朝のうた
立ち上がる朝の空気
どこまでも伸びをして
真綿のように
柔らかな日差し
軒先を清める隣人の
おはよう
背丈にまだ合わない
ランドセルを背負い
走り去るこども
一斉に咲き誇る
河川敷で佇む花の薄紫
蝉の青い声
緩やかな歩調のサンダルと
急ぎ足のヒール
色をのせ始めた空が
あくびをひとつ
光を沿わせる
変わり映えのない
景色の中で
瑞々しい朝は潤うことを
止めなくて
風は搾りたての息吹
誰も振り返らずとも
そっと背中を押し
送りだす今日という一日
立ち上がる朝は
捥ぎたての果実
新しさの中に吹き抜ける
勇敢な芳香
そうして
僕らは何度でも青い実となり
また今日を歩き出す