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馬路天使(街角の天使)  周旋、主演の1937年の中国映画、  魔都上海 映画レビュー

作者: 舜風人

「馬路天使」(街角の天使)とは1937年制作の中国映画である。そしてこの映画は当時の魔都上海の実態が活写された映画としても知られている、


主演の周旋は当時のスター女優でありこの映画は彼女の代表作でもある。

戦前の上海はいわゆる「魔都」として諸外国の租界が入り組み、アヘン崫や娼館が立ち並び、

いわゆる裏社会を構成して、魔の花を咲かせていたのである。

各国のスパイや、諜報員が暗躍して、まさに魔の都だったのである。

その辺の実態を描いた映画としては、この「馬路天使」とか「夜上海」という当時の映画に良く描かれています。



この「馬路天使」という映画は戦前中国映画の最後の名作として今でも輝いていますね。

というのも1938年にもなるともう映画作りどころの話ではなくなってしまうからです。

つまり、上海は戦乱の渦中に飲み込まれて、もう映画を作るような時世ではなくなったのです。

この辺の事情は「ラストコーション」とか「シャンハイ」(渡辺謙主演)「太陽の帝国」(スピルバーグ監督)などの最近の映画にもよく描かれているとおりですね。

ちなみに「ラストコーション」の中で主役の女性が「天涯歌女」という歌を歌う場面がありますね。この歌はそもそもが「馬路天使」の挿入歌です。



さて「馬路天使」に戻りますが。

内容は日本軍に追われて北からのがれてきた中国人姉妹のお話です。

このあたり当時の世情が迫ってきますね。

この映画の主人公は妹の「小紅」です。周旋が演じています。

着の身着のまま逃げてきた姉妹は上海に流れ着いて、

歌がうまい妹は裏酒場で、流しの二胡引きの

もとで歌を歌って生計を立てています。

芸のない姉は、、街娼として街角で稼ぐしかありません。

当時こういう女性がたくさん上海にはいたという事実ですね。

リアルな上海の喧騒と雑踏が描かれます。

長屋の向かいに住む、ラッパ吹きの青年と小紅との淡い恋も描かれます。

さて映画の前半はむしろコミカルに。明るくさえ描かれますが


映画の後半は、、、

妹の小紅が、地域のボスによって、売春屋に売り飛ばされるというシリアスな、おはなしに急展開します。それを知った姉が身を挺して、、命を投げ出して妹を救うという,悲話で終わることになるのです。

戦争はいつだってこうした無実の女を犠牲者にするのだというテーゼでしょうか。

主役の周旋はこのとき17歳で、すでに歌手として知られていた。それをこの映画の主役に抜擢されたのである。というわけでこの映画の中でも美声を披露しています。


この映画の

挿入歌のなかでは有名なのはこの2曲、


「四季歌」   これは今でも有名な歌で現在も歌い継がれています。


「天涯歌女」  この歌曲も有名で、テレサテンとか、李香蘭もカバーしていますね。







●馬路天使(1937年中国明星影片公司作品)

監督・脚本/袁牧之

撮影/呉印咸

音楽/賀緑汀

作詞/田漢

出演/周璇(小紅)

   趙丹(小陳)

   魏鶴齢(老王)

   趙慧深(小雲)

   王吉亭(二胡ひき)

   銭千里(理髪師)

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