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おじさんと竜

side イ・コージ


 えーと、今古代竜って言いましたよね?

確か伝説だと古代竜ビルクーロは黒く長い角と全身を覆う漆黒の鱗が特徴な筈。

でも私の前にいる竜?は角も短いですし鱗もまばらです。


「お主がイ・コージか。有り難く思うがよい、時空を司る精霊ビルクーロが汝と契約を…えっ!?もっとフレンドリーにですか?しかし古代竜の威厳が…いいえ、滅相もございません!ちょうど僕も人間の友達が欲しいなーって思っていたんですよ」


今のは誰かとの念話だったのでしょうか?

自称ビルクーロは大きく咳払いをすると何事もなかった様に仕切り直しました。


「はいっ、最近朝起きると胃が重たいビルクーロです。何と今日はビル君サービスデイですのでアーマードボアを倒せたらもれなく僕と契約が出来る権利をプレゼントしちゃいます」


何故でしょう、ビルクーロさんの姿が上司から無茶振りされた時の私と重なってしまいます。


「パパ凄い!!古代竜ビルクーロと契約だって。いーなー」


キャロルが羨ましそうに私を見ています。


「しかも今ならファミリープランに加入してもらえれば最高3人まで加護が受けられます」


ビルクーロが左手を腰にあてながら右手の指を3本立てています。


「3人ですかー?未来の家族にも有効なんですかねー?」

確かに将来的はキャロルと養子縁組みをするつもりですけれども、リアもキャロルと家族になりたいんでしょうか?


「まずはアーマードボアを探しましょう。それが出来ないとは何も出来ませんから」


それにこれ以上ビルクーローさんが醜態を晒す所を見るのは耐え難いですし。



―――――――――



 「パパ、この大きい山の中からガイストルビーを持ったアーマードボアをどうやって見つけるの?」


「まずは洞穴を探します。アーマードボアは洞穴に住んでいますし、洞穴の土の方がルビーが混じっている可能性が高いと思うんですよ」


洞穴の中に足跡や体毛が落ちていれば待ち伏せをしてアーマードボアがいたなら倒す、それで行きましょう。


「コージさん、その洞穴はーどうやって探すんですかー?」


やっぱり、地道に探すしかないですよね。


「パパ、あれ」


キャロルの指さす先にはビルクーロさんがいて、この下に洞穴ありますと書いた看板を持って空中を飛んでいます。

あれを無視する訳にはいかないですよね。


「とりあえずあそこに行きますか」


着いた先は岩場になっていました。

岩場にはぽっかりとあいた大きな洞穴がありました。


「あの洞穴ですねー。コージさんあれもアーマードボアなんですか?」


リアが驚くのも無理はありません。

洞穴から現れたアーマードボアは通常の倍近い大きさがありました。

その上目は血走り、息も荒くなっています。


「石の痛みで狂化しています。この間の倒し方は通じないかも知れません」


薬を飲む事を知らないアーマードボアに出来るのは暴れて痛みを忘れる事だけ。


それなら


「岩よ、四方を囲み檻となれ。ロックプリズン」


岩の壁に囲まれたアーマードボアは岩の壁に何度も体当たりをしています。


「キャロル、ウォーターボールをお願いします」


「パパ分かったよ。水よ、球となりて敵を押しつぶせ。ウォーターボール」


岩に体をぶつけた事でアーマードボアの体には無数の傷が出来た筈。

そしてキャロルのウォーターボールで濡れネズミならぬ濡れ猪となっているでしょう。


「リア、サンダーをお願いします」


「分かりましたー。雷よ、剣と成りて敵を貫けー。サンダー」


いくら頑丈な鎧でも水で濡れた傷口から電撃が入り込んでいきます。

少しすると岩の檻の中から物音がしなくなりました。


「さすがは私のパパだ!!前衛職無しで倒しちゃった」


ちなみにアーマードボアのガイストルビー(結石)は大小何個もありました。

かなり、痛かったと思います。



「見事ガイストルビーをゲットしたイ・コージさんファミリーにはビルクーロ契約権が与えられます」


私は降り立つと同時に必要以上に騒ぐビルクーロさんにイ・コージ特製胃薬を渡しました。



side ビルクーロ


 あれは忘れもしない3日間前の事。

ロッキ様が時空の狭間にアポ無しで訪ねてこられました。

そしてこうおっしゃられたのです。


「今から指定する山に籠もり行って下さい。そして私が送り込んだ猿人族と契約をするのです」


そして私は細かい説明も受けないままに山に飛ばされてしまいました。

山には私が入れる大きさの洞穴なんてある訳がありません。

この3日間、私は野宿をしてたのです。

漆黒の破壊竜と恐れられたこの私が。

しかしあの猿人族の男には、それを帳消しにできる魅力がありました。

限れた戦力を使っての戦い。

周りの環境に配慮した自然に優しい戦い方。

何よりも彼がくれた胃薬はストレスで弱った私の胃を癒してくれて、人と組むのも悪くはない、そう思えたのです。

胃も治りましたから、今日はアーマードボアの丸焼きをツマミにして、新たな友が出来た事を祝いたいと思います。

他の古代竜にも声を掛けるのも良いですね。

そしてあの方のご指示を伝えておきましょう。

全ての古代竜は魔導師の塔に顔をだす様にと。





ビル君大活躍な回でした

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