幕間 ケメンとアリス
Side イ・コージ
やばいです、とんでもなく厄介な事になりました。
考えるだけで冷や汗が流れてきます。
「あれ?コージおじさん顔を青くしてどうしたんだ。また、何かやらかしたのか」
私に話し掛けてきたの姪のライラ…ある意味ライラも同罪です。
「今日ホーフェンから手紙が来ました。近い内にみんなでルーンランドに来るそうですよ」
聞いた話ではレクレールとの戦に備えてホーフェンからローブを作れる職人がヘイムランドから武具や防具を作れるドワーフさんが大勢来るそうなんですよ。
「えっ!!親父やお袋も来るの!?やったー!!」
しっかりしていますがライラもまだ子供、親と離れているのは寂しいんでしょう。
「ええ、キトウセン兄さんもヤシ義姉さんも父さんも母さんも来るそうですよ」
そう、イ家がルーンランドに集合してしまうんです。
「久しぶりに婆ちゃんのシチューが食べれる、やったー!!…でもコージおじさんは何で焦ってるんだ?」
「ライラ、みんながルーンランドに来るって事はケメンとアリスさんの事が母さんや父さんにばれるんですよ」
弟ケメン34歳、ケメンの彼女のアリスさんは14歳…
いくらマッドマジシャンとは言えケメンのロリ疑惑は晴らせません。
「あー、確かにやばいよね。アリスさんが話を聞いたら絶対に婆ちゃんにきちんとした挨拶をしそうだし」
ライラの言う通り、アリスさんは1日でもケメンに会えないと元気をなくす程にラブラブなんですよね。
しかし、アリスさんは私以上に無口で無愛想なケメンのどこに惹かれたんでしょうか?
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Side イ・ケメン
コージ兄さんが店に来て近い内に母さん達がルーンランドに来る事を教えてくれた。
「アリスさんの事が大切ならどうするか良く考えなさい」
そう言い残して。
言っておくが俺はロリコンではない。
好きになったのが、たまたま年が離れた女だっただけだ。
そして思い出す、俺の大切な無口なあいつの事を。
アリスと知り合った切っ掛けはアリスが店にローブを作り来たからだ。
それからあいつは何が楽しいのか俺が仕立てをする所を見に来る様になった。
俺も無口だがアリスも無口、そんな2人がいても会話らしい会話なんてありゃしない。
「おはよう…見て良い?」
「好きに座ってろ」
「分かった」
それぐらいの会話しかしなかった。
アリスはアイドルをしてる癖に人見知りをするし、喋るのが苦手だ。
そんなアリスにしてみれば注文と仮縫い受け渡しの時にしか客が来ない仕立て屋は過ごしやすかったのかも知れない。
そして穏やかにたたずんでいる少女に俺はいつの間にか惹かれ始めていた。
すぐに徹夜をする俺を心配してアイドルの仕事で疲れてるのに色々と世話を焼いてくれる少女に。
「親の気持ちより自分の女の気持ちだよな」
親父達に何を言われても伝えよう。
アリスは俺の大事な女だと。
ケメンがイケメンになってる気が…