作者の自虐的世界
(もしも、本当にその名であるならば、その人には悪いのだが、ネタを思いついたので、書く事にした。)
ここはあるオフィス。パソコンに向かって、データを整理している男がいる。
彼の名前は五井健太郎。
地元企業で働く青年である。
彼は、パソコンで受注されたデータを整理していたのだが、その途中であるものをみつけたのだ。
「なんだこれは。まるで、まるでマンガじゃあないか!」
五井健太郎は、ある発注主の名前をみて、そう思ったのである。
一度はそれを、仕事仲間にでも見せようと思った五井ではあったが、失礼かも知れないので、心にしまう積もりではいた。
しかし、スマートフォンのメモ帳機能に、それをしっかりメモしたのである。
仕事が終わり、家に帰る。
「ただいま」
五井は、そう言って先ずは洗面所にて手を洗い、リビングに向かう。
「お帰りなさい。ご飯はそこに出来てるよ」
「作りおきかい」
「何よ。残業をするとか連絡くれれば、温かいの用意出来るのに」
「そう。済まない。美徳。今度からそうする」
「たのむわね?じゃあチンして食べてね」
健太郎は、夕食を電子レンジに入れて温める。
そして夕食をとる。
「美徳。今日さ、珍しい名前を発見したんだ」
健太郎がそう言うと、美徳は健太郎の側に寄ってきた。
「なんて名前なの?見せて?」
「ほら。こんな名前なんだよ。東北地方で実際にいるかも知れないんだ」
健太郎が、スマートフォンのメモ帳を開いて見せる。
そのスマートフォンを、美徳が健太郎の手から受け取ってみるとそこには。
「え!?ええっ?これは本当?阿保美津広って、本当にマンガじゃない!」
「そうだろ?美徳もやっぱりそう思うよな?」
「まさか、こんな名前が存在するなんて。信じられない」
なんて、二人が話していると、もう一人が現れた。
「なんじゃ?どうしたんじゃ?二人共?」
「あっ!キッコさん。久しぶりだね。今までどうしてたの」
久しぶりに現れた妖狐であるキッコさんをみて、美徳が言う。
「話せば長い事ながら・・・それよりも、あれから数年経つが、健太郎も美徳も結婚してから
も仲良くやっている様じゃな」
「やっだー!キッコさんたらあ!」
美徳が照れて、キッコさんの背中を平手打ちした。
「お、おう・・・」
キッコさんがたじろいだ。
「しかしなんだ?珍しい名前じゃとな?あたいも知りたいのじゃ。健太郎。そのなまえを見せてみい?」
「キッコさん。ほら、これ。」
「ふーん。ほほう。なんじゃこれ。・・・あ。これはきっと作者じゃな」
「ええっ?作者?」
健太郎が驚いた。
「だって『あほみつひろ』じゃろ?作者とおんなじじゃ。しかし、偶然とはおそろしいのう。」
(ちょっと!平仮名変換するの、やめてくれってば!キッコさん)
「あっはっはっは。作者が平仮名変換は止めてくれじゃと!」
キッコさんが大声で笑う。
健太郎が振り向き
「キッコさん。キッコさんはここと、作者の世界を通じる事が出来るの?」
「健太郎や。あたいが妖怪であり、神である事を忘れたか?」
「そう言えばそうでした」
終わり。