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孤独な魔術師、そして

イコージのその後がみたいと言う感想から始まった物語りも終わりです

side イ・コージ


 結界が発言してから20分ぐらい経ったでしょうか。


「…来ました、皆さん無理はしないで下さい」


結界に開けた穴からローブに身を包んだ人間が1人、2人と入って来ました。


「あれが異端者審問隊ですか…あれはまともじゃないべ」

傭兵隊で戦いの経験を積んだカペー君には分かるんでしょう。


「カペー、どういう事ですの?」


「あいつらから緊張も殺気感じられないんだね。それどころか恐怖感もねえだよ」

そう、異端者審問隊の怖さは戦闘の強さもさる事ながら感情の稀薄さも怖いんですよ。

自分達が有利でも不利でも淡々と相手を殺しにきます。


「弓、お願いします!!」

傭兵隊の方が放った弓が異端者審問隊の体を貫きました。


「コージ、あの人達足に剣を突き立てましたよー!!治療もしないで何をしてるんですかー?」


「どうせ死ぬなら仲間を弓から守る遮蔽物になるつもりでしょうね。レクーの為なら自分の命も仲間の命も何とも思わない、それが異端者審問隊ですよ。ですからレクーを信じない者が相手なら情け容赦なんてありません」

実際に次に出てきた異端者審問隊は仲間を盾にしてから散開を始めました。


「人数は全部で15人ですか。思ったより多いですね…あれはアレキス、やはり来ましたか」

アレキス・アポロード。

かつての親友でキャロルの本当の父親、そして今は異端者審問隊の隊長。


「気を付けて下さい。人数は向こうが上ですから囲まれない様に、一撃でも貰らえば毒をもらいますよ」

手慣れていますね、背を低くしたり草や木に身を隠す事で弓から狙われない様にしながら近づいて来ます。


「久しぶりですね、コージ君。研究者の君に防衛を任せるなんてルーンランドも酷い国です」


「チャームを掛けてサン・エルフを滅ぼす国よりはマシだと思いますよ」

アレキスと私の距離は一歩踏み込めば魔術の射程範囲。


「魔術を吸い取りそれを結界に流用、しかもわざと薄い部分を作り襲撃部分を限定させる…コージ君中々やるね」


「私も色々な経験を積みましたからね…皆さん来ますよ」


異端者審問隊は3人1組となり1人 を狙うようです。

私はアレキスを牽制しているので加勢ができません。


「コージ、このままじゃ不味いですよー!!」

リアの言う通りこのままじゃ押し負けてしまいます。


「皆さん、円になって私とリアの詠唱時間を稼いで下さい」

幸いな事に異端者審問隊は下から攻めて来てるので足元に猿人即死の効果がある気体魔法を発動させれば数を大分減らせます。


「イコージさん、分かっただ!!みんな円陣を組むだよ。盾を構えてお互いをカバーするだ」

カペーさんの合図で傭兵隊の5人とソニアさんが円を作り私達を囲んでくれました。


「いきます!!これからは逃げられませんよ」

バングルの紫色の魔石に触れて異端者審問隊を紫の気体で包み込ます。

倒せたのは10人、これで互角に戦えます。


「これがコージ君の気体魔法か…でもこの人数相手に通じるかい?」

アレキスがピッーと笛を吹くと結界の隙間から次々と人が入って来ました。

しかもあれはチャームを掛けられたサン・エルフの人達。


「50人近くいますね…皆さんは弓を射って牽制しながら後退を始めて下さい、ファイヤーボール」

ここは私が犠牲になってでも中級以上の魔術を使って他の人を逃がさなきゃいけません。


「コージ、早く逃げますよー」


「リア、私はどでかいのを1発かまします。それとキャロルに謝っておいて下さい…早く行きなさい」


次の瞬間、私を猛烈な痛みが襲いました。

「なーにが早く行きなさいだ?このバカコージが!!お前1人が犠牲になってなんとかる戦況じゃねえだろ」


「エリーゼ先輩!!いつの間に?」

私を襲った痛みの原因は名前の通り岩のオーガなみの拳を持つ女、エリーゼ・ロックオーガ先輩でした。


「向こうの方は俺達の出番がないからこっちに来たんだよ。まっ、後から娘に謝るのはお前だな」

エリーゼ先輩の後ろにはガドインさんと傭兵隊の皆さん、そしてクリスさんと配下の騎士団が来てくれています。

さらに

「プァープァー!!後から直接私に謝ってもらうからね!!もうっ目を離すと直ぐに無茶するんだから」


「キャロル!!ここは戦場だから来たら危ないですって。それにコンサートは?」


「コンサートはライラちゃん達4期生のステージだから大丈夫。それにどこにいたってルーンランドは戦場だよ」


「我が名はガドインロックオーガ。ルーンランドの伯爵にして傭兵隊の隊長。レクレールの馬鹿共、相手してやるぜ」

物凄い迫力でガドインさんが異端者審問隊をにらみつけます。


「僕の名前はクリス・アレキサンドラ。ルーンランドの入国料は高いですよ…お代は貴方達の命です!!」

クリスが堂々と宣言をします。

その姿は自信に満ち溢れていて頼もしい限りです。


「アレキス、久しぶりだな!!間男の次は密入国か?こっちの数は総勢300、全員が戦闘のプロだ。ビビったんなら小便チビる前にお家に帰りな!!」

エリーゼ先輩、男前を通り越して男臭すぎます。


「何か勘違いしてませんか?誇り高い異端者審問隊にエルフなんて入れる訳がないじゃないすか?…我と契約せし、死の光の精霊トートよ。姿を現したまえ」

現れたのはボロボロの布をまとった巨大な骸骨。

死の光の精霊トートはレクレール配下の上級精霊…その召喚代償は魔石や魔力ではなく人の魂。


「サン・エルフの人は召喚の為の触媒でしたか」


「トート様は1振りで千の命をかる御方だ。私への暴言あの世で後悔してもらいますよ」

アレキスの言葉にみんなジリジリと後退してしまいます、だけど私は1歩づつ前に歩を進めます。


「リア、歌を歌って下さい、そして皆の魔力を私に集めるんです…ビルさんに来てもらいます!!」


「コージ、わかりましたー。キャロル、ソニア、チェルシーいくよー」

戦場に似つかわしくない乙女の歌が響き渡ります。


「歌なんて何になるんだ?トート様お願いします…トート様?」

トートは動けない筈、何故なら。


「ガドインさん、エリーゼ先輩、クリスさん。3方に散って古代竜の鱗で結界を張って下さい」

同じ上級精霊と言えトートと古代竜では格が違います。


「皆さんの力をコージに貸してくださいー」

「パパ、いくよー」

マジックガールズが結成された理由は魔術の向上の為といざと言う時強力な魔術を使う為。


「私と友誼を結んでくれたビルさんにお願いします。私の大切な人達を守る為に力を貸して下さい…アレキス、光も時から逃れられないんですよ」


「古代竜ビルクーロだと…そんな馬鹿な」


「トートよ、創地神様はお怒りだぞ…時の裁きを喰らうがいい」

ビルクーロの口から黒い渦が放たれました。

それは光さえも滅ぼす時のブレス。


「ビルさん、もう1つ力を貸してもらえますか?あの男に夢を見せてもらえませんか?アレキスが本当に見たかった未来(ゆめ)を」

アレキスはすでに命が事切れる寸前の老人となっていました。


「あの男はお前を殺そうとしたのだぞ?」


「アレキスは今も親友ですよ。ただ進む道を違えただけです。キャロル、行きなさい。アレキスが貴女の本当の父親なんですよ…今、行かないと貴方は一生後悔しますよ」

ビルさんが見せてくれた夢はアレキスとキャロル、マリーが3人で幸せに暮らした夢。

そして彼の目には涙を流しながら抱きついている愛娘が映っているでしょう。


「リア、少し休みますね。流石に体に負担が掛かり過ぎました…なんか眠くて仕方ないんですよ」


「コージ、大丈夫ですよ。今は私の膝でゆっくり寝て下さいー」


「私、少しは罪滅ぼしが出来ましたかね」


そう言って孤独だった魔術師は眠りについた。

暖かい温もりに包まれながら。

そして彼は目を覚ましたら再び魔術の研究に勤しむ。

深い絆を結んだ仲間達と共に。

これは孤独だった魔術師が全てを失い、改たな絆を得た物語り。

ザコと同じくその後の話を書きたいです

おじさんの話が受けるか心配でしたがサラリーマンの方から感想を多くもらえて励みになりました

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