素材集めとボッチなおじさん
side イ・コージ
寂しくなんてありません!!
私には長年培った孤独耐性があるんです…。
今日は、マジックガールズ4期生を引き連れて最終実習に来ています。
若い娘が大勢ですから賑やかです、私の周り以外は。
若い娘が大勢ですから華やかです、私の周り以外は。
私達が来ているのは以前リアやキャロルと一緒に来た北の草原。
今回の護衛は教育係を兼ねる為に、誰と組みたいかは4期生の希望制になっています。
まずエルフのフローラさんには同じ北エルフのレニさんと癒やし系のテレサさんが着いています。
エリーゼ先輩には実妹のシャルロッテさんとハーフ牛人族で力も胸も規格外なミカさんが希望されました。
我が義娘キャロルには私の姪っ子ライラとおしゃべり大好きなリス人族のライズさんと犬人族のプドルさんの3人が希望されました。
私の恋人、リアには毒舌娘ピティさんと恥ずかしがり屋の猫人族ジルと悪戯好きなハーフ馬人族のアルバさんと歌の得意な照れ屋のピュリアさんが…
そう総勢16人の大パーティーに私だけ1人なんです。
「それではここで採集実習を始めます。指導者の見える範囲で指定された素材を集めて下さい」
私の言葉を合図に銘々草原に散らばって行きました。
どうせボッチなんですから、私も4期生の皆さんを見ながら採集に勤しみましょう。
「コージおじさんも採集してるのか?…ってもうそんなに採ったのか?」
「ライラ、ここの草原は以外と穴場なんですよ。どうもルーンランドの魔術師は素材を買って済ます癖があるみたいで勿体無い話です。私も素材集めを頑張りますからライラも頑張って下さい」
可愛い姪っ子とは言えエコヒイキはしません、キトウセン兄さんからも甘やかさない様に言われてますし。
「おじさん、俺新しい靴が欲しいんだよなー」
ライラは私の素材集めがそれなりの副収入になる事を良く知っています。
「仕方ないですね。1足だけですよ」
「やったー!!だからコージおじさん大好きだぜ。採集頑張ってくる」
ライラは勢い良く走って行きました。
「もうパパはライラちゃんに甘いんだから」
キャロルが呆れ顔で話し掛けて来ました。
「キャロル、見てましたか。あの娘の無邪気な笑顔を見てるとついね。それで4期生の皆さんはどうですか?…この気配はキャロル、の皆に集合を掛けて下さい」
警戒の為に広範囲探査魔術を展開しておいたのが、不幸中の幸いでしょう。
――――――――――
無事に全員集まりとりあえず一安心です、4期生の皆さんはかなり不満なご様子ですけど。
「コージ何があったんだ?…この気配はピンクもじゃとリーチェ、フローラは結界を張れ。餓鬼共は結界の中に固まるんだ」
「姉貴、何があったか説明しろよ」シャルロッテさんはエリーゼ先輩と性格も似ているみたいですね、気をつけましょう。
「シャル大人の言う事は素直に聞け!!来るぞ」
次の瞬間、地面から何かが飛び出して来ました。
それを見た4期生の娘達は大騒ぎで中には泣いてる娘もいます。
でも仕方ないでしょう。
「パパ、なんでサンドワームが草原にいるの?」
キャロルが焦ってパパと呼ぶのも仕方ありません。
サンドワームは本来は砂地にのみ生息する巨大な芋虫、3m近い大きさで褐色をしています。
ちなみに主食は獣や人なんですよね。
「キャロル、術を乱さないで下さい。予想は着いてますが、まずはこいつを倒します」
サンドワームの厄介な点は分厚く硬い表皮です、砂漠の暑さから体を守る為に厚くなったと聞いています。
「コージ、俺が前衛で牽制する。さっさと片づけるぞ」
「分かりました、水のマナよ。球となりて敵を潰せ、ウォーターボール」
狙うのはサンドワームではなくサンドワームがいる地面です。
side キャロル
パパの放ったウォーターボールはサンドワームに掠りもせずに地面に水溜まりを作るだけだった。
4期生の娘達から不安、不満、落胆の声が漏れ始める。
そんな事を構わずにパパは次の呪文を唱え始めた。
「濃霧よ、我が敵を包めフォグステルス」
パパが次に唱えたのはピュリアちゃんも得意とする濃霧を使った認識阻害呪文のフォグステルス。
「私のフォグステルスと比べ物にならない位に霧が濃いし範囲も広い」
ピュリアちゃんが驚いてる。
「芋虫には目がないのに濃霧で包んでも意味ないじゃん。キモイコージまじ役にたたないじゃん」
ピティちゃんの毒舌にみんなが不安そうな顔になった。
「これだから魔術の素人は困るんだよな。コージおじさんはウォーターボールを外したんじゃなくより濃い濃霧を作る為の水溜まりにしたんだよ。そしてフォグステルスは認識阻害の為じゃないんだぜ」
ライラちゃんもパパの意図に気づいてるみたい。
「キャロール、フローラ、結界に耐寒性をつけるよー」
リアさんはパパの活躍を見れるのが嬉しいのか口元が緩んでいる。
「パパ、耐寒性に問題はないよ」
「キャロル、ありがとうございます。吹雪よ、我が敵を包み込み凍らせろ、ブリザード」
濃霧の周辺が猛吹雪に変わる。
「サンドワームは砂漠に住んでるから体内に大量の水分を溜め込むんだよ、朝霧の時に口からじゃなく体からね。だからパパは濃霧を発生させたんだ」
限界ギリギリまで体内に水を溜め込んだサンドワームが急速に冷凍されれば分厚い表皮さえも凍りつく。
だってサンドワームは表皮から水を取り込んでる最中だったんだから。
霧が晴れると現れたのはサンドワームの氷像と3人の少年だった。
3人共、美少年で4期生はざわめきだす。
ちなみにリアさんは今だにパパに視線が釘付けになっているけど。
そのパパの顔には、あの暗い表情が浮かんできていた。
「皆、大丈夫か?」
「サンドワームはもう倒れします。安心して下さい」
「お前達の事は俺等が守ってやるぜ」
サンドワームはパパが倒したのに、このおめでた3人組は何をほざいてるんだろう。
「素敵ー」「格好いいー」「イケメンですー」「はうー、たまりません」
何故か騒ぎ出す4期生達…心なしかフローラの顔も赤い。
エリーゼ主任とリアさんは呆れ顔だけど。
でもこの表情はどこかで見た事がある。
(ソニアだ!!ソニアがチャームを掛けられたら時と一緒だ)
私とリアさんはビルクーロと契約をしてるからチャームは効かないし、エリーゼ主任はチャーム無効のアクセサリーを着けている。
でもこの3人は一体…
「レクレールが何の用ですか?今はプライベートだからサインは無理ですよ」
レクレール、私とお母さんを捨てた男の国。
「レクレール?それは、どこの国だ?俺達はマジックガールズの4期生を助けに来ただけだぜ」
「なんでレクレールが国だと知ってるんですか?それにマジックガールズ4期生はまだ正式にデビューしていないのに何で分かったんですか?まさかレクーの思し召しなんてほざくんじゃないでしょ?まあ、あんな3流精霊を信じる馬鹿はいませんよね」
パパの言葉は明らかに挑発だった。
「レクー様の呼び捨てだと!!」
「レクー様は上級精霊いや最高精霊です」
「俺達の前でレクー様を侮辱した事を後悔させてやる」
3人共、激興し始める。
それと対象的にはパパは冷たく笑う。
「これで貴男達を遠慮なく倒せます、生徒は私が守る」
こうしてパパとレクレールの戦いが始まった。
4期生を絞らなくては
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