新マジックアイテム、その名
ひさしぶりの更新です
Side イ・コージ
私が今回作るのアイテムはレクレールチャーム対策グッズです。
使う材料は、ライトクリスタル、ブラックディアの骨を焼いた物、目の細かい砂
、アイディールウォールナット、目の荒い砂、マナスポンジ、私が前に結界を張る為に作ったオリジナル人工魔石バリアコージストーン。
「パパ、これだけ?ルーンランドを守る為のマジックアイテムにしては随分と質素なんだね」
キャロルが驚くのも仕方ないかもしれません、何しろ私が準備した物はどれもルーンランド周辺でとれる物ばかりなんですから。
「今回は国全体を守る必要がありますからね。1個単価は安い方が良いんですよ、でも高いからと言って有用とは限らないんですよ。さて、作りますか」
まずはライトクリスタルを目の細かい砂に埋めて操砂の魔術で丸い形に磨きあげます。
この時に真ん中に溝を彫っておくのが大切。
「ここで皆さんに問題です。焼いたブラックディアの骨はなんに使うか分かりますか?あっ、ライラは分かりますよね」
「コージおじさん、焼いたブラックディアの骨は顔料に使うよ。焼いたブラックディアの骨を細かく砕いて油を混ぜれば黒の顔料になる」
さすがはホーフェン生まれのライラは詳しいですね。
「コージ先生…ま、まさかアイディールウォールナットからクルミ油を取り出すんじゃないですよね?アイディールウォールナットはまたの名を理想のクルミって言うんですよ!!濃厚な味に豊潤な薫り。一口食べれば口の中に旨味が広がり噛めば噛むほど口の中はナッツパラダイスになるんですよ!!全リス人族の憧れのクルミ、アイディールウォールナットを食べずに油だけを取り出すのに使うなんてバチが当たります」
ライズさんはあれだけの喋りながらもアイディールウォールナットから視線を離していません。
「ええ、アイディールウォールナットからは良質な油が取れますからね」
アイディールウォールナットの殻を砕くとクルミの香りが研究室に充満しました。
そして、ライズさんの口からはよだれが滝の様に流れ落ちてきています。
「コージ先生、殻に欠片が残ってますよー!!先生、一口で良いから僕にアイディールウォールナットをープリーズなのですー!!」
ライズさんは目が血走り色んな意味で危ない状態です。
「…1つなら食べて良いですよ」「嘘じゃないですよね?僕がアイディールウォールナットを食べれる日が来るなんてオーディヌスに生まれて良かったー!!」
…絶叫してるライズさんはそっとしておいて、ブラックディアの骨の粉末にアイディールウォールナットの油を混ぜていきます。
「これを先程のライトクリスタルの上半分に塗っていきます。なんで黒く塗るか分かる人はいますか?」
「はいーはーい!!先生、私分かるよ。黒くすれば地面に置いた時に目立たないからでしょ、落とし穴と同じだねっ!!」
どうもアルバさんの思考は悪戯から離れられない様です。
「それもありますがもう1つ重大な意味があります。黒は光を1番吸収する色なんですよ」
これはイントルさんが執筆された自然科学のまとめと言う本に書いてました。
ちなみにイントルさんが執筆した本は詩、絵画、科学、数学と多岐にわたりオーディヌスの学者のバイブルとなっています…なんて規格外なトロルなんでしょうね。
あのピティさんでさえ、イントルさんを尊敬してるんですから。
「次に目の荒い砂の中にマナスポンジを置いて砂に圧縮の魔術を掛けるんですが、マナスポンジの事を分かる人はいますか?」
マナスポンジは一見穴だらけの石の様に見えます。
「マナスポンジは~海綿の1種で~マナを吸収するんですよね~」
テレサさんがゆっくり答えてくれました。
聞こえない振りをしてもう一度海綿と言わせるのは…危険ですね。
「その通り、次にライトクリスタルの透明な部分に光属性吸収の魔方陣を彫り込みます。そして吸収効率を良くする為に対象をレクーとその下位精霊に限定するんですよ」
何しろレクレールではレクー関係以外の精霊と契約するのは犯罪なんですから。
「そしてマナスポンジにライトクリスタルの透明な所をくっつけます。そしてマナスポンジの回りの砂に魔力経路を彫って、その先にバリアコージストーンを設置します。後はライトクリスタルが外れない様にしなくてはいけませんから真ん中に彫った溝まで荒い砂をかけて圧縮の魔術をかければ完成です」
今回のマジックアイテムの売りは待機魔力を必要としない事です。
マジックアイテムの近くで光属性の魔術を使えばマジックドレインが発動して、その魔力で結界魔法が発動する仕組み。
そしてドックタグに対応する魔石をはめ込めば出入りが自由。
「安くて早くて安心。これがイ・コージのマジックアイテム。名付けてクラシカルアンチマジック略してクラシアン」「パパ、ストッープ。水道屋さんじゃないんだし危ないよ」