伝える気持ち
side イ・コージ
世の中にはバレたらヤバい事ってありますよね。
例えばガイストルビーはアーマードボアの結石だったと言う事。
結石ですから尿管にあった訳なんですよ。
そんな事絶対にジガーク様には言えません。
そして
「リア、キャロル。ビルクーロと契約した事は絶対に秘密にして下さいね」
「えー、古代竜と契約なんて凄い事なのに言っちゃ駄目なの?」
「もしバレたら軍に組み入れて自由を奪われますし、王族と無理矢理に婚姻をさせられてしまいすよ」
「古代竜と契約をした魔術師なんてー外交上もの凄いカードですもんねー」
その為には軍に組み入れるのが一番効果的ですし、王族と結婚したら国から逃げられないでしょう。
「古代竜の力があれば恐い物なしなのに?」
「今回の契約は全て魔導師ロッキ様の計画ですよ。そしてそれは弟子であるザイツさんの為でしょうね」
「ロッキ様?パパはあの人が誰か分かったの?」
「桁外れの魔力を持ち上級精霊に命令をできる方ですからね。多分、創地神話のあのお方だと思いますよ」
創地神話、今はあまり語れる事がなくなった。
オーディヌス誕生にまつわる神話です。
「え?え――――!!ロッキ様って。そんな嘘でしょ?」
「そういえばーザイツさんって遠い所から来たって話ですよねー。ばれんたいんのチョコを作る時にザイツさんのー彼女が言ってましたよー」
確かイントルさんも似たような事を言ってましたね。
「あのお方ならオリジナルの魔術を作るなんて朝飯前でしょうからね。キャロルはロッキ様に逆らえますか?」
「無理、無理ー。古代竜全員と戦う方がまだましだよ」
そうですよね、私の予想が正しければ強いとか言うレベルじゃないですから。
次の瞬間、全てを聞いていたかの様にレモン色の光が私達を包み込んでいきました。
そして…
「コージさん、もしかしなくてもーここはー?」
「私の実家の前ですね」
ピンポイントで私の実家に転移させたんですね。
つまりあのお方は私の実家を知っているって事ですか。
今はあまり深く考えないで起きましょう。
それよりも
「リア、キャロル。ガイストルビーの加工に入るので手伝って下さい」
「良いですけど何からするんですかー?」
「まずはガイストルビーの臭いを消します」
あった場所が場所だけにガイストルビーは、あの臭いがするんですよ。
「まずヒーリングサンウォーターとレインミントパウダーを作ります。材料になるサンライトフラワーとレインミントは庭にありますから」
サンライトフラワーを煮出してヒーリングサンウォータを作り、レインミントを乾燥させればレインミントパウダーの完成です。
「次にヒーリングサンウォーターにレインミントバウダーをたっぷりと溶かします」
「パパ、鼻が痛いぐらいにスーッとするよ」
「そこに若干、かなり臭いがしているガイストルビーを漬け込みます」
そうするとヒーリングサンウォーターの浄化能力とレインミントパウダーの爽やかな香りでガイストルビーの臭いがようやく消えまいました。
「さすがにー、あの臭いがする魔石はジガーク様に渡せないですよねー」
ハルトビィレにはめ込もうとした時点で無礼打ちされそうですね。
「後は大きさを整えれば完成です。残ったガイストルビーは売っちゃいますか?」
さすがに若い娘に、あの魔石はあげれませんし。
「そうですよねー。売る宛はあるんですかー?」
「この間、買い物をした宝石店にはよく魔石を卸していたんですよ。ガイストルビーは貴重な魔石ですから喜んで買ってくれますよ」
買った人は知らぬが花って事にしておきましょう。
――――――――――
翌日、ジガーク様のお城に行き速攻でハルトビィレを直しました。
「イ・コージ殿、随分と苦労をかけたな。感謝する」
そう言ってジガーク様が頭を下げられました。
罪悪感が凄いです、だってジガーク様はアーマードボアの結石を涙ぐみながら見てるんですよ。
「いえ、これが私の仕事ですので」
「依頼料の他に何か褒美を取らせよう。何か望みはあるか?」
ジガーク様の性格からしてお金を望むのは危険ですよね、領地や爵位はデュクセンに拘束されそうですし。
「いえ特にはありません」
「何とも無欲だな。それなら最近手に入れた珍しい物があるのでそれを褒美としよう」
そしてもらったのが、魔石です。
しかもゲーリブテダイヤとバンデダイヤと言う貴重な物です。
ゲーリブテダイヤは別名
恋人ダイヤと言って淡いピンク色をしています。
魔力は弱いですけれど恋人への贈り物として大人気の魔石です…私には縁がないですけど。
バンデダイヤは別名絆のダイヤと言って、明るい黄色をしています。
贈った人と贈られた人の絆を太くして別れても再会が出来るって話です。
バンデダイヤはキャロルにあげましょう。
ゲーリブテダイヤはいつか渡せる相手が現れる筈です、きっと…多分…いつかは…奇跡が起きる筈です。
side リア
コージさんがガイストルビーを売っているとー、そいつは現れましたー。
「コージさんお久しぶりです。私を覚えてますか?」
「ええ、リディさんですよね」
やっぱり来やがりましたねー。
「覚えていてくれたんだー。嬉しいな」
し、白々しい。
させませーん、コージさんは渡しませんー。
「コージさんこちらの方はどなたですかー?」
がっちりとコージさんと腕を組んでリディを睨みつけてやりますー。
「ちょっと貴方、私がコージさんと話しているのに邪魔をしないで」
「私はコージさんの助手をしているリア・クローゼですー。あいにくコージさんは貴女みたいな女の相手をする暇なんてありませんのでー」
side キャロル
この女がリディ?
キモいとか言っておきながら、いい研究所に就職した途端にパパ狙い?
リアさんがパパの腕を組んだから、私は反対の腕と組む。
「パパ、このおばさん誰なの?知り合い?」
「お、おばさん?パパってコージさんは独身でしょ?」
「私?私はパパの大切な義理の娘だよ。ちなみにルーンランドでアイドルをしています」
リディとか言う女は見た目はそれなりに可愛いけれど、リアさんの相手にならない。
「だからなによ。アイドルだからなんだってのよ」
「ならはっきり言ってあげる。私の大切なパパに二度と近づかないで。魂胆が見え見えなのよ、おばさん」
side イ・コージ
逃げたいです。
でも両腕をしっかりと抑えられて身動きが出来ません。
「馬鹿じゃないの?助手ど義娘なんてただの他人じゃない」
「私はコージさんの事を愛していますー。だから邪魔しないで下さいー」
リア、今なんて言いました?
次の進展どうしましょう
イ・コージでも幕間募集します