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最後に君に、こそこそ
開かれた窓から、暖かな風が舞い込んだ。カーテンが揺らぎ、淡い光が差し込む。
机の上に置かれたノートが捲れて、とあるページを開いた。
キスした瞬間、花火が打ち上がった。フィナーレは終わったはずなのに。
奇跡が起きたと思った。その後、僕は報告も込めて可愛い可愛い後輩に尋ねたのだ。
「お前。本当奇跡を起こしたのか?」
電話口だったから表情は不明だけれど、非常に不愉快そうな明るい声で、彼女は言った。
「そんなわけないじゃないですか、先輩って馬鹿なんですか? 今年からフィナーレが二段階になったんですよ。まあ、そこまで計算してお二人を導いた的なところはあるので、幸せをわけてください。具体的には静香先輩を――」
ここから先は文字に起こすのが躊躇われるので、想像に任せる。まあ、紗理那の発言だから僕は覚えているだろうけれど。
一段と強い風が吹き、ノートがぱたりと閉じられた。
その表紙には気取った風にこう書かれている。
昨日の君に、さよなら。
僕はまた、今日の君を好きになる。




