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粘土は粘土

side イ・コージ


 クレイゴーレムが皆さんの活躍で全滅してしまいました。

私は…激しく不満です、とんでもなく不服です、烈火のごとく憤慨してしいます。

なんでクレイゴーレムの核がみんな同じ場所なんですか?

なんでアイアンゴーレムやミスリルゴーレムを忍ばせておかないんですか?

なんで爆発魔石を組み込んでおかないんですか?

これはキヨ・ワーグさんにお説教しなきゃ気が済みません。

こっちにもジャイアントクレイゴーレムを早くプリーズです!!


「パパ、早く来て!!新しく現れたクレイゴーレムが合体しちゃったよ」

キヨ・ワーグさん許して下さい、貴方もマッド仲間だったんですね。

全滅させたと思ったら新しく現れたクレイゴーレムが合体、なかなか憎い演出じゃないですか、花丸をあげちゃいます!!


「キャロル、任せて下さい。それでジャイアントクレイゴーレムはどこですか?何m級です?なんか魔術とか使っちゃってませんか?」

もうテンションが上がりまくりです。


「パパ、あそこ!!合体して大きなライオンさんになっちゃったの」


嘘…ライオン?

確かにキャロルが指差す先には粘土で作られたライオンがいました。

タテガミや爪まで細かく再現されたライオンが。

「な、何考えてんだー!!キヨ・ワーグは馬鹿か?いや、馬鹿だ!!なんであんな無意味な物を作るんだよ。細部までこだわるなんて救い様のない馬鹿だ!!」


「パ、パパどうしたの?なんでそんなに怒ってるの」

はっ、私とした事が怒りのあまり我を忘れてしまいました。


「キャロル、パパは強力なクレイゴーレムが見れると思って期待してたんですよ。それがライオンのクレイゴーレムなんでガッカリです」

あんな無意味な物に私の魔力を使う必要はありません。


side キャロル


 敵が作った魔物に失望して怒るなんて、世界中を探しても私のパパぐらいだと思う。


「でもパパ、ライオンさんだよ。強いんじゃないかな?」


「確かにライオンは強いですよ。キャロルに問題です、ライオンの武器はなんですか?」

戦場で義娘に問題をだすのもパパくらいだと思う。


「えっと鋭い爪と牙。それに素早い動きかな…あっ!!パパ、もしかしなくてキヨ・ワーグって残念な人?」

そう、いくら鋭い爪や牙を再現しても結局は粘土だから硬さがない。

いくらライオンの姿をしていてもクレイゴーレムだから動きは鈍い。


「それに核に封じ込まれている魂は人間の物ですよ。キャロル、ライオンの真似をしながら戦えますか?」

ライオンの真似か、四つん這いになって手で相手を攻撃しなきゃいけないんだよね。


「動きにくいから無理かな」

そう言えばライオンゴーレムの動きも、どこかぎこちない。


「全く、ライオンより壁とか球状にした方が怖いんですよ」

崩れてくる粘土の壁に転がってくる巨大な粘土の球、確かにどっちも嫌だ。


「コージ、なーに娘とイチャついてるんだっ!!とっとっと来い」

怒声と共に登場したのは、パパの天敵エリーゼ主任。


「エリーゼ先輩、あんなのに私が出る必要はないです。私はジャイアントクレイゴーレムの観察に行きたいんですよ」


「ああん?観察なら好きなだけさせてやるよ。お前があの粘土ライオンを倒したらな」


「先輩、引きずらないで下さい。首がしまります」


パパはエリーゼ主任に引きずられて行ってしまった。


side イ・コージ


 エリーゼ先輩と私の違いは、伯爵夫人と一般人、学校の先輩と後輩、魔術研究所の主任と一般職員、暴力戦士とマッドマジシャン…逆らえる要素がゼロです。

だから

「おい、お前ら今からこのイ・コージが1人であの粘土ライオンを倒す。良く見て戦いの参考にしろ」


「うっす!!姐さん」

先輩、傭兵隊の皆さんに姐さんって呼ばれてるんですか。

ここでエリーゼ先輩に逆らうのは簡単、旦那さんであるロックオーガ伯爵に訴えれば良いだけなんですけれど。


「よっし、コージ、先輩命令だ行け!!」


「分かりました、エリーゼ先輩」 

条件反射と言いますか、身に染み込んだ危険回避能力と言いますか、先輩の硬い拳を体が覚えているからでしょうか…

すぐさま了承してしまいました。

ライオンゴーレムは姿はライオンとは言え所詮は粘土、しかも合体しているから重量が重いので動作が鈍く殆ど動いていません。

核を包んでいる粘土は厚いですけど、あのライオンをマジックボールで倒すのは簡単です。

マジックウェイブで核を包んでいる粘土を吹き飛ばしてからマジックボールをぶち込めば粘土の厚さなんて関係ありません。

でもそれじゃあ傭兵隊の皆さんの参考にはならず、私はエリーゼ先輩に叩かれるだけ。

傭兵隊の皆さんもマジックアイテムは使う筈、それなら。

side キャロル


 パパは粘土ライオンに近づくと懐をまさぐり始めた。

出てきた手に握られていたのはワルキュリアのユーリー・ジョソンさんが使っていた水色の魔石。


「パパ、何時の間に!!もう魔術に関してはちゃっかりしてるんだから」


「イ・コージさん…大丈夫?」

私に話し掛けて来てくれたのはメンバーのアリス。


「アリス大丈夫だよ。パパは負けないよ」

パパはまだ袖をまくっていない。

それは気体魔法を使う必要がない相手だと言う事。

そうこうしてるうちにパパは粘土ライオンに魔石を打ち込んでいく。


「そうか、相手は粘土だもんね。さすがはパパだ」


「キャロル…教えて」

「パパが投げた魔石は水属性があって術者の魔力に反応して周囲を凍らせる力があるんだって。ワルキュリアのユーリーさんは花にこだわったから凍る範囲が少なかったけど」


「粘土ライオンじゃなくライオンの氷像になりなさい。フリーズ・コンクエス」

パパが魔術を唱えると粘土ライオンは一瞬にして氷づけなにる。

フリーズ・コンクエス、氷の支配か。


「キャロル…杖だけじゃなく先生も凄くてズルい」


確かにパパは凄い魔術の先生だ。

何しろ魔術が好きで好きでたまらないんだから。


イ・コージ、ザコ、山田さん、権蔵のイラストを書いてくれる人はいませんか?

1人でもいいので条件はただ一つイケメンに書かないだけです

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