1.5話:落ち込みと、不穏な影
「はぁ・・・。」
朝からため息をつくのには理由がある
「どうした?さっきからため息ばっかりだけど?」
と、声をかけてくれるクラスメイト。
しかしため息の理由は彼のせいなのだ。
しかし彼は分かっていない。
その理由とは・・・。
「あらかた、こいつに"あの娘"がとられたってところ?まー神谷には勝ち目なかったと思うけどね。」
「え?俺?」
「そうだよ!次はくー("あの娘"の名前である來未より)なら僕に気があると思っていたんだよ!そして、告りに行こうとしたらそこでお前が告られてたんだよっ!」
と叫んだところで俺は思った。
このことは知っていたのは、僕とさっき言い当てた夢の二人だけだった。
しかしここは人が多くいる教室のなか。
そんな場所で叫べばどうなるか・・・ざまぁ。と僕は思った。ラノベ主人公よりも先にそうやって目立つから悪いんだよっ!
と、自分の行動に正当化をする。
そして、恋バナ系が好きな男女が飛んできて、次に野次馬がわらわらと彼に近づいていく。
「お前が來未と付き合ったとかマジで?」
「おめでとう!」
「リア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は爆発しろリア充は・・・。」
という具合に一部を除き祝福されている。
なんで祝福されるんだよっ!みんな非リアは全員妬めよ!
「そういや陸は結局どうなったんだ?」
「・・・フラれた。」
お?お?お?これは・・・。
「ドンマイ。まぁ気を落とすなよ?部活に支障は出さないようにしないともう直ぐ大会だしな。」
彼はサッカー部のエースだが最近動きが悪かった(らしい)
その理由がこの通りだというのだ。
てか、フラれた僕と陸との対応、違いすぎない?!僕には『ざまぁ』とか『またか』とか、ひどい時には『ふーん』で終わりなのに陸にはあんなに優しい言葉を?!
「それはキミの人望のなさによるものだよ?」
「相っ変わらずのエスパーっぷりありがとよっ!上村よぉー。」
と、またこいつに心を読まれた。(一話参照)
「まぁ・・・断言はできないけど、確率は低いと思うけど・・・いやゼロに等しいけど。きっと神谷もなれるさ。リア充に・・・。」
「ひどいな。おい!」
「神谷、お前は何言ってるんだ?上村は本当のこと言ってるだけじゃないか。"断言できない" "ゼロに等しい" これがお前が來未・・・いやそれ以外も含めリア充になれる確率だ!」
「もうやめてっ!僕のライフはもうゼロだ!」
と、いう具合に言われ続け、僕は考えることを放棄した。
そして神谷は、今日も、送られてきていた視線に気づかなかった。
いや、気づかせないように念入りに準備をしていた。
時は下校中まで進む。
「はぁ。今日は散々だったなぁ。」
結局一部の女子からは、『神谷が來未と付き合おうとするなんて身の程を弁えなさい!』なんて言われてしまった。
「身の程を弁えろか・・・。」
そう言われてもなぜ弁えないといけないのか。ラノベ主人公は大体修羅場を経験するものではないのか。
「まーだ落ち込んでんのか?神谷。」
上村だ。
正直立ち直りが早いのが売りだった割には、今回なかなか立ち直れない。
「どーせもうあと少ないから立ち直れないんだろ。」
と、村上
「ん?どういうことだ?」
「じゃあ簡単に計算だ。大体一クラス15人女子がいるだろ?で、学年には4クラスだから一学年で大体60人うちの学校は中高一貫で合計六学年。だから60✖️6で360人。んで神谷が告った回数が300。あと60人しかいないわけだ。しかもそのほとんどが中一。神谷はロリコン扱いされるのは嫌いだから、あと残るは少数の告っていない同級生だけ。」
「まじか・・・そんなに少なかったのか。」
「え?神谷自分で気づいてなかったの?」
「どーせこいつのことだからそんなこと考えてなかった。いや無意識に考えてはいたけど、思考に入れないようにしていたんだろう。」
なるほど、もうそんなに減っていたのか。これはもしや非リアのまま高校も卒業してしまうかもしれないな。
いや、大丈夫だ。きっと・・・。
「あんま夢見ないほうがいいぞ神谷。どうせどうせすぐにできるとでも思ってるんだろ。」
くっ・・・だからなぜこいつは人の思考が読めるんだ。
「あ、俺こっちだから。」
その一言でいつもと違った道から帰ろうとした。
しかしそれが運の尽きだった。
まさかあんなアクシデント(ある意味幸運で主人公っぽい)が起こるなんて・・・。