猫の事で悩まなくてはならないんだ?
何かムカつく。
「冗談は兎も角。本当に猫神様はどうするんですか?」
「放置」
反射的に答える。
祥子の頬が引きつる。
「そ……それでも駄目ならどうするんです?」
「今後不法侵入してきたなら通報するという事で対処する」
極一般論で答える自分。
一般論だよな?
「江戸さんんんんんんんっ!」
「やああああああっ!」
自分の発言に絶叫する祥子。
何で絶叫するのか分からない。
玄関の外から悲鳴が上がるが気にしないでおこう。
ニャアア~~ニャアア~~煩い。
「問題あるのか?」
「問題だらけですよおおおおおっ!?」
首を傾げて尋ねる自分に絶叫する祥子。
「だってアレは猫だぞ」
「違いますっ! 猫神様ですっ!」
「猫だから家では飼えないぞ」
「江戸さんんんんっ! 猫ではないですうううううっ!」
何故か祥子から悲鳴が上がるが何故か分からない。
何でだろう?
「神様ですよっ!?」
「うん猫だな」
目の前の人が分からない。
という感じで祥子が驚愕の目を向ける。
仮にも同棲中の恋人に向ける目では無いと思う。
「元猫神ですううう!? 人間いい加減に認めてよっ!」
「猫だな」
玄関の外からも抗議の声が上がる。
思わず反論してしまった。
あ~~あ~~。
聞こえないな~~。
猫の鳴き声が煩い~~。
「にゃあ~~にゃあ~~煩いな野良猫は」
「此の人とうとう猫神様の存在自体を否定したっ!?」
驚愕の声を上げる祥子。
意味が分からない。
唯の猫に何で、そんな反応をする?
「猫だろう?」
首を傾げる自分。
「何ですその完全に猫だと確信している顔はっ!?」
マジかよ~~此の人~~。
そんな風な顔で此方を見る祥子。
失礼な。
「いや自分はさっきから猫しか見てないぞ」
「えっ!? 何!? 猫なの本当に?」
自信に満ちた自分の発言に祥子は己の記憶を疑う。
本当に自分の発言が正しいと錯覚してるみたいだ。
人は相手が確信に満ちた態度で証言すると、それが例え嘘でも本当だと錯覚してしまう生き物だ。
だから祥子は自分の発言に戸惑いを浮かべているみたいだ。
「猫だぞ」
「そ……そうですね」
そんな訳ない。
適当な事を言いました。
というか祥子って素直な性格だから直ぐに騙されるのだ。
このまま説得し続ければ信じるだろう。
「違うの私は本当に猫神なのっ!」
「はっ!?」
外から抗議の声で我に返る祥子。
「チッ!」
「舌鬱をしたっ!?」
「騙されなかったか」
「本人が否定してますってばっ! 嘘をつかないでください」
「そうよっ!」
「ほらっ!」
……思わず納得しかけた癖に。
というか祥子。
猫の姿しか見えないのに声は聞こえる様になったんだな。
だが甘い。
「思い出してみな祥子」
「何です江戸さん……嘘は最早沢山ですよ」
自分の発言にゲンナリとする祥子。
かなり疲れているみたいだ。
何でだろうな~~?
ハッハッハ~~。
「今まであいつは猫の姿にしか見えてないだろう?」
「ま……まあ~~」
自分の発言に戸惑う祥子。
「だから猫だ」
「その理屈おかしいです江戸さんんんっ!」
断言した自分の発言に再度絶叫する祥子。
「まあまて、祥子には化け猫の尻尾が複数有ったり人の姿に見えてないだろう?」
「……まあ」
不承不承頷く祥子。
「だから猫だ」
「言われてみればそうですね~~」
自分が何度も言っていたら段々猫だと思ってきたらしい。
昔から祥子はそうだ。
淡々と此方の発言の正当性を説けばそれが間違った物でもそれが真実だと思ってしまう。
今回は化け猫だ。
どんなに言いつくろっても外見は唯の猫。
此方が言い続ければそれが真実になる。
「ちょとおおおおっ! 洗脳してるんじゃないのっ!」
カリカリと玄関を引っかく音と悲鳴が上がるが気にしてはいけない。
「あのう~~外で否定してるんですが……」
「空耳だ」
「そうですか……」
断言した自分の発言に疲れた目をする祥子。
「さあ~~二人で部屋でくつろぐか~~」
「そうですね」
何か祥子が胡乱な目をしてるが気にしては駄目だ。
「ちょっとおおおっ!」
外からの声何か聞こえない。
聞こえないたら聞こえない。
「鳴き声が煩いな」
「そうですね」
祥子を居間の方に連れて行く。
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