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飲み会哀歌

久しぶりにサラリーマンイ・コージです

side イ・コージ


 住宅ローン、ガイストルビーのお金を頭金にしても長い長い住宅ローンなんです。

所長に家の事を相談すると紹介されたのが店舗とアパートが一緒になった築10年の2階建ての建物。

1階に店舗と母屋、2階には6部屋があります。

正に条件にはピッタリ。

しかしお値段が…。

もし買ったとしてもケメン以外から家賃は取れないですし、ケメンも仕事が順調にいくまでは貰えないですよね。

採集、加工を頑張れば返済は早く済みますが今後の事を考えると改築も必要なんですよね。


「コージ、ここ良いですねー。頭金を払って、ローンを組んでー、コージが採集と加工を頑張ればー大丈夫ですねー」


流石は私の助手、私の経済状態もきちんと把握していらっしゃる。

でも、これを買ってリアに振られたらキツいですよ。

広い集合住宅におじさんが1人ぼっち、残ったのはローンだけ。

リアル過ぎて笑えません。


「でも掃除とか管理が大変そうですよね」


「それはー普段から掃除をしている人が言うセリフですよー」


はい、反論の仕様がございません。

でもこれだけ広ければ1部屋を素材置き場にして、夢のマイ研究室も作れますね。

最悪は下宿屋イ・コージを副業で始めれば良いんです。



――――――――――


 出張を終えた私を待っていたのは大量の依頼でした。

魔法研究所は個人指定の依頼も受け付けているので、溜まりまくった訳です。

でも負ける訳にはいけきません、マイホームの為なら徹夜も持さない覚悟がありますし。


「リア、この依頼は徹夜してでも片付けます。今は無茶をしてでも頑張らないといけませんからね」


流石にリアも反対しない筈です。


「駄目ですよー。今日は魔法研究所の創立記念パーティーがあるんですからー」


会社の飲み会、それはサラリーマンの自由時間とお小遣いを容赦なく奪っていく魔物。

仲間うちで飲むならまだしも、会社で開催するそれはある意味お仕事。


関係先のお偉いさんの長い挨拶や趣味の披露で精神を疲れさせられます。

(私でも知らない昔の歌を聞かされたり、おじさんやおばさんが旬のアイドルを真似する痛々しい姿に愛想笑いをしたり、タネがばれまくりの手品に大袈裟に驚いてみたり)


高いホテルの料理なのに安い居酒屋よりも美味しくないですし。

(食べごたえのない薄いお肉や醤油をかけたくなるソースを掛けられたお魚さん、テーブルの人数を数えてからとらないと気まずくなるお料理等)


無礼講と言う名の巧みなトラップ。

(酔うと支払いをしていない記憶はない癖に自分の陰口だけはしっかりと覚えている上司、若い女の子を二次会に誘えなかったのを人の所為にする同僚、

誰がお酒を注ぎに来なかったをチェックしている管理職の方々)


年をとって分かる胃が痛くなる若い人の態度。

(派手な私服で来ている新入社員、上司のお酒を断っている後輩、関係先のお偉いさんに"うけるー"ってタメ口を言う若い娘)


あれって誰も楽しみにしてないのに、開催されるのが不思議でたまりません。


 案の定と言うか私の胃は崩壊寸前です。

ヤ・ツレー所長に行列が出来ているので先に、ジェ・ラーシ部長の所へ。

「イ・コージ君、家を買ったんだってね。独身で家を買って外国の領主様と太いパイプを作って正に順風満帆だね。自由に過ごせる家か、知ってる私はゴミだしをしてるんだよ。貴族の出でも次男だと家庭での立場は弱いんだよね。羨ましいよイ・コージ君が」


次にゴーマ・スーリ課長

「イ・コージ君、家買ったんだってね。ねえ相談なんだけどさ外国に住んでるお得意さんの娘さんが魔法学校に入学するんだ。君の家を紹介してあげるね、家賃は安くしてねー。よろしくー」



テガ・ラパークリ主任

「イ・コージちゃんお願いあるんだよねー。君の家の空いてる部屋に僕のマジックガールズコレクションを預かってくれないかな。奥さんが"こんなゴミ捨てても良いわよね"なんて言うんだよ!!酷くない?」



エリーゼ・ロックオーガ主任

「コージ飲んでるか?まずは注いでやるから飲め!!先輩に注がれたら駆けつけ3杯が礼儀だって教えたろ」


「先輩、私血圧が高めなんですよ」


先輩が酔ってます。

伯爵夫人のエリーゼ・ロックオーガから鬼のエリーゼ・ストロベリーに戻っています。


「聞こえねーな!!俺の酒が飲めないってのか?良いぜ上等だ、恋人のピンクモジャに言っちゃおうかなー。メイの事を」


なんですか、このアルハラ&セクハラのコンボは。


「なっ、なんで先輩がジーニアスさんの事を知っているんですか?」


メイ・ジーニアス、デュクセン魔法研究所での後輩で一時期深い仲になった女性です。

あだ名は天才マッドマジシャン、魔術の天才で魔術の為なら全てを捨てれる人。


「俺の情報をなめるなよ。こないだデュクセンに行った時に後輩からお前の過去を聞いてきたんだよ」


「過去は過去ですよ。今の私には関係ありません」


あの人は私を捨てて外国に行ったんですから。


「そうでもないぜ、今度魔法研究所に転職して来るらしいぜ」


私は先輩からのお酒を素直に飲む事にしました。


メイ・ジーニアス 分かり辛いですが メイジ(魔法使い)とジーニアス(天才)を足した名前です

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